知財という服が商品を守り、次のヒット商品を生む
常務取締役 大山 周平 氏
開発部 デザイナー 佐藤 弘幸 氏
「商品のアイデアは社員同士の何気ない会話がヒント。それを私たちが拾い、組み立てていきます」と語る佐藤氏(左)と大山常務(右)。大山社長(中央)は、「特許を取るまでには何年もかかるし、費用もかかります。それぐらい大変なことですが、それでもやる価値はあると思います」と語る。
かつての苦い経験から知的財産権の重要性を確信
企画設計から金型製造、成型、組立まで自社一貫生産という強みを活かし、プラスチック製家庭用品の企画、製造販売を行う株式会社曙産業。同社が生み出したアイデア商品のほとんどは、特許・実用新案・意匠・商標といった権利を取得している。
「“商品は知的財産権という服を着せて出すべきだ”というのが会長の考え方なので、何が取得できるかを必ず考えて開発します」と、開発部デザイナーの佐藤氏。同社は約40年前、自社商品を他社に模倣された苦い経験がある。「それを機に自社の商品は自分たちで守るという意識を持つようになり、特許などの知財がこれから大事になると確信したのです」と大山社長は語る。
ヒット商品が出たら付随する商品を考える
弁理士との専属契約をはじめ、知財に関する勉強会を社内で月1回行うなど、知財活動に積極的に取り組んでいる同社。こうした気風から、商品のアイデアはすぐに図面化し、3Dプリンターで試作しながら適合する知財を検討。社員からのちょっとした発想も柔軟に取り入れられ、アイデアから商品化までのスピードが速いのも特徴だ。
1999年に発売した、ご飯がくっつかない「マジックしゃもじ」は「Wエンボス加工」という特許技術から生まれた大ヒット商品だ。現在も家庭用から業務用まで売れ続けており、この技術を応用して電子レンジ専用の「もちアミシリーズ」、おにぎり・寿司の型など新たな商品を創出。大山社長は「ヒット商品が一つ出たら、技術を応用して新たな用途を考えるなど、付随した商品を展開していきます」と言う。
権利を保有した商品群を長く販売していくことが大切
近年は、他社の特許技術もライセンス契約で活用。新しい機械を導入し、家庭用品で使われるのは珍しいというプラスチック加工の新技術で、コーヒーサーバー、握り寿司の押し型などを開発した。「こうした先行投資は、売れている商品のライフサイクルが長いからできること。何の知財権利も持たず、コピーされたら終わりという商品にしないことが、ライフサイクルを長くすることにも繋がります。飛ぶように売れる商品がなくても、権利を保有した商品を長く販売する。それを積み重ねていくことが、企業の体力になっていくと思います」と大山常務。知財を念頭に置いた開発力と、アイデアをすぐに形にする実行力。そして高い技術力が、次々とヒット商品を生み出す土台となっているのだろう。
会社情報
株式会社曙産業
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