昔ながらの「昆布巻き」を洋風に
斬新な新商品の魅力を専門家との共創で広く周知

「商品のおいしさを知ってもらうには試食が一番早い方法ですが、どうしてもコストがかかってしまいます。店頭に置いておくだけでも売れる商品にするために、パッケージや商品紹介記事など、文字で商品の良さをいかに伝えられるかが課題です。『こぶまきヌーボー』の美味しさ、魅力をどうやってお客さんに伝えるかを常に考えています」。
コロナ禍で駆け込んだ新潟県よろず支援拠点
昔から全国各地で親しまれてきた昆布巻き。お正月には欠かせない料理の一つだが、時代の変化と共に作り手は減少傾向にあるという。
北越開発が昆布巻き専門店として事業をスタートしたのは2004年。あとは味付けのみで完成する半製品の昆布巻きを企業向けに製造・販売してきたが、「美味しさをもっとたくさんの人に伝えたい」という思いから、2019年、一般の方向けにそのまま食べられる『こぶまきヌーボー』を商品化。濃い味付けで敬遠されることもあった昆布巻きを昆布独特のくせを抑えた調理法と化学調味料無添加で薄味に仕上げ、これまでの概念を覆し、スープジュレで食べる洋風味に仕上げた。理想の味わいがようやく完成した頃、新型コロナの流行で環境が一変。試食販売を行えばほとんどのお客さんが買ってくれたものの、コロナ禍で試食の提供が途絶えると手に取ってもらうことが少なくなった。「興味を持ってもらえれば、購入につながるはずだ」と考えた関代表が活用したのは、「新潟県よろず支援拠点」だった。
魚沼食品が開発した渾身の新商品「こぶまきヌーボー」は、アトランティックサーモン昆布巻きと越後もち豚の昆布巻きの2種類。それぞれレモンとオレンジの風味、スパイスの利いた出汁をジュレにすることで、お正月に限らず1年を通して味わってもらえる。(写真上は4本入り)
北越開発が作る昆布巻きには、厳選した北海道歯舞産の昆布を使用。今では県内でも希少な熟練の巻き手たちが、一本ずつ丁寧に手作業で作り上げる。
新型コロナの流行が収束し、試食販売を2023年から再開。昆布巻きを食べ慣れた地元の方々も、予想外の美味しさに「昆布巻きじゃないみたい!」と感激するほど。(写真は2本入り)
専門家の力を借りて広報力UP
広告費がないなかで商品を宣伝する方法を専門家に相談し、プレスリリースの話があがる。そして、元編集者であるコーディネーターの知識を借り、イベントを企画。保育園への昆布巻きの提供といった地域貢献やイベント情報を盛り込んだプレスリリースを出した。イベント内容は地元の若いお母さんたちを対象とした昆布巻き教室。記事に取り上げてもらうため季節感を重視し、繁忙期ではあるが昆布巻きに対する感度が上がるお正月前の開催に踏み切った。「文章のプロの視点で、いつ、どんなことを伝えるべきかを手取り足取り教えていただきました。おかげさまで地元紙にも取り上げられ、少しずつ結果が出ています。最終的な目標はお子さんでも喜んで食べられる昆布巻きを作ること。まだまだ開発を続けていきます」。支援をきっかけに、別のコーディネーターとの新商品開発も始まっている。「新潟県よろず支援拠点さんは、困った時に相談できる信頼できる存在。たくさんの人に支えられているので、何が何でも成功させたい」と関代表は笑顔で語る。
企業情報
北越開発有限会社 魚沼食品
長岡市東川口1979-53
TEL.0258-89-2260
URL https://uonumaya.com