株式会社テック長沢【多様な人材が活躍する成長企業に】

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2023年02月08日
NICOpress186号人材育成

多様な従業員がそれぞれ輝きながら一つの方向を向くために

金属部品の切削・研削加工で右肩上がりの成長を遂げるテック長沢。売上高に比例して社員数も約20年間で18名から180名と10倍に増加した。新卒採用にも力を入れ、20代~30代の役職者も多く活躍する。その秘密を探るべく、人材活用の取組や人材に対する考え方を聞いた。

代表取締役 長澤智信 氏

「人材については誰かをひいきするわけでも、特別な配慮をするわけでもありません。誰だって病気をする可能性もありますし、出産や育児で1、2年休むこともありますが、その後の会社員人生の方がずっと長いわけです。様々な立場の社員が働きやすい環境をつくり、それぞれの得意をどう活かすか。それだけです」と長澤代表(写真中央)。

外国人、障がい者、県外経験者など
属性に縛られない人材を採用

テック長沢の従業員数は、2023年1月現在で180名。そのうち外国人は33名(正社員4名、技能実習生29名)、障がいのある人は6名雇用している。一定規模以上の民間企業は、従業員に占める障がい者の雇用割合(法定雇用率)を2.3%以上にする義務があるが、同社は約3.4%だ。「障がい者雇用に関しては、法定雇用の問題でどうしたらいいかと市役所に相談したのが最初のきっかけでした」と長澤代表。長岡市の支援センターを紹介され、実習支援を利用しながら2015年から雇用を始めた。「一緒に仕事をしてみると、それほど身構える必要はないなと感じました。はじめから、他の社員と変わらず、それぞれの強みを活かしながら働く人材として雇用しようと考えていました」。現場の表示を誰でも理解しやすいものに変え、手順を分かりやすく説明するツールを整備した結果、外国人従業員にとっても分かりやすく、皆が働きやすい職場になり、生産効率も向上したという。

事務所では時折、関西弁が飛び交う。県外から単身赴任で来ている社員もいるからだ。これまでの仕事で意気投合した取引先の社員などが転職を考えていた際に、長澤代表が誘ったという。地元出身の若手を欲しがる企業が多い中、同社では属性に縛られない人材採用を重視してきた。「他社で本来の力を発揮できなくても、弊社では活躍できるかもしれないですから」。性別、国籍、出身地などの属性ではなく、どんな人が仲間になってくれるか。それを見極めることが自身の重要な役目だと考えている。

テック長沢が得意とする特殊な金属部品の切削・研削加工では、試作品の設計や小ロット製品の対応、加工に必要な治具部品の製造など、技術者による手作業が欠かせない。ベテランのOBに教育者として入ってもらい、若手社員に技術を伝承する体制をとっている。

テック長沢の社員構成は20代~30代が半数以上を占める。

 

多様な人材が能力を発揮し、成長していける環境をつくる

長澤代表は「雇用の創出こそが、地域における企業の最大の使命」と考え、採用に力を入れてきた。柏崎市は立地的に労働人口の出入りが少ない。経験者を地域内で採用しようとすると同業他社から引き抜く形になる。それでは右から左に人が移動するだけで、地域の発展が見込めない。そのため新卒学生の採用においても、地域に縛られない、理系・文系も問わない方針をとる。社員の多様性が広がることで、新しい発想や社内の活性化も期待できる。

一方で、多様な社員が一つの会社で働くには互いに違いを理解して認め合う必要がある。そこで社内イベントを積極的に行い、社員同士の意思疎通を図っている。

また、社員が意見を発信し、成長するための仕組みとして「改善提案制度」がある。2月から12月まで毎月、業務の改善点や気づきを募集する。気軽に出しやすいようノルマはない。提案の質を課長が3段階で評価し、1提案につき報奨がもらえる。年間グランプリの社長賞や部長賞もあることで、積極性や、モチベーションの向上につながっている。

社員の教育や人事評価制度に関しては、成長につながるようスキルマップを整備し、毎月の面談も実施している。各社員の等級に合わせて身につけるスキルやそのための計画を提示し、半期に1回評価する。最終的に人事委員会まで上がった評価が、半期ごとに本人にフィードバックされる仕組みだ。従業員は半期ごとの自分の目標を明確に意識して仕事ができる。資格や免許の取得、技能検定への挑戦についても会社が費用を全面支援し、従業員がキャリアアップに挑戦しやすい環境をつくっている。

 

テック長沢の人事評価では、社員のタイプに合わせて「新しい挑戦に意欲的なタイプの従業員(ファーストペンギン)」と「同じ仕事を高品質で続けることが得意なタイプの従業員(フォローペンギン)」の2つの軸で評価し、それぞれの人材が協調・協力し合う会社を目指している。

 

ピンチの時こそ社員教育や環境整備に投資する

「人材は会社の総力。景気の悪い時こそチャンスだと思い、他社が採用を控えるような時こそ恐れず採用しました」と長澤代表。リーマンショックの渦中でも従業員を一人も減らさず、助成金を活用して勉強会を開催した。その経験がコロナ禍でも生きたという。「休業する会社も多い中、当社は1日も休業しませんでした。仕事が激減して勉強会が8割という月もありましたね。それでも『コロナ禍が落ち着いた時に成長するために、今どんな準備ができるか考えよう』と勉強会や現場改善を続けました」と話す。実際、技能検定合格者や資格取得者が増え、業務のDX化も大幅に進めることができたという。

また、採用イベントでは長澤代表は可能な限り予定を優先して会場に足を運んできた。学生には「業界的に名前が知られていなくても優れた企業があり、一社でも多く自分の目で見て感じてほしい」と自社のPRよりも就職活動に役立つ話をする。その熱いメッセージに共感してエントリーする学生も多いという。

今後は、さらなる成長を目指して、現在市内2か所に分かれている事務所機能を1か所にまとめる予定だ。「分散と言われる世の中ですが、多様な従業員がいるからこそ、同じ景色の中で働く環境を整えたいと思います」。多様な人材を輝かせる同社の取組に今後も注目したい。

DX化を推進する中で、教育や技術向上、生産性向上につながるツールも整備した。動画マニュアルソフト「tebiki」を使用し作業マニュアルを映像化。中国語やベトナム語など各種言語に対応する。タスク管理ソフト「Asana」も導入し、作業の進捗管理や社内間調整をスムーズに進めている。

 

ポイント

  • 外国人や障がい者は「特異な人」ではない。それぞれの「得意」を生かして業務に取り組んでもらい、会社を成長させていく方針を掲げる。
  • 多様な従業員の意思疎通を図るため、教育ツールを整備し、社内イベントも重視。
  • 不景気の時こそチャンス。人材をより輝かせる準備期間として有効活用する。

 

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株式会社テック長沢

柏崎市藤井1358-4
TEL.0257-24-1125
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