昭和34年に埼玉県で創業し、上越市に拠点を置いて今年で25年目を迎えたシゲル工業株式会社。家庭用ステンレス流し台のシンク・天板の製造でトップシェアを誇る同社は、現在、海外展開や新技術の開発などに取り組んでいる。
独自のプレス加工技術で開発したステンレスシンクで海外市場に挑戦
シゲル工業株式会社
代表取締役社長 今井 辰美 氏
スタイリッシュでシャープな画期的なシンク
家庭用キッチン流し台のステンレスシンク・ステンレスカウンターを製造販売するシゲル工業株式会社は、パナソニックやTOTOへのOEM供給をはじめ、全国のキッチン・ハウスメーカーに製品を提供する金属プレス加工メーカー。大型プレス機をはじめ多様な設備を駆使した「深絞りプレス加工技術」が最大の強みだ。
商品開発にも力を入れる同社は、昨年、新製品のステンレスシンク「JS15 シリーズ」を発売した。「一般的なプレスシンクのコーナーアールはR60からR80。JS15はこれまで板金でしか製作できなかったR15を、プレス成型で実現した画期的なシンクです」と今井社長。プレスシンクでは最小のコーナーを実現し、平成28年度の「メイド・イン上越」にも認証された。
スクエア形状の「JS15L 3Fシンク」は、立体的に使うことでシンクスペースと調理スペースを同時に確保できる。この9月には、やや小型のミドルサイズも完成予定(写真上)。通常は自動車のボディなどを絞る1,200トンのプレス機で、ステンレスシンクの絞りを行う。充実した設備と技術力が、他社では真似のできない製品を生み出している(写真下)。
国内市場の縮小に対応海外販路の開拓を目指す
スタイリッシュなデザインの「JS15L 3Fシンク」は、シンク内に2段のバーを取り付けており、まな板や水切りプレートなどを段違いで使えるほか、サポートプレートで上部を調理台として活用できるなど、効率的な作業を行える多機能シンクだ。
「この商品は国内だけでなく、海外市場もターゲットに開発しました。少子高齢化が進み、国内の住宅市場が縮小する中で生き残るためには、海外販路の開拓が重要です」。そこでNICOの「海外市場獲得サポート事業」を活用し、今年は台湾、来年は欧州での展示会出展を予定。まずは現地調査で反応が良かった台湾を手始めに、ステンレスキッチンへのこだわりが強い欧州へと販路を広げていきたいという。
「上越工場ができて25年。当社の技術を活かした商品を、地元企業として発信していきたいという思いから“メイド・イン上越”の認証を取得しました」と語る今井社長。
成型加工技術に挑戦プレス絞りの工程を削減
近年は生産性向上を課題と捉え、省力化・効率化の推進を図る中、現在「ゆめづくり助成事業」を活用して進めているのが、ステンレスシンクの深絞り加工を2回から1回に削減する技術の開発だ。1回のプレス絞りで完成品を製造する、他社では例のない成型技術。金型も削減でき、製品のコストダウンが可能になる。「今後はJS15の他、新商品開発に力を入れ、海外需要にも目を向けたい。また、家庭用キッチンにとどまらず異業種も視野に入れ、当社の技術を活かせる分野を伸ばしていきたい」と今井社長。独自の技術力と開発力で業界トップを走る同社の今後に、ますます注目が集まりそうだ。
NICOのコレを活用!
「海外市場獲得サポート事業」を活用し、海外での市場調査や展示会出展を実行。また、「ゆめづくり助成事業」を活用し、新しい成型加工技術の開発に挑戦しています。
企業情報
シゲル工業株式会社
〒942-0147 上越市頸城区西福島401-2
TEL.025-545-0050 FAX.025-543-7933
URL http://www.shigeru-k.co.jp/