意欲のある人材が成長できる育成環境を構築。
求める人材を明確にし、手法を変えながらアプローチ
一貫してウェットブラストによる表面処理加工の技術開発に取り組み、世界でも稀なウェットブラスト装置専業メーカーとして事業を展開するマコー。新卒者採用に向けては学生のニーズや動向に合わせた採用活動を進めるとともに、社員の働き方の見直しや成長をサポートするための教育にも力を入れている。

「実際に会社の雰囲気を体感してもらうことが重要だと考えています。この会社とマッチするか、自分が求めているキャリアは何なのかというのを、よく考えて検討してほしいと学生たちに伝えています」と話す浅田氏。正面玄関に掲げられた文字「磨創人(まそうじん)」は、「人を磨き、人を創る」というマコーの人材育成のモットーだ。
待ちの姿勢では学生は来ない。
時代に即した採用活動に転換
1983年の創業以来、ウェットブラスト工法一筋に技術開発と装置製造を行ってきたマコー。ウェットブラストとは、水・空気・研磨材を用いて対象物の表面を加工する技術で、主力とするオーダーメイド装置は、自動車業界や電子部品業界、工具業界など多くの分野で導入されている。「この工法を国内で専業にしているのは当社だけ。シェアは国内トップ、技術的にも一番という自負があります。幅広い用途に対応し、ニーズに合わせた装置を展開できることが強みです」と浅田氏は語る。
同社では毎年3~5名の新卒者を採用しているが、5年ほど前から「待ちの姿勢では学生は来ない」と実感し、活動を見直してきた。「10年前であれば就職情報サイトに情報を出し、学内合同説明会や朱鷺メッセ等のイベントに参加すれば、会社の見学会に呼ぶことができました。そもそも当社は学生にあまり認知されていない業種のため、最初の流入数は多くないのですが、見学に来てくれさえすれば興味を持ってもらえますし、約8割の学生が試験を受けてくれました。それが今は通用しないため、この春の新卒者採用に向けてはWeb広告の運用と2本のスカウトツールを活用しました」。
ウェットブラストは、研磨材と液体を混ぜ、泥水のような「スラリー」を作り、専用の噴射ノズルから圧縮エアによって噴射して対象物を加工します。
ウェットブラスト技術は環境にやさしく、対象物を選ばず微細な加工が可能なことから、多くの業界で注目されている。現在装置を世界21か国に輸出。アメリカ、中国に現地法人を立ち上げるなど、海外展開の活動が本格化している。
具体的な情報・データを公開。
ワークライフバランスの推進も
Web広告はターゲットとなる年齢、地域を絞り込み、2023年11月~2月に配信。広告の流入先として設定した就職情報サイトでは、その日表示された回数ランキングで1位になったこともある。リンク先を自社の採用ホームぺージに設定した期間はアクセス数が急激に伸びるなど反応は良かったが、今年度はWeb広告の活用を見送ったという。「サイトへのアクセス数は伸びても、エントリー数につながらなかったからです。それは当社の課題で、採用ホームぺージが当社に興味を持ってもらえるような内容になっていないのではと感じ、その後リニューアルしました」。
新しい採用ホームぺージでは、働く環境と各種制度、福利厚生、キャリアの例や年収の目安など、学生が求めるコンテンツを増やし、具体的なデータや数字をしっかり公開することを大切にした。「何も隠さずに、全ての情報を出しています。学生と接する中でニーズを確認し、残業時間や休日を重視していることが分かり、実際に制度を整えて休日を増やしました。今後もさらに情報を開示していく予定です」。
また、採用に向けた取組の一環として各種認定制度を積極的に取得。昨年取得した「ホワイト企業認定」をはじめ、子育てサポート企業を認定する「くるみん」や「健康経営優良法人」も現在申請中だ。
「ワークライフバランスの推進にも力を入れ、1時間単位の時間有休や、子育てや介護が大変な社員に向けて時差出勤制度も始めました」と話すように、採用を意識して新たに取り入れた制度が、社員の働きやすさ向上にもつながっているという。
採用ホームぺージのリニューアルにあたっては、今の学生が企業の何を重視しているかを分析し、情報を細かく分類して訴求力のある内容にした。年収や売上推移など、通常はクローズしがちな情報も公開している。
やる気のある社員に重点投資。
自ら行動できる人材を育成
エントリーしてきた学生を掴むために工夫しているのは、「エントリーから期間を置かないで説明会を行うこと。10年前は2月、3月に1回ずつしか会社説明会を実施していなかったのですが、今は個別対応にするか、月2回行うようにしています」と浅田氏。さらに説明会で意識しているのは、社内の雰囲気を感じてもらうことだという。「社員の話を沢山聞いてもらい、ウェットブラスト技術の体験も行います。これは当社しかできない体験ですし、初めての人にも面白さを感じてもらえるので有効だと考えています」。
マコーは2027年に向けた中期経営計画で売上45億円、人員体制を現在の136名から150名体制に拡大することを目標に掲げている。それを実現するための対策として再雇用制度を見直し、定年になった社員が活躍できる仕組みを作るとともに、人材育成の強化も図っている。
「当社の基本的な姿勢は、やる気のある社員に対して重点投資をするということです。その1つとして、グローバル人材の育成があります」と浅田氏。海外展開の推進に向けて、社員の語学学習に必要な費用を会社が補助するグローバルプログラムを実施。その他にも、社員自ら受講したい研修を申請して受講し、会社が費用を負担する「カフェテリア研修」、管理職層に向けた「人間力強化研修」なども実施している。「評価制度も今年度から変えました。やる気があって結果を出せる人を高く評価したいので、年齢や学歴など関係なく昇格できる仕組みにしています」。
求める人材においても、「自ら積極的に行動できる」という面を重視している。「自分から行動できる人は、仕事もすぐに任せてもらえるので働きやすいのですが、受け身型の人にとっては仕事がやりにくい会社だというのは、学生に対しても正直に話しています」。
現在は外部の説明会も学内合同説明会に絞るなど、メリハリのある採用活動を、これまでの経験を活かして行っている。主体性のある社員が活躍できる社内の整備、育成環境の強化を図りながら、将来のマコーを支える人材にアプローチしていく。
会社説明会では、手動で処理ができる小型の装置「ココット」を使用し、ウェットブラスト技術を体験。技術を通じて同社の技術や製品が関わる業界について知ってもらい、会社への興味につながるよう工夫している。
マコーが求める人材は、自ら積極的に行動できる人。「成長したい」という意欲のある社員をサポートする教育制度、研修も充実している。また、海外で活躍できる社員を育てるため、グローバルプログラムや留学制度も整えている。
企業情報
マコー株式会社NICOクラブ会員
長岡市石動町字金輪525
TEL.0258-47-1729
URL https://www.macoho.co.jp/