株式会社ニイガタマシンテクノ【共同研究により自社の専門分野の壁を越え、加工工程の革新で新たな扉を開く。】

2026年04月17日
NICOpress205号新商品・新技術開発

共同研究により自社の専門分野の壁を越え、加工工程の革新で新たな扉を開く。

大型マシニングセンタなどの工作機械を製造するニイガタマシンテクノが、大型の加工対象物(ワーク)を加工機上で測定、解析するためのシステムを開発した。その要となる画像解析について共同研究に取り組んだのが、公設試験研究機関である新潟県工業技術総合研究所だ。共同研究に至った経緯や実際の成果などを伺った。

執行役員 技術部長 常川明 氏 / 技術部 制御・FA課長 児玉雄治 氏 / 制御・FA課 主任 菊地郁巳 氏
執行役員 技術部長 常川明 氏
技術部 制御・FA課長 児玉雄治 氏
制御・FA課 主任 菊地郁巳 氏

【プロジェクトメンバー(上部写真より)】左から/児玉課長、菊地主任、常川部長、新潟県工業技術総合研究所 技術統括センターの高橋氏、大野氏

 

連携事例 株式会社ニイガタマシンテクノ × 新潟県工業技術総合研究所

画像センシングによる
加工対象物の形状認識と良否判定システム

2022(令和4)年度に共同研究を実施。非接触の3D計測でワーク形状を認識し良否を判定。加工前の補正をサポートすることにより、段取り短縮と安定加工を実現する「e-na」として製品化された。

画像センシングによる加工対象物の形状認識と良否判定システム

 

顧客へのヒアリングを重ねニーズを正確に見極める

工作機械メーカーとして100年を超える歴史を有するニイガタマシンテクノ。国内外に多くのユーザーを持つ一方で、マシニングセンタで大型の鋳物部品を切削加工する際、加工対象物(ワーク)を機械にセットすると、寸法のばらつきが原因で位置ずれ(セット誤差)が起こりやすく、加工不良のリスクが高いという課題があった。同じ工作機械の中には、CADデータをもとに位置ずれを判別できる機能を備えた装置もあったが、下請けメーカーではそもそもCADデータを入手できないケースもある。そこで非接触でワークを撮影し、立体的な形状を把握できないかと着想。2つのカメラで対象を捉える「ステレオカメラ」という装置を自社開発し、特許も取得した。常川部長は「お客様からは『いいアイデアだね』と言ってもらえたのですが、購入まで至らない結果でした」と振り返る。

そんな時、あるメーカーから「ワークが大きくなるほど駄肉(鋳造工程で必要以上に厚くなった部分や突起など)が余計に付いて加工が難しくなる」という悩みを聞いた。一般的な加工では計測機器の先端部分がワークに接触した瞬間の座標データを取得することで寸法を計測する。接触式のため精度は高いが、駄肉が多いと器具が折れてしまったり、折れないようにギリギリまで人の手で微調整したりするので時間を要するといった課題があった。他のユーザーからも同様の意見をもらった常川部長は「CADデータを起こすより、精度はそれなりでも非接触でワークの画像解析が素早くできればニーズがあるのではないか」と考えた。再びヒアリングすると早く作ってほしいとの声があり、開発をスタートした。

 

県内製造業を支援する公設試験研究所とのつながり

開発にあたり以前から付き合いのあった新潟県工業技術総合研究所(以下、工技総研)に相談。工技総研では、県内製造業の技術開発を支援する目的で毎年共同研究テーマを募集しており、ニイガタマシンテクノの申請は共同研究の審査会を経て、令和4年度の共同研究のテーマの一つとして採択された。

「工技総研に助けていただきたかったのは、画像解析技術と測定精度の向上、処理時間の短縮、装置はどのようなものが良いかという点でした。以前開発したステレオカメラよりもニーズにマッチしたカメラ装置やソフトがあると教えていただきました」と常川部長。工技総研の大野氏は「ステレオカメラは、車間距離センサとして最近多くの車に搭載されていますが、相談ではそれよりも高い精度が必要。そこで、使用経験のある3Dスキャナをお勧めしました」と話す。

工技総研で測定したデータから形状を判定するためのベースとなるプログラムを作り、それを技術部の菊地主任が現場テストを元に使いやすい形に書き換える作業を行った。定期的にやり取りを重ね、9か月ほどで基本的な形が出来上がった。菊地主任は「プログラムに使用するPython(プログラミング言語)は未経験でしたが、セミナーを開いていただくといったサポートもあったおかげでスムーズに開発を進めることができました」と振り返る。

常川部長

「共同研究は互いの強みを持ち寄ることで、事業をスピーディーに発展させられる。知見や技術を寄せ集めることでプロジェクトにより深みも出るのではないのでしょうか」(常川部長)。

菊地主任

「新潟県工業技術総合研究所さんは非常に幅広いノウハウを持っています。必要なプログラミング言語も教えていただきスムーズに開発を進められました」(菊地主任)。

 

現場の課題を解決し生産性向上に期待

1年間の共同研究とその後の独自開発を経て完成したのが、レーザー式ワーク測定解析システム「e-na(イーナ)」だ。加工機にセットする前に3Dスキャナでワークに異なる投影パターンのレーザーを照射して表面形状を計測。あらかじめ登録しておいた基準データと比較することで、ワークのずれや異物を測定し、立体画像で表示される。判定誤差±1mmの精度、30~60秒での測定を実現。従来は加工機の中に入れてからしか分からなかった不良を、事前に非接触で外観検査し自動修正できるため、段取り時間の大幅な短縮や、生産性の向上につながった。

共同研究の成果をもとに、納品済みの加工機に後付けできるシステムと、システムを組み込んだスクリューロータ加工機NSMシリーズを製品化。特にスクリューロータ加工機は、日刊工業新聞社が主宰する「2025年十大新製品賞」を受賞した。

「通常、技術・開発分野は自社製品に関係する範囲内を深く追求しますが、画像解析は我々にとって範囲外でした。共同研究に至らなければ、視野が拡がらず殻の中でもがいていたと思います」と常川部長。今回は互いに技術者同士で話が通じやすく、目的を明確にし、社内で進めていた知見を軸にできたことが、プロジェクトをスムーズに進められた要因だと推測する。

共同研究により、同社は単独では難しかった高精度な非接触の3D画像計測技術を実現し、システムの市場投入につながった。工技総研は今回得た知見を別の支援プロジェクトに活かすこともできる。互いにメリットのある連携は、業界の発展を加速する意味でも大きな価値を生み出している。

 

三次元センサによる高精度測定技術の共同開発

マシニングセンタの機上計測オプション
「e-na(イーナ)」

マシニングセンタの機上計測オプション「e-na(イーナ)」

▶︎課題/鋳物などの大型・重量ワークは寸法ばらつきがあり、加工不良や工具破損が発生しやすく、生産性が低下

画像センシングで形状を事前検知することで、
高精度加工と不良率低減を実現

画像センシングで形状を事前検知することで、高精度加工と不良率低減を実現

3Dスキャナとパソコンのみで導入可能

 

加工前の自動チェックによる不良低減
⇒ 段取り時間を短縮=生産性UP

加工前の自動チェックによる不良低減 ⇒ 段取り時間を短縮=生産性UP

 

3Dスキャナによるワーク測定システム

3Dスキャナによるワーク測定システムは、製品化に至るまで菊地主任を中心に取引先を全国行脚し、現場ユーザーによる試用と改良を重ねた。計測結果は立体表示され、基準データとのずれが色の違いで示される。外国人オペレーターの使用も考慮し、誰でも扱いやすいインターフェースに工夫されている。

 

POINT

  • 現場の課題を基点に、自社技術だけに固執せず必要な解決ノウハウを持つパートナーを探す。
  • 連携先の知見・技術を取り入れることで相乗効果が生まれ、開発スピードがアップ。
  • 連携がプロジェクトの実現を後押し。高い製品完成度で市場投入に結びつく。

 

企業情報

株式会社ニイガタマシンテクノ

新潟市東区岡山1300
TEL.025-274-5121
URL https://n-mtec.com/

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