after IDS ~受賞で栄光、ビジネスで成功~
新潟で誕生した商品、サービスに対する専門家の品評をいただく「ニイガタIDSデザインコンペティション」。
30年以上の歴史を持つ本コンペを活用し、成功につなげられた方々のストーリーを紹介する新企画。記念すべき第1回は、コンペ特典「販路開拓支援」をうまく活用された、IDSコンペ2021準大賞「irogami ひとひらのおろし金(株式会社ツボエ様)」です!
※文章は事業者様からヒアリングした内容をNICO職員がまとめたものです。
1.受賞商品・サービス
irogami ひとひらのおろし金
2.商品・サービスに込めた思い、背景など
■明治40年創業。やすり製造をルーツとし、おろし金を製造すること100年以上の歴史を持つ同社が、「おろし金をもっと身近なものに」「日本の食文化”おろし”を世界に」との思いで開発。
(同社HPより)
■目立ての性能はプロ仕様そのまま。食卓になじむデザイン。若者、海外の方々にも”本格的なおろし金”を”気軽に”手に取ってもらえるよう、価格帯やパッケージのSDGs対応にも拘った逸品。
3.応募のきっかけ、経緯
■始まりは「若monoデザインコンペティション(燕市主催)」
高度な技術を持つ地元企業と若手デザイナーのマッチングにより、付加価値の高い商品を生み出すことを目的とした同コンペで、同社は後の大切なパートナーとなる岸 玄昌(きし げんすけ)氏は出会った。
岸氏が書道から着想を得てデザインした「やさいの硯(第1回コンペ受賞)」を同社が試作。存在感は強い物となったが「市場に売り出すには今一歩だった(同社社長)」。その苦い経験から、2人は「売れる商品を作る」とリベンジを誓った。
(社長から見せていただいた試作品)
■「売れる物を作る」勝算を上げるため努力の積み重ね。
新商品開発における悩みの一つに、カニバリゼーションの問題がある。新商品が既存商品のニーズを食いつぶし、思ったほど「総売上」が上がらない状態だ。
この問題に同社と岸氏は「おろし金となじみの薄い人」をターゲットとするという極論でアプローチ。おろし金を使わない「若者」「海外の方」「ギフト用」という3つの新市場を開拓すべく、構想すること約2年。本商品の原型となる「leaf(第3回コンペ受賞)」が産声をあげた。
その後もテストマーケティングと試作を重ね、若者・海外バイヤーに響く色彩を検討。形状は穴の位置まで詰めるなど、勝算を上げるために進化を続けた商品は「irogami」へと名を変え、完成した。
その成果を世に問うべく、IDSデザインコンペティションに出品したのである。
4.IDSコンペ受賞後
■約19万人が来場する「東京インターナショナルギフトショー」に出展!
IDSコンペ出品者に対する販路開拓支援として、NICOブースでの展示会合同出展(近年はギフトショーに参加)がある。NICOブースはIDS受賞者を中心としてクオリティが高い商品が並ぶため、「自社ブースでは来なかったであろうバイヤーとの出会いがあった(同社談)」
NICOのブースで商談する同社社長の様子
■マスメディアの力も有効に活用
同社はギフトショー内で行われる「キッチン&ダイニングコンテスト」でも大賞を受賞。それをきっかけとしたテレビ取材も受けることとなり、数十社との新規取引につながった。
そして現在、「irogami」は全国のセレクトショップなどに並び、同社の主力商品の1つとなっている。
5.受賞者コメント
■大切なのは「自分一人ではできないことを認め、協力をお願いする」こと。
第1回の紹介に選んでいただき、誠にありがとうございます。
一つだけお伝えしたいのは「irogamiは、多くの人の協力により今の形がある」という感謝の気持ちです。
私と正面からぶつかり合っても、やり遂げてくれたデザイナーの岸氏。
自社単独では出会えなかったであろう国内バイヤーとの出会いは、NICOブースで共に出展した地元企業の皆さまの力があってのこと。
現在進めている海外の販路開拓も、専門家への協力をお願いしています。SDGs対応(パッケージをプラから紙製へ)など、さらに改良を加えた結果、海外の美術館が運営するショップでの販売が視野に入りました。
末筆になりますが、お客さま、自社従業員をはじめとした「ツボエ」に関わる全てのみなさまへの感謝、リスペクトを忘れず、百年続く自社の歴史をより深化させて参ります。
今後とも、何卒宜しくよろしくお願いいたします。
(取材協力)株式会社ツボエ 代表取締役社長 笠原 伸司氏
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