新たなモノづくりを目指しステンレスやチタンの自社商品を開発
「プレートの仕上げは従来のステンレス加工とは違う表現をしたかったので、何度も磨き直しながらイメージに合う形にしていきました。手作りなので全く同じ模様はできませんが、それが特徴でもあります」と語る冨田社長。
ステンレスを使った高級感のある商品を作りたい
ステンレス・鉄・アルミ・チタンなどの精密板金加工、研磨仕上げ加工により食品・厨房用品、自動車・建築部品、医療機器などを生産するトミタ。同社は近年、自社商品の開発にも着手しており、その一つが2018年のNICO百年物語で取り組んだステンレス2重構造のプレートだ。「最近は海外から安い商品が入っていることもあり、多くの人がステンレスのカトラリーや皿に対してチープなイメージを持っていると感じていました。当社はステンレスの加工が圧倒的に多く、素材の特性を熟知しているので、その良さがもっと伝わる高級感のある商品ができないかと考えました」と冨田社長は語る。
独特な質感と美しさを持つプレートが高級飲食店で採用
「百年物語に挑戦したのは、アドバイザーの方々の適切な意見を聞き、それを克服していけば、より良いものができるだろうと思ったからです」と話すように、試行錯誤しながら“これまで見たことがない皿”を目指したという冨田社長。こうして完成したのが、独特な質感と美しさを持つシンプルな形状のプレートだ。表面の模様はさまざまな工夫を重ねた独自の研磨加工によるもので、光の当たり方や見る角度によって、いろいろな表情を楽しめる。また、二重構造(中空構造)にすることにより、盛り付け前に器を温めたり、冷やしたりすることで、食事中最適な温度を保つことができるという機能性も備えている。
昨年秋には、東京銀座資生堂ビルにあるレストラン「FARO」で、テーブルを演出するショープレートとして採用。また、新たに銀座の日本料理店でも採用が決まった。
社会貢献にも繋がるチタニウム製品を開発
NICOの専門家派遣事業を活用し、専門家とともに考えた商品が、動物をモチーフにしたチタニウムガジェットだ。チタンの加工で出る端材を利用してレターオープナーやブックマークなどの小物を製作。さらに社会貢献型のモノづくりを目指す「TOMブランド」を立ち上げ、商品の売上の一部を動物の殺処分ゼロ活動へ寄付する販売システムを作った。
「どちらの自社製品もまだ作ったという段階なので、これからどうやって知ってもらうかが課題。今は認知度を上げることに力を入れ、一つずつアイテムを増やしながら取り組んでいければと思っています」と今後の目標を語る。 今年2月にはドイツで開催される世界最大の消費財見本市「アンビエンテ」に出展し、海外展開も視野に入れる同社。燕三条で培ってきた技術をこれまでにないモノづくりへと昇華させ、新たな価値を生み出してゆく。
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