有限会社イワセ
代表取締役 瀬戸光一 氏
精密複合旋盤加工を主力事業とする有限会社イワセは、数年前から自社商品の開発に着手。マイクロバブルという要素技術を応用した、水溶性切削液を殺菌する装置「マイクロ・プロテクター」が高い評価を得ている。
金属加工業界の悩みを解決する切削液殺菌装置を開発
「マイクロバブル」技術を応用した自社商品に挑戦
最新鋭の機械設備による各種金属と樹脂の旋盤加工を主力とする有限会社イワセでは、水溶性切削液の劣化を防ぎ、腐敗臭発生を防止する装置「マイクロ・プロテクター」を2年前に開発。金属加工業界の長年の悩みを解決する画期的な装置として注目を集めている。
「リーマン・ショックを体験し、請け負いの仕事だけでは生き残れないと感じたことから、我々の技術を生かした自社商品を作りたいと思っていました。そんなときに知人の紹介で本望先生と出会い、共同開発の話をいただいたのです」と瀬戸社長。こうして株式会社技術開発総合研究所の本望行雄氏が研究開発した粉砕・混合・マイクロバブルという3要素技術と、同社の技術を組み合わせた自社商品への挑戦が始まった。
「金属加工での腐敗臭は、どんな大手企業でも何十年も悩んできた問題でした。従来のように薬品を使わないので、油が劣化しないと好評です」と語る瀬戸社長。
環境に優しく、経費削減につながる画期的な装置
マイクロバブルとは50ミクロン程度の微細な気泡で、水面にすぐ浮上して消滅するミリバブルと違い、水中でゆっくり滞留して水中消滅するのが特徴。マイクロ・プロテクターは、内蔵したナノミキサーでマイクロバブルを一瞬にして発生、破裂させ、その衝撃波で液体中のバクテリアや細菌を粉砕し、殺菌を行う装置だ。
「最初はこの要素技術をどういう装置に応用すればいいのか悩みましたが、マイクロバブルは強い殺菌能力があるので、旋盤加工で使う水溶性切削液の油を殺菌できないかと考えました」。水溶性の油は気温が高くなるとバクテリアが繁殖し、腐敗臭が発生するが、マイクロ・プロテクターの働きで油が腐敗せず、悪臭が解消されるので作業環境や地域環境が改善。廃液も出さず、薬品や添加物も使用しないので経費削減にもつながるという。
使い方は、マイクロ・プロテクターと切削機械のクーラントタンクに専用ホースで繋ぐだけ。油だけでなくどんな液体でも殺菌するので、カット野菜や、牡蠣の養殖用水などにも利用できる。
さまざまな要望、分野に対応した新商品に取り組む
発売当初は商品の特徴がうまく伝わらず苦労したというが、展示会やホームページの効果で徐々に認知され、今年3月には愛知県内にあるトヨタ自動車の工場で採用された。現在は顧客の要望に応えるため、中小企業庁の「ものづくり・商業・サービス補助金」を活用し、マイクロ・プロテクターの大容量タイプやコンパクトタイプ、新製品のオゾンマイクロバブル水装置を開発中。医療分野の実用化に向け、地元大学機関との共同研究にも取り組む。
今後は海外も視野に入れ、「東南アジアは硬水なので水溶性の油が腐敗しやすい。売れる見込みはあるので、NICOの支援策なども活用して足掛かりをつかみたい」と語る瀬戸社長。一つの要素技術を幅広い分野に応用して販路を拡大し、海外展開という目標に向かって着実に歩みを進める同社の今後に期待したい。
マイクロバブルに炭酸ガスを混ぜ合わせる「人口炭酸泉シャワー発生装置」も開発。導入した美容院では「頭皮の毛孔もスッキリ、 スタッフの手荒れもなくなった」と、お客様や美容院にも好評だという。
NICOのコレを活用!
「海外見本市等出展事業助成金」を活用し、2014年にベトナムの展示会に出展。
主力とする加工製品の展示を行いました。
企業情報
有限会社イワセ
〒959-0214 燕市吉田法花堂1965-2(メタルセンター内)
TEL.0256-92-3750 FAX.0256-92-2859
URL http://www.echigo.ne.jp/~iwase/