株式会社ワクイ

2020年03月31日
NICOpress169号マッチング新商品・新技術開発

デザイナーとの
マッチングで新ブランド構築へ

創業から約80年に渡り、燕市でステンレス板金加工を行ってきたワクイ。昨年、オリジナル商品の強化を目指し、商品デザイン・ラボのクリエイティブマッチングを活用した。地元プロダクトデザイナーとタッグを組むことで誕生した新製品は、この春、市場にお披露目となる。

代表取締役社長 涌井 義弘 氏
代表取締役社長 涌井 義弘 氏

涌井社長(写真左から3人目)とエイトノットチームの皆さん。デザインをスピーディに形にしていくため、マシンのプログラミングや溶接のプロなど、製造部門の精鋭を集めた。「普段やったことのない技術に挑戦するのは面白いと言って、みんなやる気を持って取り組んでくれました」と涌井社長。

OEMだけに頼らない経営へ
自社商品力をアップ

高いステンレス加工技術を持つワクイは、厨房機器メーカーのOEM製品の寸胴鍋やおでん鍋の製造のほか、駅に置かれているゴミ箱やインテリアパーツなど、さまざまな特注品を手がける。OEMのウエイトが大きく、受注は「お客様次第」という状況に課題を感じ、自社商品を強化したいというのが目下の経営課題だ。涌井社長は「15年前にオリジナル商品として発売した環境ステーション(屋外ゴミ箱)を、新たなシリーズで出したいと思いました。しかし、当社は図面から形にすることは得意なのですが、社内だけのアイデアよりも、外からのデザイナーの視点、感性で考えてもらいたいと思い、デザイン・ラボに相談しました」。
マッチング支援で紹介されたのが、長岡市のプロダクトデザイナー、8-knot design(エイトノットデザイン)の馬場宏仁氏。「馬場さんは工業系に強く、板金加工の技術についても豊富な知識があるため話が早かった。当社にぴったりの人材で、開発はとてもスムーズに進みました」。
ワクイではアイデアをすぐに形にしていけるように、製造部門の社員8名を選抜して「エイトノットチーム」を結成。試作の間も、馬場氏は何度も工場に足を運んで、アドバイスをくれるなど、常に連携して開発を進めていったという。

厨房で使われる寸胴鍋
厨房で使われる寸胴鍋
厨房で使われる寸胴鍋

厨房で使われる寸胴鍋は、長年製造している主力商品のひとつ。曲げ、溶接、研磨の工程を経て作られるが、その仕上がりから高い技術力を感じる。

デザイナーの企画力だけでなく社員たちの技術力に驚いた

環境ステーションは集合住宅や町内のゴミ集積所として利用されるもの。新たなシリーズを考えるにあたり、馬場氏が重視したのは、見た目よりも使いやすさだった。「ゴミ集積所には子どもも高齢者もゴミを出しに来る。扉を開きやすく、捨てやすく、さらに収集作業をする人にとっても出しやすい造りを追求し、デザインを提案してくれました」。
そうして誕生したのが環境ステーションNB900型とWB900型。実際にハンドルを上に引き上げてみると、あまり力をいれなくてもフタの部分が上がり、大きく開くため、ゴミも入れやすい。見た目もスタイリッシュだ。ブラック塗装やつや消しのステンレスを使っているところに、デザイナーの感性を感じたと涌井社長は話す。「私たちがステンレスでイメージするのは磨いた鏡面仕上げ。美しいですが、どこか冷たい印象を与えるという面もあります。一方、今回の馬場さんのデザインは優しさを感じるイメージで、当社の商品に新たな表現が生まれたと思います」。
さらにもうひとつ、馬場氏が提案したのが折り畳み式のステンレスマルチボックス「MULFOL(マルフォル)」だ。「使わないときは折り畳んで収納しておけるので邪魔にならない。折り畳むという発想にはびっくりしましたが、それ以上に、そのデザインをしっかり形に仕上げた当社の製造部門がすごいと思いましたね。折り畳める構造に仕上げるためには、正確な加工技術が必要。おかしな話ですが、当社の技術力の高さに改めて驚きました」。

8-knot designの馬場氏によるデザインから誕生した環境ステーション。昨年夏頃から開発をスタートし、半年ほどで製品化につながった。

[WB900型]
[WB900型]出し入れしやすいよう緩やかな傾斜がつけられている。
[NB900型]
[NB900型]直線と面による洗練されたデザイン。大容量で開口部も広い。

展示会での手応えは上々
新規顧客獲得を目指す

新作は、昨年末にビッグサイトで開催された展示会で発表。とても評判が良く、発売に向けての手ごたえを感じた。「MULFOL」の開発と同時進行で進めていたMULFOLの宅配ボックスバージョンも、来場者に好印象で、その反応もふまえて着手。荷物を入れた後、鍵をかけられる機能を組み込み、また、折り畳み機能の耐久性を測るなど、準備を進めている。
同社では、昨年から自社商品開発のための社内体制を作った。エイトノットチームの他にも女性社員だけのチーム、平成生まれの男性社員のチーム、社外デザイナーとのコラボチームの合計4チームによるプロダクト開発プロジェクトが動いている。「OEMの仕事は受け身であり、どうしても同じような仕事の繰り返しになってしまいます。今回のように、外部からの刺激をいただきながら、自分たちの手でオリジナル商品を作ることで、社内が活性化して、社員たちもやる気が向上しています」。
今後はさらに展示会などに参加して、新規顧客、新たな販路を獲得していきたいと期待を寄せる。「今回の成功ポイントは、デザイン・ラボで当社に合うデザイナーをマッチングしていただけたこと。地元にいらっしゃるので、何かあればすぐに会って、話ができたのもよかった。馬場さんには今後も、新たな商品開発に力をお借りしたいと思っています」。
目標としている自社商品の売上割合のアップを目指して、ワクイの本格的な挑戦がここから始まる。

普段は折り畳んでスリムに収納できるMULFOL
普段は折り畳んでスリムに収納できるMULFOL
普段は折り畳んでスリムに収納できるMULFOL。家庭用屋外ゴミ箱のほか、収納ボックスとしても利用できる。キャスター付きで移動も可能。

MULFOL(マルフォル)を踏襲した新シリーズ『折りたたみ式宅配ボックス』は、第43回 ジャパン・ツバメ・インダストリアルデザインコンクール2020にて準グランプリ 経済産業省製造産業局長賞を受賞しました。

 

ポイント

  • 金属加工についての知識がある地元デザイナーとの出会い
  • デザイナーの構想をすぐに形にできる製造の精鋭チームを組織
  • 展示会での反応を受け、すぐに改良に着手できるスピード感

 

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