材料表面の精密測定技術でモノづくりの進化を支えていく
「ベンチャーが発展するために新潟に足りないのは、ベンチャーが集まる場。昔は民間が引っ張っていったものだけれど、今はそういう状況が生まれにくい分、NICOなどにネットワークづくりやサロンのような場づくりを支援してもらえたらと思いますね」と語る松原社長。
進化することへの挑戦 今まで無かった試験技術を広めたい
平成22年に創業した株式会社パルメソは、ナノレベルでの測定・分析を可能にした材料表面特性を測るMSE(マイクロ・スラリージェット・エロージョン)試験法を確立。その試験装置の販売、受託試験などを行っている。
MSE試験法は、松原社長がマコー株式会社の経営者時代に、同社の表面処理のウェットブラスト技術を応用して、福井大学と共同研究で誕生したもの。塗装膜から基材まで連続した強さ、均一さなどをナノレベルで評価できることで、従来よりも1桁、2桁も精度の高い「材料を見える化」を可能にした。
この全く新しい試験技術を世に出すため、松原社長は会社設立を決意した。「マコーは製造装置メーカーで、こちらが手掛けるのは試験装置。市場も売り方も、技術の見せ方も全く異なるので、別会社にした方がいいと判断しました」。
あらゆるジャンルに活用可能。だからこそ認知度を上げたい
こうしたイノベーション創業は売上を伸ばすまでに時間がかかることが課題。「新技術として開発に当たっての支援は受けやすかった面はあります。特殊技術のため市場規模は大きくはないが、技術が活かせる範囲はとても広い。一方で苦労しているのは、会社の認知度をあげるための取り組み。展示会へのサポートなども活用させていただきましたが、マーケティングでの資金的な支援メニューが充実したら、よりありがたいと思いますね」。
最初は学会での発表を皮切りに、展示会や専門誌への執筆、講演会などで技術をPR。最近はネット経由で受託試験の注文を受けることも増えてきた。「先日は漆の強さ分析依頼がありました。工業系だけでなく、こうした文化財など、いろいろな活用の可能性があると感じています」。
MSE試験装置
赤丸部分が投射ガン、黄色四角部分が処理チャンバー。内部に投射ノズルがある。
形状計測部
長岡発の技術にこだわり創発として伸びる存在に
長岡の地で常に新技術開発と向き合ってきた松原社長は、“長岡発”にこだわり続けたいとも話す。「金属加工部品なら何でも作ることができる企業が集まる長岡は、大変良い立地です。当社の装置開発も長岡の技術に支えられています。地域が生き残るためには、そこに発注する企業が増えていく必要がある。マコー規模の会社が長岡に20社、県内に100社ほどになる姿が夢ですね」。
付加価値の高いものを開発し、売っていくことが重要という松原社長。「社員は入社してOJTでスキルを磨いています。新しいことも5年くらいやっていけば、自分でも見えてくるものがある。そういう意味では、当社も社員がそろそろ育ってきています。情報の先にあるwantをしっかりつかんで、市場を拓いていきたいと思います」。
会社情報
株式会社パルメソ
〒940-2005 長岡市巻島1-20
TEL.0258-86-0240
FAX.0258-86-0241
URL http://www.palmeso.co.jp