新潟から世界へ、産地の得意技を発信
「百年物語」 統括マネージャー 中村 正樹 氏
継続がチカラとなり 国際市場での認知が定着
2003年にスタートしたNICOによる新潟発の国際ブランド構築プロジェクト「百年物語」。毎年、県内の参加企業が著名なデザインマネージャーと共に“生活を豊かにする道具”を開発し、2月にドイツで開催される世界最大の消費財見本市「アンビエンテ」で発表を行っている。
このプロジェクトの狙いを、中村統括マネージャーは「新潟という産地の得意技を活かして、付加価値にしていくことにある」と語る。「それをシンボリックに体現しているのが百年物語。新潟の得意技を世界に示そうと、当初から海外市場を意識してきました」。
11度目の参加となった今年2月のアンビエンテでは、商談件数が過去最高となった。継続して出展してきた積み重ねによって存在を認知されていること、そして毎年、新製品を出している点がバイヤーをブースに呼び込めるポイントになっているという。
2015 Tools for the Next Way of Life
今回のシリーズは「次なる生活への進化」。デザイン、素材、技術、機能、意味など、上質な生活を楽しむためのアイテムが揃う。
百年物語を足がかりに 海外展開する事例も増加
これまで、世界のトップブランドとの商談が成立するなど、さまざまな成功事例が生まれている。「産地が一番認知されるのは、売り手と直接結び付くことです。その意味では、アメリカの高級雑貨ショップが、オリジナル商品をコラボで作りたいと最初に言ってくれたときはうれしかったですね」。
また、見本市で売れるということは、単なる売上ではなく、お客様とダイレクトな関係を作った点に意味があり、そこから先は、自ら関係づくりをしていく参加企業の“育っていく努力”が必要だと語る。実際、取り組みから12年を経て、百年物語をきっかけに自らの力で海外展開を進めている企業も増えてきた。
「干支シリーズとして製品を発表してきて、次回は12番目。ひとつの節目を迎えます。産地としてやるべきことはまだたくさんあるので、今後にもご期待ください」と語る中村統括マネージャー。
技術力を付加価値にして 世界にアピールする製品を
百年物語の特徴は、世界に通用するデザインを重視したものづくりにある。その経験は産地に「デザインの善し悪しを判断する力」を育て、ものづくりの質に変化をもたらしている。とはいえ、取り組むのは全く新しい製品の開発ではないと中村統括マネージャーは話す。「百年物語の役割は、企業が持っている潜在的なスキルや資源を引き出していくこと。ですから、ハードルは高くありません。2016シリーズの次回も、テーマは2015と同じく“生活を進化させる道具”。国際市場を目指す企業の方々と、それを一緒に見つけていきたいと思っています」。
アンビエンテは、世界中の企業が今考えられる最先端のものを持ち寄る場。参加企業が、それらを感じることも大きな財産になる。