株式会社南雲製作所【採用は会社の最重要課題と認識。オープンカンパニーで学生の心をつかむ】

2025年02月07日
NICOpress 198号人材育成

採用は会社の最重要課題と認識。
オープンカンパニーで学生の心をつかむ

上越市三和区で精密金型の設計・製作や精密部品加工を手掛ける南雲製作所。創業は1947年、高い技術力を誇る同社は地元出身者の就職希望先として名前があがる企業だが、2020年以降風向きが変わってきたと話す。その中でも同じ方向を向いて働いてくれる新卒者の採用に成功している舞台裏について話を伺った。

代表取締役社長	米桝 弘 氏 専務取締役 兼 技術部長	舟見 豊 氏 総務部 部長代理	矢澤 健彦 氏
代表取締役社長 米桝 弘 氏
専務取締役 兼 技術部長 舟見 豊 氏
総務部 部長代理 矢澤 健彦 氏
(写真左から舟見専務、米桝社長、採用担当の矢澤部長代理)

「入社後に技術を身に付けてもらえばいいので、採用は理系文系関係なく選考しています。大事なのは会社の雰囲気がその人と合うこと。それもあって、社員の協力のもと採用活動を行っています。学生は時間をあまりとれないのでオープンカンパニーがメイン。学校からの依頼があれば、2週間のインターンも受け入れています」。

1人の採用が風向きを変える
採用が会社にとって重要である訳

精密金型製作で全国に顧客を持つ南雲製作所。社員数は120名で顧客からの金型受注のほか、メーカーとの共同開発なども手掛けている。以前は順調に採用できていたが、コロナ禍以降は内定辞退者が出るなど、採用市場の厳しさを感じているという。それでも今年度の大学新卒採用は希望人数の3人を確保した。

同社が採用について強化を始めたのは約10年前。そのころ社長に就任した米桝社長は「当時は採用にお金をかける会社ではありませんでした。昔のままのやり方で他力本願な面があり、このままでは人材確保は難しくなると判断し、人事担当者を変えました。この人物が非常に行動力があり、合同説明会でも面白く話をしたり、ピンク色の印象的なパンフレットを作ったりと目立つことを進めてくれて、そこから当社の採用活動の基礎ができたと感じています」と話す。

また、新潟大学工学部の大学院生を採用したことも、採用の流れを変えたきっかけだ。「当時はお客様から図面をもらって金型を製造する下請け的な仕事がほとんどでしたが、私は当社の技術力をもっと活かしたい、南雲製作所の名前が入った図面で勝負したい、エンジニアを育てたいという思いがありました。私自身が新潟大学の大学院に通っていたので、そこで出会った人物をスカウトしました。今、技術課長として活躍してくれていますが、技術で他社との差別化を図ることができてきましたし、先輩がいるということで後輩が安心して入社してくれます」。同社が進めるICTについても、企画推進室が出来たのはIT関係に強い人材が中途で入社してきたことが契機だった。「そうした意味でも採用というのは非常に重要だと考えます」。

 

南雲製作所には超高精度加工に対応する最新の設備が揃っており、技術開発力の向上に取り組んでいる。

加工の様子

加工の様子2

南雲製作所の最新の設備

社長、社員と対話する
2日間のオープンカンパニー

学生へのアピールは主に合同企業説明会への参加と、学生に直接オファーをかけるスカウト型サービスを活用している。採用担当の矢澤部長代理は「説明会は県内の学生、オファーは県外の大学に通っている学生をターゲットにしています」と話す。説明会には若手社員にリクルーターとして同行してもらい、学生への声掛けや説明に積極的に参加してもらっている。また、スカウトメールには定型文は使わず、その人のための個別の文章を作り、外部サービスも利用してアプローチしている。「あとは何度も内容を変えてメールを送ります。学生が嫌がりそうな気がしますが、話を聞くと、“こんなに何度もアプローチしてくれるんだ”と好感を持つ、と話してくれます」。

反応があるとWeb面談をはさみ、2日間のオープンカンパニーに参加してもらう。そこでは実際に現場の仕事を一緒に経験してもらい、金型について説明するほか、社長と1対1での面談の時間もある。「経営者と話す機会が貴重ということで、学生に大変好評です」。面談は一人1時間。連日行われて労力がかかるが、社長は「採用が一番大事ですから、私が役に立てるなら構いません。私のキャリアについてや、彼らが悩んでいそうなテーマを含め、相手を見ながら話をしています。でも雑談が多いですよ」と話す。

 

オープンカンパニーでは多くの社員と交流し、金型製造の体験も行う。合同説明会では若手社員もリクルーターとして参加し、人事担当者と若手社員の会話からも、会社の雰囲気が伝わるよう意識している。

オープンカンパニーの様子

オープンカンパニーの様子

会社の等身大の雰囲気を
学生に伝える工夫

入社を決めた理由として「会社の雰囲気が良かった」と答える学生が多いことから、昨年からはオープンカンパニーでできるだけ多くの社員と交流する機会を設けている。矢澤部長代理は「特に会社のありのままの雰囲気を見てもらいたいですし、社員と話すことで、自分のこれからの働き方が見えてくると思います。学生さんは2日間で20人以上の社員と会っています」と話す。金型について知識が無くても、入社後指導する体制が整っているということも、しっかり伝えるようにしている。

会社の様子はInstagramでも発信している。担当しているのは3年前に入社した営業部の風間さん。自身が就職活動をしている時、南雲製作所の社内の雰囲気を知る手段がないと感じ、入社後、自らインスタをやりたいと手を挙げた。「学生さんと話すと、インスタで感じた通りの会社ですね、と言われます。学生さんが就職先を考える時には、社内の雰囲気は大切なポイントだと思うので、しっかり伝わっているのはうれしいです」。

 

インスタグラム運用担当の風間さん

公式インスタグラムの運用を担当する営業の風間さん。若手二人で運用している。業務紹介のほか、金型業界について分かりやすく解説する「金型屋コラム」を連載。社員同士の和気あいあいとした雰囲気が伝わってくる。採用ホームぺージのコンテンツとしても連動し、会社の等身大の姿が見えるように工夫している。

 

インスタグラムの投稿写真

入社まもない先輩社員の活躍を紹介。

インスタグラムの投稿写真2

「常に今年が一番楽な採用」
常に変化しながら取り組む

入社後には、若手も参加するプロジェクトがあり、やる気があれば新しいことに取り組める、意見を言いやすいという社風もアピールする。舟見専務は「育成を含めて進めている社内プロジェクトとしては、5S、QC(品質管理)、そして『人財育成』の3本があります。社員には会社の制度も含めて、自分たちで環境を変えて成長することができるということを体験してほしいという思いが強いですね。現場においては多能工化を目指しており、金型設計や製造、検査など自身が担当していない現場に入り、業務を体験する機会も設けています。いろいろな経験をすることで人間的にも技術的にも厚みが増すと考えています。成長意欲がある学生には伝わるものがあると考えます」と話す。

最後に「人材採用は会社にとって最重要課題です」と力を込めた米桝社長。「私は毎年、今年が一番楽な採用だ、と言っています。来年、再来年はもっと厳しくなる。同じことをやっていてはだめで、常に変化していかないといけないと思っています」。

 

社内職場見学会の様子

若手を中心に実施している人財育成プロジェクトでは、担当外の現場を体験する「社内職場見学会」を開催。40人ほどの社員が参加し、好評だった。メンバーもプロジェクトの企画立案や運営を経験し、成長を実感しているという。

POINT

  • 若手社員をリクルーターに加えて学生へアプローチ。オープンカンパニーでは社長が学生と1対1で対話するほか、現場で多くの社員と交流。
  • SNSで等身大の会社の姿を発信しつつ、入社後に経験できるスキルアッププロジェクトのイメージなども伝える。

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