変化する災害食・健康食ニーズ
加工技術を基盤に新たな挑戦
1907年創業のまつやは、和菓子の原料となる米粉の製造から始まり、海外援助物資の開発から生まれた製粉技術からなる即席お粥を中心に商品を展開。無添加・栄養・味わいをコンセプトに新たな市場を開拓している。
「当社のお粥はお米を炊いたときの香りがするのが特徴。どの商品にも独自の製粉技術を応用しており、レトルトではこの香りは出せません。お子様もよく食べてくれるという声をいただいています」。
「感動を与えたい」
味わいを追求した即席ぞうすい
独自の米加工技術を応用し、離乳食や介護食、災害食などを製造するまつやでは、コロナウイルス共生時代の対応も視野に入れた商品を発売した。
その一つが、今年1月に発売した「たいぞうすい」と「さけぞうすい」だ。災害食として展開する即席ぞうすいシリーズの新商品で、地元の老舗割烹大倉屋が味を監修。魚を焼くことで香ばしさを加え、素材の味が際立つようにした。「“こんなに美味しいの”と言っていただけるくらいの感動を与えたいと思って作りました」と松野社長が話すように、災害食大賞©2021のおいしさを評価する部門で「たいぞうすい」が最優秀賞を受賞。災害時はもちろん、巣ごもり消費が続く日常食としても手軽に贅沢な味が楽しめる。
高齢者に大人気
高タンパクの鶏ムネチップス
今年4月には異色の新商品「鶏ムネチップス」を発売。筋肉トレーニングをする人に向けた間食をコンセプトに、ボディビルダーの意見を取り入れ、新しい分野の食品加工に挑戦した。
原料は国産鶏のムネ肉のみを使用。植物性タンパク質が豊富な大豆、ビタミン・ミネラル、食物繊維が摂れる国産米ぬかを加え、添加物や食塩は不使用とした。サンプル品の発売当初は注文が伸びなかったが、食感を改良したことで一気に増加。「予想に反して、普段から高タンパクの食品を摂るように言われている高齢者に一番売れています。塩分を気にせず、お菓子感覚で食べられると好評です」との反響があった。特に調剤薬局での販売が伸びており、すでに県内外80店舗に納入が決まるなど、新たな販路を獲得した。
離乳食の新パッケージが好評
女性に向けた商品も発売
3月にはロングセラー商品「赤ちゃんのおかゆ」シリーズのパッケージを一新した。感染症による外出自粛によって販売数は減ったが、より商品の魅力が伝わるよう、若手社員を中心にイメージチェンジを図った。お客様の反応もよく、他社のバイヤーから「こんなデザインの商品が欲しかった」という声も多いという。
「今夏には免疫力アップの商品として、キクラゲのチップスを発売します。日本人女性が圧倒的に不足しているビタミンDをはじめ、食物繊維、鉄分、カルシウムも豊富なので、特に女性に食べて欲しい」と松野社長。感染症の負の状況を打開しようと、技術と消費ニーズを結びつけて商品開発に果敢に挑む姿勢が、ヒット商品を生む要因となっている。
企業情報
まつや株式会社
〒950-3321 新潟市北区葛塚3497-2
TEL.025-387-3325
FAX.025-388-7413
URL https://www.niigata-matsuya.co.jp/