ニコ精密機器株式会社

2019年11月28日
NICOpress167号海外展開補助金

新たなパートナーを世界に求めて。
海事展を通じてチャンスをつかむ

ディーゼルエンジン用燃料噴射装置の開発・製造・販売を手掛けるニコ精密機器。環境に対する規制強化という国際的な流れをチャンスととらえ、高い技術と信頼を武器に、新たなパートナーとなるエンジンメーカーを海外に求めてアタックを開始している。

ニコ精密機器株式会社 営業グループ グループ長 田邊 雄介 氏/丸山 まり 氏/参事 申 忠鉉 氏
営業グループ グループ長 田邊 雄介 氏/丸山 まり 氏/参事 申 忠鉉 氏

写真左から営業グループ長の田邊氏、丸山氏、参事の申氏。国際見本市には基本的に社長と営業グループメンバー、さらに噴射系設計グループのメンバーで対応。田邊氏は英語、申氏と丸山氏は韓国語を担当。社内では英語学習を支援する制度があり、社員の語学力を強化している。

世界的メーカーが認める技術力を国際市場にアピール

船舶や陸用発電プラントなどで使用される、4ストロークディーゼルエンジンに搭載する燃料噴射装置を開発製造しているニコ精密機器は、前身から数えると76年という歴史を誇る会社だ。ディーゼルエンジンの先駆者であるドイツのMAN E&S社、日本のJFEや三菱重工、韓国の現代重工業など、国内外の大手エンジンメーカーに製品を販売している。
同社では2015年から単独で国際海事展への出展を開始。2015年、2017年に中国のMarintec China(マリンテックチャイナ)、2016年、2018年にドイツのSMMに出展、そして2019年に韓国のKORMARINE(コルマリン)に初出展を果たした。出展に当たってはNICOの「海外市場獲得サポート事業」も活用した。営業グループ長の田邊氏は、その狙いについて「ひとつには、当社の知名度を上げたいということ。取引先であるMAN社や現代重工業社のエンジンを通じて、当社の製品は全世界で活躍していますが、ニコ精密機器の知名度をもっと広げる必要があります。また、世界の大手メーカーに認められている燃料噴射装置製造メーカーであることを強みに、新たなエンジンメーカーへのアプローチを狙っています」と話す。
同社ではディーゼルエンジンの性能向上と排ガス規制をクリアするための機構として「コモンレールシステム」の開発にも注力中。そのアピールや、精密加工の高い技術力を生かした共同開発のニーズを探っている。

ニコ精密機器株式会社 エンジンに欠かせない燃料噴射ポンプ、燃料噴射弁、燃料噴射ノズル ニコ精密機器株式会社 エンジンに欠かせない燃料噴射ポンプ、燃料噴射弁、燃料噴射ノズル

エンジンに欠かせない燃料噴射ポンプ、燃料噴射弁、燃料噴射ノズルはいずれもミクロンレベルの高度な加工技術が求められる。培ってきた経験、技術によって信頼される品質を生み出している。

 

顧客が多い韓国の見本市で取引先の幹部と面談

これまでに2回ずつ出展したSMM、マリンテックチャイナでは、PRは出来たものの、新規顧客獲得には課題も見えてきた。ほとんどがアフターサービス品(取り換えパーツ)を直接購入したいというニーズだったためだ。アフターサービス品はエンジンメーカーにしか売らない方針のため、そこにズレがあることが分かった。
 一方、感触が良かったのがコルマリン。「当社の売上の7割は韓国で、同国の大手エンジンメーカーは押さえていたこともあって出展は見送っていましたが、そのお客様から誘われて出展を決めました。出展してみると、これまでとは違う手ごたえがありました」と田邊氏。最もよかった点は、日頃商談ではお会いできない経営幹部層が来場され、直接お話しができたこと。申氏は「コルマリンでは企業と共同開発した製品も展示して、当社の高い技術・開発力をPRできたことが今後につながっていくと思います」と話す。一方、想定以上にブースへの来客が多かったため、商談の時間が重なったことや韓国語や英語で対応できるスタッフが足りなかったことなどが反省点だったという。

ニコ精密機器株式会社 コルマリン2019

10/22~25に韓国・釜山で開催された「コルマリン2019」。ブースは専門業者にデザインを依頼した。華やかなデザインが目を引き、来場者からも好評だった。
ニコ精密機器株式会社 マリンテックチャイナ出展の様子

マリンテックチャイナ出展の様子

 

 

来場者も楽しみにしている恒例イベントは交流のチャンス

海外見本市への準備は営業・噴射系設計グループが担当。ブースには製品、パネル、動画を用意し、ターゲットを絞って印象付けたい来場者向けにオリジナルのノベルティも用意する。これら手配・準備には丸山氏が奔走した。コルマリンで流す動画については、出展関係者と協議した内容をもとに、動画に必要なデータを噴射系設計グループが準備した。動画手配のサポートをした丸山氏は、「これまで使っていた動画をもとに、技術力や最新の製品情報などをアピールする要素を加え、短時間でより伝わる内容になるようブラッシュアップしました」。制作期間が短かったため完成が出展直前になり、改めて準備期間の確保の大切さを感じたという。
このほかに用意したものが日本酒とビールサーバー。「開催国にもよりますが、国際海事展、とくにSMMでは、お国柄かビールを飲みながら商談する企業が多いです。さらに、出展企業の中にはハッピータイムというものを設けて、その時間はお酒や料理を来場者に振舞います。生バンドによる演奏を準備することもあり、とてもフレンドリーな空気になります。業界の方と知り合えるきっかけになるので、ビジネスにも良い影響があるイベントだと思います」と田邊氏は話す。
今後も新規顧客開拓のため、3つの国際海事展には継続して出展を続け、2020年はSMMを予定している。「これまでの展示会に足りなかったのは積極性。来場者に事前アポイントを取って望んでいますが、まだまだ受け身の姿勢だったので、これからはさらに売り込んでいきたい」と話す申参事。地球環境を守るため、効率や排気規制が厳しくなるなかで、国際的にも高い技術が求められているいま。その一翼を担う新技術の製造ラインを整え、さらなる飛躍のきっかけを狙っていく。

ニコ精密機器株式会社  説明動画は5分弱

説明動画は5分弱で、言語を問わず見て理解できる内容のものに。田邊氏は「ゼロから製作する場合は半年は時間をかけたほうがいい」と話す。
ニコ精密機器株式会社  “コモンレールシステム”や技術力を紹介する展示パネル

新規事業化を進めている、環境規制に対応する電子制御式燃料噴射装置“コモンレールシステム”や技術力を紹介する展示パネル。

 

ポイント

  • より効果的な動画や出展体制へとブラッシュアップしていく
  • 出展で得たニーズを踏まえ、自分たちの求める取引先や方向を明確にアプローチ
  • 国際海事展ならではの習慣に倣い、取引先とのコミュニケーションの機会を増やす

 

企業情報

ニコ精密機器株式会社

〒949-6603 南魚沼市川窪1095-1
TEL.025-772-3121
FAX.025-772-4260
URL http://www.nico-precision.com

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