現場に応じたシフトを自動生成。
新潟から全国の小売・サービス業の
店舗シフト管理をサポート
小売業やサービス業の店舗における従業員のシフト管理は、担当者がかなりの時間をかけて行う大変な作業だが、これをシステム化し、現在国内83社(2023年2月時点)で採用されているのがオーエムネットワークの「R-Shift(アールシフト)」だ。
最もシステム化が難しかったという人と作業の管理を成功させた背景や、会社の強みについて話を伺った。
インターネットのおかげで、新潟からも十分に全国のお客様をサポートできています。説明なども全てWeb上でできるので、新潟にいることは全くハンデになりません。取引するお客様は海外店舗を持つところも多いため、自動的に海外でもR-Shiftが使われています。この形は今後も増えていき、その先にグローバル的な展開も広がっていくだろうと思っています。
人と作業をマッチングする
システム技術に高い評価
オーエムネットワークは大野代表が2002年に立ち上げ、創業以来、新潟県内の小売業・卸売業・物流業の基幹システムのアウトソーシングを手掛けてきた。2016年にリリースした小売業・サービス業の店舗向けシフト管理システム「R-Shift」は、従業員1,000人以上の小売業における導入企業数が2020年から3年連続ナンバーワンという快進撃を続けている。
R-Shiftはレイバー・スケジューリング(LS)という、人的資源を効率的に活用し、生産性を高める人員配置・稼働計画の手法に基づいて運用されるシフト管理システムで、シフトと作業割当を自動で作成する。従業員の勤務管理ではなく、人と作業のマッチングを管理するシステムだ。
大野代表は「人と作業の組み合わせは、人数、日数、時間帯、その作業が出来る人と出来ない人など、膨大な数のパターンがあります。人間はそれを無意識のなかで頭の中で最適化し、スケジュールを組んでいますが、それをシステム化するのはとても難しい。R-Shiftはそのマッチングの精度とスピードが優れていると認められたことが、多くの企業に導入していただいているポイントだと思います」と話す。シフト作成をする作業時間の短縮だけでなく、担当者によって判断が異なるシフトの組み方に対し、その会社なりの正解を持たせたい、という要望にも応えられるシステムになっている。
R-Shiftはクラウド型のシフト管理システムのため、コスト面など中小企業でも導入しやすい仕組み。企業ごとの業務特性に合わせてセッティングすることで、最適なシフトの解答を作成してくれる。
▶︎AI搭載で精度の高いシフトを自動作成
世界最高速の数理最適化エンジンを搭載し、店舗の複雑な条件を考慮したシフト表を素早く作成できる。
▶︎ワークスケジュール機能で作業割当を自動化
従業員のスキルや経験を考慮した煩雑な作業割当表やレジ割当表を作成可能。
▶︎店舗横断型のシフト配置で効率的な多店舗運営を実現
▶︎800を超える標準機能からオーダーメイド
大手小売業の構想を
実現するパートナーに
R-Shift開発は某大手小売業(D社)からの打診がきっかけだった。「当時、店舗で働く従業員の人数が多く、そのコントロールが企業の大きな課題でした。管理システムの歴史としては経理や販売、生産管理といったモノとお金の管理の仕組みは今までもありましたが、人の労働に関する管理は遅れていました。LSの考え方は1980年代にアメリカから入ってきていましたが、ハードとソフトが追い付かず、下火になっていたのが改めて2015年あたりから再燃。D社がいち早く取り組んだ形です」。
大野代表は前職(日本ユニシス/現BIPROGY)で、小売業のシステム企画開発を手掛け、レイバー・スケジューリングプログラム(LSP)もテーマに取り組んでいた。そのためLSPに関するシステム開発について会社のホームページに掲載していたところ、D社側からアプローチがあり、プレゼンを経て選ばれたという。創業以来、流通業界などの基幹システムを構築しながら積み重ねてきた、小売業・サービス業の業務知識、システム化のノウハウも同社の強みだ。
同社では企画、開発、販売、サービスまで、全て自社で行っている。お客様には、コンサル的立場の営業、お客様と会社の間を調整するコーディネーター、システムを作るプロデューサーがチームとなって対応する。
数理最適化の技術で
パッケージ化に成功
R-Shiftは数理最適化というAI系技術を採用していることでマッチングの精度と速度を高めているが、これは開発当初からのものではなかった。「LSPの考えに基づいたシステムは提供できましたが、やはり組み合わせが複雑なので処理時間の問題や、他の企業に展開するときの課題が出てきました。AIを使う必要があるけれど、どの手法がいいのか悩んでいたときNICOさんに相談したら、ある会社を紹介していただき、機械学習ではなく数理最適化の手法のアイデアが生まれました。この視点が無ければ、パッケージ化はできなかったと思います」。
人材・スキルを考慮した、無理や無駄のない公平なシフト作成の自動化は、潜在的ニーズが高い分野だったこともあり、導入事例が増えるほどに顧客も増加。スタート4年目からは黒字になった。「人材不足が課題のいま、少ない人数で現場を回すためには一人が複数の仕事を担当しますし、短時間労働者の増加でマッチングのパターンも増えているのでニーズは高い。コロナ禍前は大手企業が生産性を上げる目的での導入がメインでしたが、最近は中小企業からの問い合わせも多く、すそ野は広がってきています。この3月にはマルイ(見附市)さんから新潟県内で初導入していただきました」。
業務や業界に関するコラムをネットで配信。シフト管理、生産性向上といったワードで検索すると上位にヒットし、かなりのアクセス数がある。これを見た企業からシステムについての問い合わせが入るというのが、一つのパターンになっている。
人と作業にまつわる仕組みの
全てを提供するサプライヤーに
現在、企業がこのシステムをより導入しやすくするため、最初に必要となるマスター設定を極力無くす取組を進めている。「現状では導入する際、お客様側には作業の内容や、誰が担当できるのかといった作業分析をしていただいて、条件を設定することが必要です。この現場の作業の可視化が実は大変で、企業力の差が出るところでもあるので、マスターを自動設定できるような機能ができれば、規模に関わらずより多くの企業に使っていただけるものになると思います」。
R-Shiftは既存の労務管理システムとの連携にも対応している一方、2021年には、勤怠システム「R-Kintai」をリリースした。R-Shiftとの連携を図ることができる仕組みとして提供を始め、R-Shiftユーザー企業に導入が始まっている。「今後はシフト、勤怠、人事管理がシームレスで連携できるようにして、人と作業にまつわる仕組みの全てを提供できるようになっていければと考えています」。
企業情報NICOクラブ会員
オーエムネットワーク株式会社
新潟市中央区東大通 2-1-18 だいし海上ビル6階
TEL.025-250-5733
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