パンとおやつ 奥阿賀コンビリー

2020年01月31日
NICOpress168号創業補助金

Iターンで起業。
阿賀町の食材を活かした商品で地域の魅力を発信

麒麟山のふもと、阿賀町津川地区にある奥阿賀コンビリーは、地方での起業を志し、4年前に当地に移住した柳沼夫妻が開業したお店だ。地元ならではの食材を使い、「ここにしかない、ここでしかできない」パンや焼菓子を製造販売するとともに、地域に埋もれていた農産物を掘り起こし、発信する取り組みも行っている。

パンとおやつ 奥阿賀コンビリー 柳沼 陽介 氏
柳沼 陽介 氏

地域商社「阿賀町もりあがろう商会」の代表でもある柳沼氏。「地方だからこそ尖がったことができるし、特色を出しやすい。地元の人は当たり前だと思っているけど、まだ流通していない農産物が地域にはたくさんあるので、ビジネスにも繋がりやすいと思います」。

「地方の特色を出す」ために地域資源を活かす

阿賀町津川地区の雁木通りに店舗を構える奥阿賀コンビリーは、2016年5月にオープン。地域おこし協力隊の制度を利用して阿賀町に移住した柳沼夫妻が、地元の食材を使った商品の開発・販売を行う拠点として開業した。
福島県出身の柳沼氏は、それまで東京の「千疋屋総本店」で商品の企画開発や営業を担当。同社のパティシエだった沙織氏は製菓学校の講師を務めていた。「以前から地方で店を持つことに興味がありました。ある方に地域おこし協力隊という制度を教えてもらい、全国の募集自治体を調べていたところ、阿賀町が“地域の産物を活用した特産品の開発や販売を行う人材”を募集していたのです。私たちの今までの仕事と、起業するに当たってやりたいことが一致していたので、候補地の一つとして考えるようになりました」と柳沼氏。そこで最終的に候補地を絞るため、阿賀町の視察に訪れたところ、魅力のある食材が豊富にあることに驚いたという。「ここは中山間地域なのでクルミやエゴマ、栗、自然薯、山菜などが豊富にある。地方で店を開くには、その地域ならではの特色を出すことが強みになるので、何を原材料に使えるのかというのはとても重要なことでした」。

パンとおやつ 奥阿賀コンビリー 店内風景 パンとおやつ 奥阿賀コンビリー 店内には約15種類のパンをはじめ、鬼ぐるみと阿賀野市の発酵バターを使ったパウンドケーキやサブレなどの焼菓子が並ぶ。

店名のコンビリー(こんびり)とは、地元の方言で「おやつ」の意味だとか。店内には約15種類のパンをはじめ、鬼ぐるみと阿賀野市の発酵バターを使ったパウンドケーキやサブレなどの焼菓子が並ぶ。

 

鬼ぐるみを安定供給する連携体制をつくる

地元の豊富な食材をはじめ、津川の雁木通りが魅力的に見えたこと、空き家を店舗として借りることができることなども決め手となり、阿賀町への移住を決断。また開業前、開業後も町役場や商工会がバックアップしてくれたことも大きな力になった。
「阿賀町の特産品の開発と販売が協力隊としての仕事なので、まずはここで商品を作る体制を少しずつ整えていった3年間でした」。協力隊の任期は3年だったが、任期終了後も店の経営を続けることを選択。そこでNICOのU・Iターン創業加速化事業を活用し、2019年2月に個人開業として新たなスタートを切った。
旬の地元素材を使ったパンやお菓子を目当てに、町内外から訪れる人が増えてきたが、商品作りとともに柳沼氏が力を入れて取り組んできたのが、「鬼ぐるみ」の安定供給と流通体制を作ることだった。「市場に出回るクルミはほとんどが外国産です。阿賀町の山などで育つ鬼ぐるみはコクがあって美味しいのですが、食べられる部分が少なく、殻から実を取り出しにくいことから流通に至らなかった。そこで地元に生産者組織を作り、鬼ぐるみをビジネスとして循環させる仕組みを作ってきました」。
地元の人たちが拾い集めてくれたくるみを買い取り、町中から集めた後、殻から実を取り出して、殻のかけらが混入していないか選別する作業を、3か所の福祉施設に依頼。こうして地域や協力先との連携体制を整えたことで、年間1〜2トンを確保できるようになった。「量が安定してきたので、次の商品開発を進めていますし、今後は広域に流通できる商品に育てていきたいです。

パンとおやつ 奥阿賀コンビリー 阿賀町の家庭で食べられてきた鬼ぐるみ

阿賀町の家庭で食べられてきた鬼ぐるみ。初めてクルミの木を見に連れて行ってもらったとき、山道に落ちているクルミを軽トラックでバリバリと割りながら進むのを見て、なんて豊かな町なのかと衝撃を受けたという。
パンとおやつ 奥阿賀コンビリー パティシエである妻の沙織さんと、スタッフのみなさん

パティシエである妻の沙織さんと、スタッフのみなさん。

 

地方ならではの起業の形 ビジネスの可能性がある

同店の商品以外にも、地元の日出谷小学校と共同開発したエゴマのドレッシング、ふりかけも好評だ。「エゴマにも注目していたので、小学生たちが学校の畑で栽培したエゴマを使って商品を作りたいというのを聞いて、面白いと思いました」というように、商品コンセプトを決めることからレシピまで、小学生が主体となって商品を開発。東京日本橋のデパートで生徒たちが試食販売を行うなど、商品のPR活動にも取り組んだ。
今年3月にはカフェコーナーを新設し、お客様がより楽しめる店づくりを進める。一方、これまで行っていた特産品の企画開発を別事業にするために「地域商社阿賀町もりあがろう商会」を設立。生産者や行政と連携して阿賀町ブランドの商品を作り、全国へ発信していきたいという。
「地方で起業したい人はたくさんいると思いますが、資金面を考えると踏み出せない人もいるはずなので、各地域にどういう支援があるのか情報が欲しいです。また、その地域で数週間、または何か月とか“お試し期間”のような形で店を開くことができる支援などがあれば、起業への不安も少しは軽減するのではないでしょうか」。
地方だからこそ、そこでしかできないビジネスの可能性があるという柳沼氏。今後も地元で隠れている素材を掘り起こし、阿賀町の魅力発信と活性化に繋げてゆく。

パンとおやつ 奥阿賀コンビリー 日出谷小学校との共同開発商品

日出谷小学校との共同開発商品
パンとおやつ 奥阿賀コンビリー 阿賀町ならではの魅力ある商品、魅力、文化を全国に発信している。

地域資源の発掘や商品開発のため阿賀町の人たちとアイデアを出し合い、阿賀町ならではの魅力ある商品、魅力、文化を全国に発信している。

 

ポイント

  • 行政や支援機関、生産者、小学校、福祉施設と連携しながら事業を推進
  • 地元の食材にこだわり、特色のある商品開発を行う
  • 地域資源を掘り起こし、安定供給や流通体制を整える仕組みを作る

 

企業情報

パンとおやつ 奥阿賀コンビリー

〒959-4402 阿賀町津川3668
TEL.0254-92-7100
FAX.0254-92-7100
URL http://combirie.jp

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