特許は会社を守る生命保険。事業展開は知財あってこそ。
「注意すべきなのは、特許を取ったから売れるわけではないということ。維持費もかかるので、最初はかなり苦戦しました。中小企業が自社の技術を保護するため、あるいは大手とタッグを組むために、特許は不可欠です」と話す植木部長。
水中音響技術に取り組み オンリーワンの存在へ
水中スピーカーや防水マイク、ダイビング用通信機器など、独自の防水技術を活かした水中音響機器を開発、販売しているウエタックス株式会社。その高い技術は年々広く知られることとなり、スポーツ分野、防災・危機管理、医療など多彩なジャンルから開発の打診が舞い込むという。
アメリカで技術を学んだ社長は、周囲からの勧めもあり、事業開始当初から日本だけでなく海外でも特許を取得した。現在は販売する国や生産拠点のアメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国で特許を取得している。植木部長は「特許は他社が真似をできないようにするための、企業を守る保険のようなもの。また、中小にとっては大手企業と業務提携したり、ライセンス契約をしたり、大学との共同研究につながるためのアイテムと考えています」と話す。
開発は特許申請ありき 徹底して対策を取っていく
同社の技術開発は特許出願を念頭に行われ、ひとつの商品について、最低でも3つは特許を持ちたいと話す。「モノを作ってみたら、特許性があるかを検討し、取れそうだと判断したら出願するための内容を詰めていきます。大手企業との競合や費用の問題もあるため、市場調査を行い、自社が戦える市場か見極めることが重要です。しかし、特許を取得してもやっと売れるようになったころに20年の期限が切れることも多い。そこで、当社の場合は切れる前に、さらに応用した技術をかぶせる形で新たな特許を申請するようにしています」。
その結果、最近では特許を申請すると、自社の特許に類似などで抵触するケースも出てきた。「そこまで自社技術の権利化を徹底するのが目標だったので、いい状態だと思っています」。
“枯れた商品”だったマイクに特許技術で新たな価値を
こうした知財戦略を可能にしているのは、80年代からパートナーとなっている弁理士事務所の存在だ。「文章のニュアンス次第で特許取得の可否が決まることが多く、弁理士や弁護士、工業分野に詳しい翻訳者などのスペシャリストに助けてもらっています」。
同社ならではの技術が高く評価されている防水マイクは、東海テレビとの提携で、特許技術を応用して開発したもの。先日ピンマイクも発売し、次はガンマイクを開発する予定だ。完全防水で壊れにくい精度が求められるプロ向けの市場に狙いを絞った。「“枯れた商品”と言われていたマイクも、我々の技術で付加価値を付けることで新たな市場が見えてきました」。今後も独自の防水技術を活かし、海洋開発などの新分野への展開を図っていく計画だ。
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