復刻を超えた「革新」。ユーザーの所有欲を刺激するフルーツナイフが待望のカムバック。


それまでの常識を覆したオールステンレス包丁
包丁といえば鋼に木柄が当たり前だった時代に、ハンドルまでステンレスで作られた画期的な包丁を開発した吉田金属工業。自社ブランド「GLOBAL」は、その切れ味や耐久性、衛生管理のしやすさ、スタイリッシュなデザインが高く評価され、欧米の料理人を中心に支持を獲得。その評価が逆輸入される形で日本でも脚光を浴びた。中でも1990年に誕生した「GLOBAL-PRO」は、より高い専門性と用途別の使いやすさを追求したシリーズとして、プロの多様なニーズに応えてきた。量産体制との兼ね合いなどにより、発売から25年後の2015年に生産を終了した後も、長年愛用するユーザーからの「これに代わる包丁がない」「どうしても同じものが欲しい」という熱いメッセージが途切れることはなかった。「包丁は金属の塊で冷たい印象があるかもしれませんが、GLOBALの包丁は不思議と温かみがあり、使うほどに愛着が湧いてきます。ユーザーの方にもそれを感じていただけたのかもしれませんね」と商品企画室の金子室長は話す。
そうしたユーザーの声に応える形で復刻されたのが、IDS準大賞を受賞した「GLOBAL-PRO Bartender(バーテンダー)」。果物を“美味しく・美しく・気持ちよく”カットすることを目的としたフルーツナイフだ。


力を入れずにサックリと刃が入る。断面から出る水分が少ないのも鋭い切れ味の証。刃先を使った繊細なフルーツカットにも適している。

プロ向けの包丁を数多く展開してきたGLOBAL-PROシリーズ。「Bartender」を復刻の第1弾に選んだのは、フルーツカットに特化した特徴があることや、過去の利用者から復刻を期待する声が大きかったことが理由。
切れ味も使い勝手もさらにアップ。
幅広いユーザーに愛される製品へ
今回のGLOBAL-PROシリーズ再登場にあたり、同社は単なる復刻ではなく「革新」を目指した。最大のこだわりは、「マイスターエッジ」と名付けた熟練職人による刃付けである。刃の角度を極限まで鋭くすることで初期切れ味を従来品比約12%アップしたもので、社内の職人の中でも最上位の「特級職人」だけがマイスターエッジの刃付け作業を行うことができるという。
また、復刻版では市場のニーズを見直し、プロに限らず家庭での使いやすさも追求した。従来モデルは「片刃」と呼ばれる左右非対称の刃付けをしていたが、家庭用のシャープナーが使えなかったため、復刻版では左右対称の刃に変更。家庭での使い勝手とプロも納得する最高峰のクオリティを高い技術によって両立させた。
さらにユーザーの所有欲を刺激するのが、シックなブラックカラーの導入だ。見た目の美しさはもちろん、金属表面のコーティング処理により金属イオンの流出を抑え、カットしたフルーツの断面を酸化・変色しにくくする効果があるという。
購入型クラウドファンディング「Makuake」で応援を募ると、目標金額30万円に対して購入総額は1,740万円以上。「バーテンダーとして長年愛用しています」「届くのが楽しみです」などの多くの応援コメントが寄せられた。


「特級職人」による刃付けの様子。工場では実習、認定試験、3か月ごとの認定更新という独自の制度で品質を保持している。


写真上がマイスターエッジ。下の従来品と比べると刃の幅が広くなっていることが一目瞭然。
地元新潟で知られるきっかけに。社内モチベーション向上にも
今回の復刻には、国内市場での認知拡大の狙いもあった。2024年10月にはGLOBALブランドを身近に体験できる直営店を本社1階にオープン。試し切りや名入れができるほか、ワークショップも開催する。ニイガタIDSデザインコンペティションへの挑戦も「地元新潟でもブランドを知ってもらいたいとの思いがありました」と金子室長。結果は準大賞。包丁の真髄である切れ味において、初期切れ味向上だけでなく、長期使用後の切れ味についても従来品比25%アップと大きく性能を向上させたこと。また、GLOBALブランドに期待される意匠を踏襲しながら、プロのみならず一般ユーザーの所有欲もかき立てるデザインに練り上げられている点などが評価された。
実はこれまで外部のデザインコンペティションにはあまり参加してこなかったという同社。IDSへの出品・受賞により、自社製品のクオリティやデザイン性が客観的に評価されたことで、社員が日常業務の中で当たり前になっていたブランドの価値や誇りを再認識する機会にもなったと語る。「今後も外部の方と関わりながら新しい挑戦をしていきたいです。『世界のキッチンと食卓に幸せを』という理念のもと、包丁を主軸にその周辺アイテムも展開していきたいと考えています」。

本社1階に構える直営店のYOSHIKIN SHOP燕店。まるでジュエリーショップのような内装で、購買意欲がかき立てられるうえに、海外限定製品の購入もできる。

シックな輝きを放つブラックカラーモデル。定番のシルバーカラーとは異なる存在感があり、売れ行きもシルバーを上回るとのこと。
企業情報NICOクラブ会員
吉田金属工業株式会社
燕市吉田西太田2078-3
TEL.0256-92-4191
URL https://www.yoshikin.co.jp
ステンレス加工の技術を追求し、各種包丁を製造・販売。プロ仕様の「GLOBAL-PRO」、日本限定モデル「GLOBAL-IST」、アウトドア用の「GLOBAL CAMP」を展開。六本木と燕市の本社内に直営店を構え、ブランドの魅力を幅広いユーザーに発信している。

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