株式会社テーエム
代表取締役 渡辺 竜海 氏
三条市で50年以上、鉄の黒染め加工を手掛けている株式会社テーエム。3代目を継いだ若き社長が新たな事業として挑戦した「ステンレスの黒染め」が、いま大きな反響を呼んでいる。
常識を打ち破ったステンレスの黒染め加工で 全国そして世界へ
市場ニーズを予感し ステンレスの黒染めに挑戦
株式会社テーエムは、鉄の防錆や高級感を高めるための「黒染め」を行う専門会社として創業。地元の金属加工業を主な顧客に、機械部品などの加工を手掛けてきた。そんな同社がステンレスの黒染め技術を開発。2年前からサービスを開始し、いま熱い注目を集めている。
これまで、業界ではステンレスは黒染めできないというのが一般常識。そこに挑戦した背景を渡辺社長は「3年前位からステンレスを黒染めできないかという問い合わせが急に増えて、需要があると感じました。薬品メーカーに相談したところ、使えそうな薬品があり、そこから研究、改良をして独自に技術を確立することができました」と振り返る。
「当社は加工業なので、自社商品への憧れもあり、いま黒染めを活かした製品の開発にも取り組んでいます。社員と一緒に挑戦してメーカーになっていきたいですね」と語る渡辺社長。
雑貨からインテリアまで 多彩な業種との取引へ
同社では、ステンレスの黒染め技術を「玄(GEN)」と命名。機械要素技術展や地元の展示会で発表したところ、かなりの好感触を得た。「ステンレスに関する新技術が求められていると感じました。展示会から取引が始まったケースも多いですし、ホームページからの問い合わせも増加。鉄は8割が市内のお客様ですが、ステンレスは全国から依頼があります」。
当初、鉄への黒染めは防錆という大きな目的があるが、元々錆びにくいステンレスには意味がないのではと思う部分もあったが、蓋を開けてみると雑貨、釣り具、カメラ用部品、刃物など、幅広いジャンルから依頼が舞い込んでいる。「ステンレスの場合、少し色ムラが出てしまうのですが、それを風合いとしてアピールしたところ、デザイナーの目にとまって、店舗内装の資材に採用され、リピーターになっていただけました。インテリアとの組み合わせは本当に意外でしたね」。
高いデザイン性や、さらなる防錆効果、光の反射を抑える反射防止効果があるステンレスの黒染め。光学機器等の部品の処理にも適しており、活用先はまだまだありそうだ。
世界各国のバイヤーからも 高い評価を得た黒染め技術
昨年11月、同社はバンコクで開催された国際見本市に参加。「知り合いから誘われたのですが、国内で珍しがってもらっているステンレスの黒染めが、海外ではどう評価されるのか興味が湧いて、出展を決めました」。
現地では来場者が黒染め製品を購入してくれたり、タイで加工できないかと要望されるなど想像以上の反響だった。「昔から海外での仕事に憧れがあったのですが、その夢が膨らみました。黒染めは設備投資がさほど大きくないので、海外進出できる可能性もある。海外展開のセミナーなどに参加して勉強を始めました」。
この秋、ステンレス用のラインを増設し、受注態勢を整えた同社。常識を打ち破って生み出した新たな技術を武器に、飛躍していく姿が今から楽しみだ。
長年培ってきた鉄の黒染め技術を応用させ、安定感を高めたステンレスの黒染め処理を実現。
NICOのコレを活用!
「海外見本市等出展事業助成金」を活用して、タイ・バンコクで開催された国際見本市に出展。今後の展開へのヒントを得ました。
企業情報
株式会社テーエム
〒955-0814 三条市金子新田丙967
TEL.0256-33-1200 FAX.0256-33-5360
URL http://www.tm-tm.net/index.html