鮮度を保持する革新的な技術で
濃縮飲料に適した新容器を実現
液体容器とその製造システムの研究・開発を行う悠心は、同社が開発した世界初の次世代型液体容器PID(パウチ・イン・ディスペンサー)の用途拡大に向け、飲料品に着目。新型飲料容器と量産技術の開発に挑んだ。
本間 克美 氏
「今回のサポインでは、NICOに申請準備のサポートをはじめ、採択後は事業管理機関として、国とのやりとりや補助金の使い方についてなど、様々な面で助けていただきました」。
ニーズの高まりに応え
新たな液体容器の開発へ
注ぎ口に逆止機能を備え、開封後も空気が入りにくいことで内容物の鮮度を保つ液体容器「PID」を主力製品とする悠心。PIDは大手醤油メーカーに採用され注目を集めるが、新たな市場展開を目指し研究開発を進めてきた。
「もっと広く使ってもらうため、市場が大きい飲料用のPID容器ができないかと考えました」と本間常務。近年、濃縮飲料の市場が拡大しているが、濃縮すると消費期間が長くなり、従来の紙容器やペットボトルでは開封後の品質劣化が進むことから、大手飲料メーカーの新しい液体容器に対するニーズも高まっていた。そこで平成30年度「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)」を活用。新潟県工業技術総合研究所と連携しながら、PIDの鮮度保持機能を持ちつつ、従来とは異なる形状の飲料容器と、それを量産する設備の開発を行った。
約800mlの紙製外容器の中に、PID内袋をセット。逆止機能を持つ弁(注ぎ口)があることで、開封後に液体を注ぎ出しても空気が容器内に逆流せず、長期間の保存でも鮮度を保つことができる。
外容器とPID内袋を
一体化する製法に苦労
「調味料と比べ、飲料用は容量を大きくすることが必要。そして、冷蔵庫に効率よく収まる形状を考え、外容器の形は四角柱にしました。なおかつ従来のように外容器とPIDの内袋との2重構造にし、空気が逆流しない機能を付けています」。
従来のPID容器は平たい形状で、外容器と内袋の上部一辺を熱圧着するだけで一体化できたが、箱型の外容器の中に内袋をどう取り付けるかが難題だった。「うまく入れないと液体が詰まって出なくなるので、この部分が一番苦労しました」。試行錯誤の結果、外容器と内袋の上部2辺を2段階に分けてクロス状に熱圧着する成型法を開発。容器の構造が決まったことで、一連の製造工程を自動化した量産設備の設計に着手した。
サポインを活用した研究開発が
若手社員の育成に繋がる
新しいPID容器は、アドバイザーとして参画した大手飲料メーカーから高い評価を受けた。「サポインを活用したことで、大手メーカーさんとお付き合いができたことも成果の一つです。また今回の開発は、あえて若手社員に任せました。サポインの場合は技術面で高度なチャレンジが継続できるので、人材育成の面でも非常に役立ったと思っています」。
感染症の影響で、商品化は予定より遅れているが、「今後も飲料メーカーさんとコンタクトを取りながら、事業化に向けて進めていきたい」と本間常務。量産体制の展開を目指し、さらなるブラッシュアップを図ってゆく。
化粧品メーカーへの提案サンプル。PID容器にすると化粧品に入れる酸化防止剤が不要になる等のメリットがある。
企業情報
株式会社悠心NICOクラブ会員
〒955-0002 三条市柳川新田964
TEL.0256-39-7007
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