農業機械の開発製造で常に業界をリードしてきた大島農機株式会社は、来年で100周年を迎える老舗企業。創業以来、厳しい農作業からの開放を可能にする、農家に寄り添った機械を提供し、日本の農業を支えている。
農家のニーズに応え籾摺り前に異物を除去する「粗選機(そせんき)」を開発
大島農機株式会社
開発設計部 課長 町田 英夫 氏/総務部 課長代理 小山 陽平 氏
“農家の皆様の幸せを創る”をモットーに商品を開発
大正6年創業の大島農機株式会社は「農家の皆様の幸せを創る」をモットーに、農作業の機械化による省力化を目指している農業機械メーカー。穀物用乾燥機・籾摺り機・自動選別計量機などの農業機械を主力に、近年は小型建設機械の製造も行っている。
「当社では稲作に特化し、その中でも米の収穫から出荷までの秋作業に関わる機械を中心に手掛けています」と町田課長。昭和4年の動力脱穀機から始まり、これまで全国初の機械をいくつも世に出すなど、常に時代のニーズに応える商品を提供してきた。
「大島粗選機BG60」は籾摺り機の能力に合わせて、籾の投入量をコントロールする籾自動供給方式。籾の投入が途切れず、選別網も常に回転しているので安定した作業が可能(写真上)。選別されたさまざまな異物。拡散羽根を持った「大径選別網」が回転することで、石や切ワラ、稲こうじなど比重の異なる異物を分離。きれいな籾だけが籾摺り機に送られる(写真下)。
稲こうじだけでなく異物も除去できると好評
2006年に誕生した「粗選機BG50」の開発も、「籾に発生する病菌の“稲こうじ”を除去できないか」というニーズがきっかけだったという。「稲こうじが付いた籾を籾摺り機にかけると、それが砕けて玄米に混入し、米の品質が落ちてしまう。そこで籾摺り機にかける前に除去できる機械が欲しいという農家の声が大きくなっていたのです」。2004年から開発を始め、翌年モニター機を農家で使用してもらうと、稲こうじだけでなく石や切ワラなど異物の除去にも役立つと好評だった。
籾摺り機にセットして使うこの粗選機は、「大径選別網」の回転で石・木片・切ワラ・稲こうじなど比重の異なる異物を分離。高品質な籾を籾摺り機に送るので、マシントラブルも減少し、作業効率の向上につながる。また、籾摺り機の能力に合わせて籾の投入量を自動でコントロールするのも大きな特徴だ。
「農作業の中で困っていることなどを農家の方に伺ったり、調査を行い、そこから機械の開発につなげています」と語る町田課長(写真右)と小山課長代理(写真左)。
農業機械を通してクリーンな作業環境を提供したい
BG50を改良した「粗選機BG60」は、平成28年度「メイド・イン上越」の認証を取得した。「平成26年度は籾摺り機で認証をいただき、今回もこんな良い機械があるということを少しでもPRしたいと思い、応募しました」と小山課長代理。認証された機械を全国販売していく中で、上越地域のアピールにもつなげていきたいという。
「この粗選機を稲作だけでなく他の作物にも使えないかという声があり、現在開発を検討しております。今後も農業機械を通して、少しでもクリーンな作業環境を提供していければと思っています」と町田課長。これからも変わらぬモットーで、農家に寄り添った商品開発に取り組んでいく。
ここがポイント
- 「メイド・イン上越」の認証を取得し全国にアピール
- 作業の効率化とトラブル軽減につながる粗選機を実現
- 稲作に特化した農業機械を開発
企業情報
大島農機株式会社
〒943-0892 上越市寺町3-10-17
TEL.025-525-5940 FAX.025-522-5023
URL http://www.oshimanoki.com/