社会貢献事業とウイスキー製造。
新たな夢へ向かって
「はんこの大谷」として全国に120店舗を展開する印章業界最大手の大谷。社会福祉の理念を推進する新事業をはじめ、国内でも数少ないウイスキー事業に挑戦するなど、新分野の開拓に取り組んでいる。
取締役 堂田 浩之 氏
「創業者の会長も印章業だけでなく、いろいろな事業を行ってきました。私たちも何か面白い仕事にトライしたいと、このウイスキー工場を作ることにしました」と語る大谷社長(写真左)と堂田取締役(写真右)。
経営理念に基づく事業を埼玉と新潟で開始
印章業界のトップを走り続ける大谷は「社会福祉に貢献する集団を作る」という経営理念のもと、2018年から訪問看護事業と障がい者の就労移行支援事業を開始した。
埼玉県で訪問看護事業を始めた経緯について、「埼玉は新潟に次いで当社の店舗が多い。お世話になっている場所で何か貢献できないかと考えていたところ、病床数が非常に少ないことを知り、訪問看護リハビリステーションを3拠点開設しました」と堂田取締役。また、就労移行支援事業は、長年積極的に障がい者を雇用してきた同社が「社会福祉法人大谷ゆめみらい」を設立し、一般企業への就職を目指す人材の育成を行っている。「障がいのある方がなかなか就職できない事例があるので、まずはここで訓練をしてから企業で働いてもらおうと考えました」と大谷社長は語る。
早くから障がい者雇用に取り組んできた同社は、ともに働く社員の理解と、障がい者が自然とスキルを身に付けて働ける環境がある。
障がい者の就労を支援するベーカリーをオープン
その就労支援の場として昨年5月にオープンしたのが、新潟市・万代エリアにある「パンも大谷」だ。「障がいのある方は裏方の仕事が多いですが、人と接する仕事やモノづくりをしたいという方もいます。我々がその機会を設けることで活躍の場がもう少し増えるのではと思い、「パンも大谷」を始めました」と堂田取締役。現在は「大谷ゆめみらい」の利用者8名がパンの製造や接客の技術を養いながら、将来、希望する職場へ就職することを目指している。
大谷の旧本社を改装した「パンも大谷」では、10代から50代の方が、プロのパン職人や支援者とともに働いている。
小規模蒸溜所を建設し新潟のウイスキーを製造
同社は昨年、新事業としてウイスキーの製造に着手した。「近年のウイスキーブームで原酒が不足し、安くて美味しいウイスキーが飲めなくなってきた。それなら造ればいいという話になったのです」という2人は、国内でウイスキーを製造する3つの蔵元を訪問。見学や話を聞き、実現の可能性を感じたことから「合同会社新潟小規模蒸溜所」を設立し、本社敷地内に蒸溜所を建設した。新潟県産麦を使用したウイスキーも一部製造するなど、同所ならではの味や個性を打ち出していく。さらに今後の夢として、蒸溜の際に出る熱を利用した農産物の栽培も検討中だ。
「これからは国内に還元できる事業、海外を目指す事業の2本軸が必要です。当社の宝である人材を活かした福祉事業。海外への輸出を見据えたウイスキー事業。さらにそこに付随するものを使って何か副産物ができないかと、全てがつながってくるのです」と大谷社長。人材と挑戦する力を強みに、さまざまな夢を形に変えていく。
スコットランドから輸入したポットスチル(蒸溜器)(写真上)。発酵槽など稼動に向けて準備が進む。
企業情報
株式会社大谷
〒950-0141 新潟市江南区亀田工業団地1-3-5
TEL.025-382-0066
FAX.025-381-7229
URL https://www.p-otani.co.jp/