株式会社バイオテックジャパン
専務取締役 江川 穰 氏
植物性乳酸菌メーカーの株式会社バイオテックジャパンが開発した、水や加熱が不要な米飯とカレーのセットが、平成27年度の「Made in 新潟 新商品調達制度」に認定。画期的な災害備蓄用食品として注目されている。
植物性乳酸菌の発酵技術を活かし 熱や水を使わない緊急用米飯を実現
東日本大震災を機に 災害備蓄用食品の開発に着手
研究開発型のベンチャー企業として1994年に設立された株式会社バイオテックジャパンは、約3,000種類もの優良菌株を保有する植物性乳酸菌の専門メーカー。乳酸菌を活用した発酵技術はさまざまな食品開発に応用されており、中でも米のたんぱく質を低減させた「低たんぱくごはん」は業界トップシェアを誇っている。
多様な商品を生み出してきた同社が初めて災害備蓄用食品に取り組んだのが、2013年に発売された緊急用白飯「ライス72H」である。「開発のきっかけは東日本大震災でした。当社の社長が東京に向かう新幹線の中で地震に遭い、深夜に避難所に着くと人が多く食料も不足していたそうです。そこで災害時だからこそ、すぐに食べられる食品が必要だということで、開発に着手することになったのです」と江川専務は語る。
「当社が持っている技術で社会貢献できる商品を開発し、ビジネスとして展開していきたい。そのために開発力を磨いていくことが必要です」と語る江川専務。
加熱・水なしですぐに 食べられるごはんを可能に
災害備蓄用のアルファ化米は食べる時に水や湯が必要だが、水道・電気・ガスなどのライフラインが復旧するまでの72時間をサポートする「ライス72H」は、加熱や水なしで、袋を開けてすぐに白いごはんを食べられるのが特徴だ。
ごはんは冷えると硬くなるため、やわらかい状態をいかに持続できるかを研究。米を乳酸菌で発酵させる既存の技術を応用し、米粒に加える水分を増やすことでやわらかさの持続を可能にした。また、約2年半の開発期間の中で1年以上かけて納得できる食感と食味を追求。普通のごはんよりも食感がやわらかく、たんぱく質も低減したことから、子どもから高齢者、食事療法が必要な人まで幅広く食べられるという。さらに保管時のスペースを最小限に抑え、処分の際もかさばらないように包装形態にもこだわった。
常温で3年間保存可能な「ライス72H+野菜カレー72Hセット」。1食ずつの個包装なので、避難所での大量配給や帰宅困難者への配給にも適している(写真上)。創業以来、積極的な設備投資で研究環境を整えている同社。さまざまな乳酸菌の可能性を研究し、そのデータを基に新たな食品開発に挑戦している(写真下)。
「Made in 新潟」の認定が 販路拡大のバックアップに
単品の「ライス72H」と、常温用カレーを合わせた「ライス72H+野菜カレー72Hセット」は、平成27年度の「Made in 新潟 新商品調達制度」に認定された。「日本だけでなく海外展開を図る上でも、行政のお墨付きをいただいたことは信用に繋がる。対外的なアピールにプラスに働いていくだろうと期待しています」と言うように、日本国内での販路拡大を目指すとともに、海外展開の一つの柱となる商品として力を入れていく予定だ。
今後について「我々の原点は開発です。他企業から開発受託の問い合わせも増えているので、その期待にしっかり応えられるように開発力を磨きたい。食品開発ならバイオテックジャパンに相談しようと言っていただける会社にしていきたいと思います」と語る江川専務。植物性乳酸菌のパイオニア企業として、さらなる飛躍を見せてくれるだろう。
ここがポイント
◆ 3,000種類にも及ぶ植物性乳酸菌株を保有
◆ 乳酸菌を活用した発酵技術を多様な食品開発に応用
◆ 原点である開発力に磨きをかける
企業情報
株式会社バイオテックジャパン
〒959-1923 阿賀野市勝屋字横道下918-112
TEL.0250-63-1555 FAX.0250-63-1556
URL http://www.biotechjapan.co.jp