株式会社ガゾウ

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2022年02月01日
NICOpress180号創業補助金

人が関わるもの全てに応用できる
視線解析システムを使った新サービスを展開。
視線データをもとに現場の課題解決に繋げたい。

画像処理技術に特化し、ハード・ソフトの一貫した開発力で画像処理デバイスを自社製作するガゾウ。同社は顧客のニーズに対応し、キー技術である「視線解析システム」を活用したサービスを提供する新会社「ガゾウAX」を、第二創業としてスタートさせた。

代表取締役社長 金田 篤幸 氏
代表取締役社長 金田 篤幸 氏

視線解析システムは“この分野”と限ったものではなく、人が関わるものには全て応用できる技術です。視線だけだと情報量が足りない場合は、脳波や他の情報を組み合わせることで、より精度が高い結果が出てくると思います。そこから中小企業の課題解決につながるサービスを展開したいです。

顧客のニーズに応えるため
第二創業で新領域へ

画像処理技術を応用した機器の開発、販売を行うガゾウは、県内の画像処理会社から独立した金田社長が2017年に起業。USBカメラ、画像処理ソフトというハード・ソフト両方の開発力を持ち、それを組み合わせた画像処理デバイスを製作できるのが強みだ。利用者に眼鏡型のカメラを装着してもらい、人の視線やまばたきを捉えることで収集した視線情報を解析する「視線解析システム」が主力だが、同社はこのシステムを使ったサービスの開発や運用、コンサルティングを行う新規事業に挑戦。県の「企業内起業・第二創業推進事業費補助金」を活用し、2021年10月に「ガゾウAX」を設立した。

「ガゾウ本体のビジネスはデバイスの開発と販売までですが、お客様にとってはそこから取得した視線データを解析し、現場の課題解決にどう繋げていくかというところが重要です。特に中小企業のお客様には、データの解析と現場での活用の部分を運用するサービスが必要だと感じていたので、新たにガゾウAXを立ち上げました」と語る金田社長。また、新潟市の石油製品販売の和田商会が協力を申し出たことから、共同出資会社としてスタートした。

「和田商会さんが持っているガソリンスタンドで、視線解析システムの実証実験を行い、実際に活用してもらうことを考えています。また、県内で幅広く知られている和田商会さんに協力していただき、営業面を強化しようと思っています」。

ガゾウのキー技術である視線解析システムは、眼鏡型デバイスに搭載された近赤外線カメラで眼球を撮像し、眼球運動から視線を解析。同時にまばたきも検出し、視線と組み合わせて解析することができる。顧客のニーズに合わせて、デバイスのカスタマイズも可能。

 

ものづくり企業の技術伝承、
遠隔地の作業支援などに応用

ガゾウAXの本格的な事業はこの春から始動する予定だが、ガゾウが提供した視線解析システムはすでにいろいろな分野に導入されてきた。例えば、工場の目視検査では、熟練の検査員がどこを見ているかを分析し、検査の改善や社員教育に応用。「あるクリーニング店のベテランスタッフがシミ抜き作業を担当しているのですが、この技術を持っているのはその人だけなので、作業手順をマニュアル化したいという要望がありました。そこで録音機能が付いているこのカメラを装着し、解説しながらシミ抜き作業をしてもらい、動画のマニュアルを作った事例もあります」。

こうした実績を基盤に現在求められているのが、ものづくり企業の技術伝承だ。県内の製造業では、ベテラン職人が持つ高い技術をどう次世代へ伝承していくかが課題となっている。細かい手作業などのノウハウは、言葉や文章で説明するだけでは伝わりづらいからだ。そこでガゾウAXでは視線解析システムを使い、新人とベテラン職人が同じ作業をした時の視線の動き、作業姿勢などの動作についてデータ収集し分析。若手の技術育成に役立つサービスとして今後提供していく予定だ。

さらに、コロナウイルス禍では「海外工場の視察に行けない」「非接触で指示をしたい」という声を聞き、視野を共有するカメラを導入したサービスも計画。ウェアラブルカメラを通じて遠隔地と双方向で動画と音声通信を行い、作業の指示や使用説明などに用いることができる。「指示を出す人は、作業者が見ているものを確認しながら、マイクで話すこともできます。視野を共有できれば、海外の工場に日本から指示をすることや、技術スタッフが外にいる営業スタッフに社内から説明することもできる。まだ開発中ですが、使い道は広がると考えています」。

視線解析システム利用事例

作業者がウェアラブルカメラや視線解析システムを装着し、作業記録を映像として残したり、ベテランの作業手順をマニュアル化し、作業の訓練支援に繋げるといったサービス展開が可能。

 

視線 + 脳波の購買行動分析で
効果的なマーケティングも

今後、ガゾウAXとしても大きな市場として考えられるのがマーケティング分野。「現在、大手飲料メーカーさんと協力し、視線と脳波を組み合わせた購買行動分析の開発に取り組んでいます。ただ、今は依頼したモニターにデバイスを装着して売場に行ってもらい、どのように商品を買うかを調査している段階なので、もう少し一般的な状況の購買行動を基にしたデータを集めていきたいです」。視線と脳波を組み合わせることで、顧客が何を感じながら見ているかという感情の分析までできるようになり、売場の陳列方法や商品の見せ方などの戦略に繋げられるという。

「サービスの運用はこれからですが、動き出せばいろいろな市場に導入することができるため、それぞれの業界のデータを蓄積させていきたいです。そして、その蓄積したデータを基に自動診断できるシステムを作りたい。例えば目視検査であれば、視線を撮影している人に対して、その場で何をすればいいかというアドバイスを自動で生成するようなシステム。お客様自身で問題を解決できるシステムを作っていきたいです」。

現在は本体企業で「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)」を活用し、装着型の視線解析システムだけでなく、複数のカメラを用いて視線の位置を追いかける据え置き型の装置も開発中という同社。本体企業で高度な技術力を蓄積し、その技術を武器にした高付加価値のサービスを目指す新会社の今後に注目が集まりそうだ。

視線計測(アイトラッキング)と脳波解析によって消費者の購買行動を分析することで、より効果的なマーケティングに繋げることができる。アイトラッキング分野の競合は、業界トップの海外1社と国内の2社ほど。自社でデータを解析し、サービスを運用できるのは「ガゾウAX」だけの強みだ。

 

ポイント

  • 画像処理デバイス技術を生かし、現場の課題解決へつながるサービスを第二創業で展開
  • 共同出資会社と連携し営業面も強化
  • 各分野のデータを蓄積し、人の行動を自動診断するシステムの開発へ

 

企業情報

株式会社ガゾウ

〒950-0964 新潟市中央区網川原2-44-13 3F
TEL.025-282-7212
FAX.025-282-7215
URL https://www.gazo.co.jp

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