農家民宿うしだ屋【稲作が作り出す文化に着目。米づくりと民宿で地域の魅力を発信】

2024年12月05日
NICOpress 197号創業商品評価・ブラッシュアップ

稲作が作り出す文化に着目。
米づくりと民宿で地域の魅力を発信

上越市大島区の田麦集落。昔ながらの農村らしい家並みや暮らしが今も残るこの地域で、米づくりと農家民宿の経営を通じて、山里生活の魅力発信や、中山間地域の活性化に取り組む牛田氏。ビジョンを持って活動する姿に共感する同世代の仲間もでき、今後の活動にも期待が高まる。

牛田 光則 氏
牛田 光則 氏

1983年福岡県生まれ。学生時代からの山・旅・雪・本・写真好きが高じて宿泊、サービス業に携わる。長野県八ヶ岳での山小屋勤務、ニュージーランドでのワーキングホリデー生活ののち、妙高高原でホテルの支配人などを経験。2015年から上越市吉川区で農業研修生となり、2017年3月、茨城県出身の妻のしほさんとともに「コメ農家+農家民宿うしだ屋」として独立。

Q1 どんな活動をしていますか?

2017年から米づくりと農家民宿の2本柱で活動しています。米づくりは32枚・計2.5ヘクタールの田んぼで、アイガモ農法(農薬・化学肥料不使用)によるコシヒカリと、低農薬栽培によるコシヒカリ・こがねもちを栽培しています。

同世代の農家3人で立ち上げた合同会社旭商店では、持続可能な農業経営を目指し、ビジネスとしての農業について話し合い、棚田米「あさひかがやく」を販売しています。近隣の集落では「跡継ぎがいないから農業をやめる」という農家も多い中で、ここ数年でUターンし農家を継ぐ人が出てきました。それが旭商店の田邊和夫さんと布施孝司さんです。会社組織にしたことで外部からビジネスの話をいただくこともあり、販売機会の拡大につながっていると感じます。

 

旭商店の取組

旭商店の取組は「棚田米が適正な価格で評価される仕組み」が評価され、ニイガタIDSデザインコンペティション2024でIDS審査委員賞を受賞。集落のマップと共にそれぞれの農家の想いを発信する。

Q2 農家民宿のお客様の特徴や
 魅力を教えてください

最近は7割くらいがインバウンドで、日本の文化や伝統に興味を持っているお客様が多いですね。宿に到着したら見たいものや好きなことをお聞きして、好みに応じてツアーを組みます。伝統技術に興味があれば古民家カフェめぐりや、わら細工体験、アートが好きなら大地の芸術祭など。田んぼは季節を問わずほとんどのお客様をご案内します。ただ単に米の作り方や棚田を紹介するのではなく、稲藁や籾殻を日用品や燃料に利用した知恵、また神棚に祭られるしめ縄の意味などをお伝えします。日本人の暮らしや信仰が稲作に基づいていることを話すと、皆さんすごく感動しますね。この田麦集落は、観光地ではないからこそ「本物の農村暮らし」に出会えるのが魅力だと思います。

 

羽釜での炊事体験の様子

田んぼ体験の様子

宿泊客はオプションで羽釜での炊事体験も可能。その他にも、田んぼ体験や星峠のツアー、雪遊びなど希望に応じたアクティビティを提供する。

農家民宿うしだ屋内観1

農家民宿うしだ屋内観2

Q3 これからの展望は?

今までの農業は、作物を作って納めるまでが仕事というイメージだったと思いますが、宿泊業や接客業を経験した私からすると、作ったものを直接お客様に販売し、ダイレクトな反応を得られるところが一番楽しく喜びを感じられる部分です。地域の農家さんや若い人にうしだ屋や旭商店の活動を知ってもらい、「こんな面白いやり方もある」と気づいてもらえたら嬉しいですし、小規模でも農業をするプレーヤーを増やし、地域を盛り上げていけたらと思います。個人的には、妻と娘2人の4人家族が無理なく暮らしていければ十分。地域が持続していくために使う時間を増やしていきたいですね。

 

仕事をする上で大切にしていること

民宿やイベントに来たお客様に「発見する喜び」を体験してもらうことです。それができたら、たとえ大雨の日でも必ず満足できる時間を過ごしていただけます。これはニュージーランドでのワーキングホリデーでガイドの仕事を始めた時に最初に教わったことで、今も大事にしている「うしだ屋」のホスピタリティです。

企業情報

農家民宿うしだ屋NICOクラブ会員

上越市大島区田麦1283
TEL.050-1001-1131
URL https://ushidaya.com/

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