後藤金属工業株式会社

2021年08月02日
NICOpress177号専門家等相談販路開拓

培った金属加工技術を顧客視点で見つめ直し、
成約率向上につなげる

1978年創業の後藤金属工業は、旋盤のような機械に取り付けた金属板を回転させながら成形する「ヘラ絞り」からスタートした金属加工会社。2019年にNICOの「技術提案力向上支援事業」を活用しプレゼン力を強化。商談機会が減るコロナウイルス禍で受注率アップに力を注いでいる。

営業 遠藤直樹 氏
営業 遠藤直樹 氏

「金属加工という業種柄、展示会で名刺交換をした見込み客からすぐに相談がくるものではありません。ですが、今後の新製品開発等で当社の技術を採用頂くためにも、何を強みとしている会社なのかをしっかり伝えていきたい」と遠藤氏。

自社の技術を棚卸し、強みの抽出

深い絞りを可能とするヘラ絞りやスピニング加工、量産を得意とするプレス加工、さらに溶接やロール加工設備を備え、金型の設計・製造にも対応する後藤金属工業。金属加工の中でも丸物の加工が強みで、産業機械部品や医療機器部品、厨房用品や花火関連製品など、多様な製品加工を手掛けている。

同社は、NICOの令和元年度「技術提案力向上支援事業」を活用。この事業は、製造業者が新たな取引先を獲得するために求められる、“自社の優れた技術を伝えるプレゼン力”を強化することが目的だ。約5カ月で計6回に渡り専門家から個別指導を受け、製品の効果的な提案資料を作成することを最終目標としてプログラムが進められた。

「新規顧客と出会うのは年3回程度参加してきた展示会が中心です。せっかく展示会に出るからには、自社の技術や製品を上手にPRして、見積もり依頼や受注につなげられるようにしたいと思っていました」と営業の遠藤氏は話す。

はじめの個別指導では工場内を専門家に視察してもらい、今後の方向性を共有。その後、自社の技術の棚卸しや、強みの再検討を行ったという。「この部分が一番勉強になったことでした。これまでも自社の強みは分かっているつもりでしたが、実は曖昧だったことに気付いたんです。改めて他社との違いも分析してみると、自社にしかない特色が見えてきました。それに、自分たちでは大したことがないと思っていたことも、専門家から客観的に見て頂くことで、強みだったと気付けるようになりました」。

創業時から培ってきた職人による「ヘラ絞り」

創業時から培ってきた職人による「ヘラ絞り」は小ロット生産に適した技術。近年はヘラ絞りができる金属加工会社は減少している。

強みを動画で発信

ヘラ絞りやプレス加工などの各種加工、金型の製作までトータルで対応できる技術力や生産体制の強みを動画で発信。

 

市場分析から始め顧客の課題は何かを探る

後藤金属工業で30年以上製作を行っている製品に、医療用滅菌器のチャンバー(筒状の容器)という部品がある。近年、医療現場で滅菌器の需要が高まっている背景もあり、この製品の提案資料を新たに作成することを決めた。作成の前段階として、自社に加え製品が置かれている市場構造の分析、顧客が抱える問題点の抽出や、競合の調査を改めて行った。

「その時期に東京ビッグサイトで行われていた医療機器の展示会に行き、他社のチャンバーを改めて目にしました。そこで、チャンバー部品で困っていることがないかをヒアリングし、その先にどんなニーズがあるのかを考えました」と遠藤氏。

専門家からの指導を受けながら作成した提案資料には、自社の特徴や強み、30年以上の歴史を持つチャンバー製造の実績、製品の特徴・性能、他社製品との仕様比較といった情報を盛り込んだ。重視したのは、顧客であるメーカーの設計者や部品調達担当者の悩みに寄り添うことだったという。「例えば、チャンバーの気密性が低く既定の圧力に達しないことや、調達に時間が掛かることなどがメーカー側の課題であることが分かりました。それに対して、当社の技術を使えば課題が解決できることを、性能や技術の比較データを示しながら説明しました。個別指導では、自分が言いたいことではなく受け手が知りたいことを優先することの重要性や、受け手の興味を踏まえた提案ストーリーの組み立て方までを、フレームワークを用いながら分かりやすく学び、実践できました」。

卓上小型滅菌器用3ピース構造チャンバーの部品

病院等で使われる卓上小型滅菌器用3ピース構造チャンバーの部品(写真右)。深絞り金型プレス加工技術を用いることで、短納期かつ安定供給を実現している。

 

磨き上げた提案力を日常の営業や動画にも活用

2019年の年末に最後の個別指導を終え、ブラッシュアップされた提案力を身に付けて2020年を迎えた。しかし、感染症が広がりはじめ、展示会の来場者数は激減。その後も大規模な展示会は中止となり、重要な新規開拓の機会が減少した。それでも「学んだノウハウは日常の営業活動で活用できており、新しい成約につながっています。既存の取引先に対しても、より良い加工法を提案して採用を頂くことができました」と、手応えを感じている。同社は価格競争ではなく、特殊部品の受注など、量よりも質を重視する経営方針を持って進んでいる。技術提案力を高めることで、付加価値の高い仕事をさらに増やしていくのが目標だ。

また、コロナウイルス禍でWebサイトの重要性が高まるなか、深く自社を知ってもらうために、会社の特徴や技術を分かりやすく伝える動画の制作も行った。ここでも「何をどう伝えるか?」という部分に技術提案力のノウハウが活用されている。「これからは他の製品も同じように徹底的に分析した上で、提案をしていきたい」と遠藤氏。感染症の収束後も、身につけた技術提案力を幅広く活用することで、同社の新たなビジネスチャンスの獲得につながっていきそうだ。

工場内写真1

工場内写真2

工場内写真3

製品画像1

製品画像2

工場内にはプレスマシンやスピニングマシンがずらり。さまざまな加工技術を持つ職人が集まっており、近隣の協力工場とも連携しながら、多様な加工に対応できるのが後藤金属工業の強み。

ポイント

  • 自社の強みや特徴を見つめ直す。
  • 単なる技術PRではなく、顧客が抱える課題を見つけ、それに応える提案を行う。
  • 提案スキルをPR動画や他の営業ツールに応用する。

 

企業情報

後藤金属工業株式会社NICOクラブ会員

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TEL.0256-63-5423
FAX.0256-63-5416
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