株式会社青海製作所【互いの強みを掛け合わせ、「運命共同体」として革新的な医療用金属部品の開発へ。】

2026年04月17日
NICOpress205号新商品・新技術開発補助金

互いの強みを掛け合わせ、「運命共同体」として革新的な医療用金属部品の開発へ。

1961年の創業以来、超微細切削加工技術を軸に事業を展開する青海製作所。医療分野に力を入れていたところに出会ったのが、千葉県柏市で2016年に設立したインテリジェント・サーフェス社だ。長年新潟で技術を磨いてきた企業とスタートアップ。異色とも思える2社はどのように連携を進めたのだろうか。

代表取締役 青海剛 氏 / 営業課 藤田司 氏
代表取締役 青海剛 氏
営業課 藤田司 氏

プロジェクトの推進役である青海代表(写真右)と、営業課の藤田氏(写真左)。

 

連携事例 株式会社青海製作所 × インテリジェント・サーフェス株式会社

金属と生体親和性ポリマーの複合化による
長期留置可能な胆管ステントの開発

共同研究では「超微細切削加工」×「生体親和性材料」により、埋め込み型医療機器の生体親和性を上げることがねらい。開発を進める胆管ステントは通常半年ほどで入れ替えが必要だが、体内に留置できる期間が伸びることで患者の負担軽減も期待される。

長期留置可能な胆管ステント

 

互いの技術に強い関心
高い熱量で連携がスタート

青海製作所は設立から半世紀以上にわたり、難削材・薄肉・複雑形状部品の試作・受託加工に携わっている。加工対象は医療機器、自動車、半導体関連、光学機器、航空・宇宙・防衛分野など幅広い。一方、インテリジェント・サーフェス(以下、IS社)は優れた生体親和性を持つ材料「MPCポリマー」を開発する東京科学大学認定ベンチャーだ。両社は新潟県が行った「ものづくり企業のスタートアップ連携チャレンジ事業」がきっかけで2023年度に連携を開始した。青海代表は「常に最先端の技術や製品の情報を入手するため、以前からつながりのあった新潟県工業技術総合研究所の担当者に『良い企業がいたらぜひ紹介してほしい』と伝えていて、連携事業を教えてもらいました」と話す。

もともと青海製作所は自動車のガソリンエンジンの開発案件を主に手掛け、多い時は売上げの6割を占めていた。しかし2005年頃から業界はEVや水素自動車の開発に移行。売上げの柱が無くなるとの危機感から、医療機器分野に力を入れる。強みとする加工技術を活かし、血管や気管に入れて管を補助するステントなど微細金属部品の加工技術を磨いてきた。体内に埋め込まれる医療機器は、血栓生成を防ぐために特に優れた表面潤滑性が求められる。同社では機械研磨後に残る1~2ミクロンのバリを、バフ仕上げや人の手による除去、電解研磨で除去し、鏡面に仕上げている。「そこに生体親和性が高く、性能の持続性が長いIS社のMPCポリマーでコーティングすることで表面性状が良くなり、付加価値をつけられると直感しました。」(青海社長)。

IS社は医療機器メーカーに向け営業していたが、コーティングする具体的な対象物がないため、どう売り込んで良いかわからないという課題があった。すでに国内・海外に医療機器の納品実績があり、取引の中心となる海外メーカーへの拡販の面でも付加価値のある製品を求めている青海製作所は、IS社にとっても理想的な連携相手だった。「最初のオンライン面談で、お互いの強みとする技術に強い興味を抱きました。すぐに来社いただき、開発がスタートしました」。

 

株式会社青海製作所

医療関係でチタンなどの微細加工による特殊製品の製造技術

医療関係でチタンなどの微細加工による特殊製品の製造技術

医療用・微細金属加工技術

インテリジェント・サーフェス株式会社

革新的生体親和性材料「MPCポリマー」を開発する東京科学大学認定ベンチャー

革新的生体親和性材料「MPCポリマー」を開発する東京科学大学認定ベンチャー

生体親和性が高く・高潤滑の膜でコート

人工血管などの体内に埋め込む医療機器は、人工素材が体内で異物と認識され生体反応が起こるという課題がある。IS社は最先端の生体膜模倣コーティング技術を駆使した、生体親和性の高い高分子材料「MPCポリマー」を開発。これをステントなどの部品の表面に被覆することで、体内で異物と認識されにくくなり、性能が持続し、表面トラブルを解決できる可能性がある。

 

MEDICA国際医療機器展2025

海外展開に力を入れ、すでに100万個近い医療機器の納品実績がある。営業面では展示会を重視し、今年もアメリカ、スイス、ドイツの展示会に参加する(写真はMEDICA国際医療機器展2025)。

世界トップレベルの超微細・薄肉加工

「髪の毛より細い穴を開ける」「紙より薄く削る」といった世界トップレベルの超微細・薄肉加工で多くの実績を持つ。試作品のスピード対応を強みとし、多様な素材を扱える設備と技術を備える。

 

医療現場の要望に応えるため大学病院でのヒアリングも

こうして両社の連携が決まったが、医療機器の研究開発には大量の実験データが必要となり、膨大な経費がかかる。そこでGo-Tech事業への申請を決めた。締め切りは間近に迫っていたが、NICO担当者もサポートし急ピッチで準備を進め、肝臓と十二指腸をつなぐ胆管ステントの研究開発事業として、無事に採択された。本プロジェクトにはNICOも事業管理機関という立場で参画。材料のニッケルチタンにレーザーでどのような網目を刻むか、どのような熱処理条件が最適かなどの検証を重ね、今年度は3年目となる。

IS社とは定期的にオンラインで推進会議を開き、進捗状況や課題を共有。担当する藤田氏は研究開発のメンバーとともに、IS社を通じて連携する千葉大学医学部を訪れ、実際に試作品を見てもらいながら医師から要望をヒアリングした。「私たちは基本的に加工屋。秘密保持の関係から製品の最終用途まで追えないことも多かったのですが、今回は医療現場の先生から用途や課題をリアルに聞けたことがとても勉強になりました」(藤田氏)。

医療機器

三次元座標測定機を備える品質保証体制

2014年にISO13485認証取得。世界最高水準の三次元座標測定機を備える品質保証体制で、医療機器分野でも売り上げを伸ばす。

 

これからのものづくりは外部とのつながりが重要

企業によってはスタートアップとの連携に対する苦手意識を持つケースもある。青海代表は「そういった企業が多いのも分かります。ですがリスクを考えていたら新しいものは生まれません。私たちもこれまで試作開発に取り組んできて、事業化しなかったプロジェクトも多くあります。ただ言われた製品を作るだけではこの先衰退しかないと考えています。積極的に外に出て、自社にはない強みや特徴を持つ企業と組むことで、競争優位性の高い製品や革新的な製品を生み出すきっかけが掴めると思います」と話す。「また、今回の連携をきっかけに外部での説明機会が増え、担当している社員のプレゼン能力が高まるといった効果もありました」。

青海製作所とIS社は、Go-Tech事業終了後も連携を継続し、胆管ステントの実用化に向け検証を重ねていく方針だ。そして医療機器と自動車を事業の二本柱とし、ゆくゆくは医療機器分野に軸足を置いていきたいと考えている。熱いハングリー精神で走り続ける同社は、これからも業界を牽引していくだろう。

青海代表

「IS社はまさに『運命共同体』。一刻も早く事業化・収益化させたいというハングリーさ、熱量が伝わってきて、IS社の切通代表と最初から意気投合しました」(青海代表)。

藤田氏

「ステントの形状テストや、表面コーティング用にステントを壊さずに拡張するための熱処理条件を出すことに苦労しましたが、これからも緻密な検証を重ねて完成させたいです」(藤田氏)。

 

POINT

  • 高い専門性を持つ2社の協業により、国際競争力のある医療機器開発が実現。
  • 積極的に外に出て行く姿勢が新たな出会いやビジネスチャンスを生み出す。
  • 連携開始から短期間でGo-Tech事業に採択。研究開発支援制度を利用し、開発を加速。

 

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株式会社青海製作所

[新潟本社]新潟市南区下曲通字中江下787
TEL.025-371-1510
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