伝統工芸の技術で現代アートに取り組みグローバル市場へ挑戦
五代目の原聡氏の作風は金属をしっかり磨くことで、表面の艶やかさと模様の面白さを引き出すのが特徴。「それぞれの代が得意な技術を持っています。伝統を学びつつ、五代目としていかに自分らしさを表現できるのか突き詰めていきたい」と語る原氏。
工房を次代につなぐためのさまざまなトライアル
鋳物師としての歴史は20代にも及び、江戸後期から始まった蝋型鋳金も原聡氏で五代目という原惣右ェ門工房。元々、花器や文鎮、香立て、お茶道具などを制作していたが、現在はオーダーメイドの表札、アクセサリー、酒器、インテリア小物なども手掛けている。また2010年からの3年間は、NICOの百年物語に参画。そして今、工房の新たな展開として、現代アートという分野への挑戦を始めている。
海外トップデザイナーとのコラボレーションというチャンス
きっかけは関東経済産業局とシンガポールデザイン庁が行っている「共(KYO)プロジェクト」への参画。平成28年度から3ヵ年で、関東地域のものづくり事業者とシンガポールのトップデザイナーによるコラボによって、日本の伝統工芸のグローバル市場への進出を狙う事業となっている。
同工房では「ダンシング・フレイム」というオブジェ作品を制作。他人がデザインしたものを制作するということ自体が初挑戦だったという原氏は「サイズも大きく、かなり困難な作品でしたが、我々のできる最大限を考えてデザインされており、デザイナーの技量に感心させられました。こうしたサイズもデザインも、自分では絶対に挑戦しなかった部分だったので発見も多かった」と当時を振り返る。
グローバルな展開の経験をブランディングに生かして
昨年はシンガポール、今年の3月は香港で行われた同プロジェクトの展示会に参加。また、昨年春は同プロジェクト関係者の勧めでニューヨークのアートインテリア系の展示会にも出品し、好評を得た。「あと1年で事業自体は終わりますが、引き続きデザイナーとコンタクトを取って連携していきたいと考えています。アートピースとしてのジャンルを開拓していきたい」と展望を語る原氏。「柏崎の方々にはこれまでもご愛顧いただいてきましたが、これからは外に向かって自分たちの存在を示す努力をしていきたい」。そのための工房のブランディングの始まりとして、今後10年を見据え、新しい表現を構築していく。
会社情報
原 惣右ェ門工房
〒945-0851 柏崎市大久保2-3-12
TEL/FAX.0257-22-3630
URL https://imoji-souemon.com/