デジタル技術を活用し、柔軟な働き方を提供。
“matchbox”で企業と働き手を直接つなぐ
Matchbox Technologiesは、企業の柔軟な職場環境づくりをテクノロジーで実現する企業。人材の採用にかかる時間やコストを削減し、働き手に柔軟な働き方を提供するアプリケーション「matchbox」は、人材不足を解消する人材プラットフォームとして各業界や自治体に導入され、高い評価を得ている。
「湯沢町の“ゆざわマッチボックス”は、町からの問合せと同じタイミングで新潟県からも“柔軟な働き方を研究したい”という話がありました。町の担当者の熱量が高く、それに応えて県も支援してくれました。両者の熱意がなければ実現しなかったと思います」と話す佐藤代表(写真右)と山本部長(写真左)。
人材の量と質を確保し
ギグワークに対応するアプリ
多様な人材を企業とつなぎ自社独自の人材データベースを構築し、求人から採用・労務管理をワンストップで行うアプリケーション「matchbox」を提供するMatchbox Technologies。この革新的なシステムの誕生には、佐藤代表が2004年から始めたコンビニエンスストア経営で、深刻な人材不足を体験したことが背景にあった。「コンビニのメガフランチャイズが進み、首都圏も地方も人材不足という課題を常に抱えていました。それを解決するためローソン本部と人材派遣会社を合弁で設立し、研修を受けた人材を加盟店に紹介していましたが、遠方へ派遣する“距離”の問題は解消できなかった。スキルのある人材を合理的に、かつコストをかけずにマッチングするには、デジタルを活用するしかないと考えました」。
近年は働き手のニーズも変わり、ギグワーク(※1)という働き方を選択する人も増加。一方、企業では採用、教育、退職を繰り返す構造は変わらず、スキルを持つ身近な人材を活用できる仕組みがなかった。そこで同社は短期・単日・短時間の就業に特化した業務システムmatchboxを開発。導入した企業が自社専用のシステム内に、現役従業員、OB・OG、登録制アルバイトを中心とした独自の人材データベースを構築し、シフトの共有から採用まで手軽に行えるようにした。さらに、採用者の雇用手続きから給与計算、支払いまで全て自動化で対応。企業と働き手を直接つなぎ、互いに対等な関係を築くことを目標にした。「企業と働き手の信頼関係あるコミュニティを形成し、人材会社に依存せず募集するセルフソーシング®(※2)という考え方です。派遣利用よりも採用コストを大幅に削減でき、直接雇用なのでスキルも蓄積されます」。コンビニをはじめ製造業、医療、物流などの業界で導入され、人材の量と質の確保、採用費削減に成果を上げている。
自治体への導入は全国初。
町が主体となってマッチング
同社は昨年7月、湯沢町からの委託を受け、湯沢町独自のギグワークプラットフォーム「ゆざわマッチボックス」の運用を開始した。観光産業が中心の湯沢町では、宿泊業や飲食業などの人手不足が慢性化している一方で、子育て世代からの「働く場所がほしい」「町内の求人情報を一括で見たい」という要望が寄せられていた。そこで町が主体となって町内企業と求職者のマッチングを行い、企業の業務効率化を図ることを目的に、matchboxの導入が決まった。
ゆざわマッチボックスは、町内の登録企業がサイトやアプリケーション上に簡単に求人を出すことができ、登録した求職者はその求人に対して短期単発から申し込むことが可能。また、企業と求職者のマッチングが成功すると、その採用者を「自社会員」として企業が登録し、継続的に仕事を依頼できるという利点もある。企業からは、「複数回働いてくれる方も多くて助かる」「スポット雇用のため、業務をマニュアル化するきっかけになりそう」などの声が。求職者からは「町の公式サービスなので安心して登録できる」「仕事の検索から給与の受け取りまでアプリで一貫して終わるので驚いた」という声が寄せられている。こうした信頼性の高さと利便性の良さから、これまで登録法人が64社、登録者は745名(※3)と、想定以上の結果を出している。「まずは参画した企業にデジタル化の良さを理解していただき、その企業が独自のプラットフォームを開設して、退職者への呼びかけなどにつなげていくこともできます」。
1日単位、数時間から働ける求人を掲載する「ゆざわマッチボックス」。応募者は履歴書の提出や面接がなく、採用結果もすぐに届くことから、隙間時間に働きたい人に好評。首都圏や大阪の登録者もいるという。
誰もが働ける機会を提供。
選択肢を多く持てる社会に
今後はこの仕組みを湯沢町だけでなく、他の自治体にも広域的に展開していきたいという。「プラットフォームで地域がつながると、登録者は県内各地で自由に働くことができます。どの自治体で働いても情報が記録されるので、次も採用されやすいという利点もある。我々は“ヒトと企業、マチをつなぐデジタル就業インフラ”を構築することを目指しています」。単体ではなく地域が連携することで、将来的に大きな成果が得られると考えている。
「matchboxは道具なので、使い方を研究していきたい。例えば、あるスキルが地域にどれくらい必要とされているかを可視化し、就業支援の研修に利用しマッチングさせていくなどの切り口があります。そして目指すべきは何かというと、誰もが働き方の選択肢を持てる社会です。20代や30代、シニアや障がい者、ある条件において弱者となる人たち、いろいろな人に働く機会を提供できる、選択肢を多く持てる仕組みを作っていきたいです」と佐藤代表。これからも誰もが自分らしく働ける世界をテクノロジーで実現し、新潟から社会全体を盛り上げていく。
企業情報
株式会社MatchboxTechnologies
新潟市中央区女池上山3-14-10
TEL.025-384-4457
URL https://matchboxtech.co.jp/