調査用ドローンを研究開発し 下水道管路検査の省コスト化を実現
今回の開発に携わった技術営業部の小島氏、小島常務、雲田社長と、総務の阿部氏(写真右から)。「このドローンを利用すれば調査費用がかなり抑えられるので、全国でもっと下水道管の検査が進められると思います」と雲田社長。小島常務は「今後はドローンからの映像を無線で飛ばし、リアルタイムで管内の状況を見られるようにしたい」と語る。
省人化やコスト削減を追求し調査方法を考案
電気設備工事をはじめ、上下水道設備の設計・施工・調査・維持管理、ICT設計・施工などを手掛ける株式会社雲田商会は、平成29年度の「先進技術開発支援事業」を活用し、「下水道管路検査用ドローンロボットの開発」に挑戦した。
同社は下水道管内部の異常箇所や不具合を調査するため、これまでレーザーや水位センサを用いた測定方法、管のたわみ・ゆがみなどを測定する技術を開発してきたが、「下水道管の調査では人やロボットカメラを安全に走行させるために、管内の大気の測定や清掃、止水などを行うので非常にコストがかかります。そこでドローンを使えば人が入らなくても管内の調査ができると考えたのです」と雲田社長。一昨年から社内で調査や研究を進め、支援事業の採択を受けて本格的な開発に着手した。
ドローンの設計から着手 画期的な走行技術を実現
「ドローンそのものを作るのが一番難しかったです」と研究開発担当の小島氏。「市販されているドローンの性能検証から始めました」と小島常務が言うように、当初は市販品を改良して試作機を製作するが、飛行がうまくいかないため、ドローンの機体設計から行うことにした。何度も実験し改良を重ねた結果、このドローンの最大の特徴となる「天面走行機構」を実現。管の中を飛ぶのではなく、管の天井面に張り付いて走行させることで安定した調査ができるようにした。現在も長岡工業高等専門学校、芝浦工業大学との共同研究を進め、人の手を借りない完全自動制御システム化を目指している。
全国に普及させることで社会インフラの再生に貢献したい
「自社内で開発していると、どうしても甘えの気持ちが出てきます。しかし、NICOの支援事業で進捗状況を定期的に報告しますので、プレッシャーもかかりますが、やりがいも感じます」と雲田社長。今回の開発では日本下水道管路管理業協会が協力し、今後の販路体制もバックアップ。また、商社からのオファーも来るなど、各方面から大きな期待が寄せられている。「この調査用ドローンを全国の同業者に利用していただき、コストを削減することで社会インフラの再生に貢献できればと思っています」。
国内の下水道管の長さは約47万km。そのうち1万kmは50年以上経過しており、一刻も早い調査・対策が求められている。日本の社会インフラを支える同社の技術に、今後ますます注目が集まるだろう。
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