株式会社レルヒ

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2021年08月02日
NICOpress177号販路開拓

日本酒をライフスタイルで提案。
1年後のあるべき姿を考え、描いた未来へ向かっていく

新潟駅、長岡駅、越後湯沢駅で日本酒や土産品を販売する「ぽんしゅ館」を展開するレルヒ。行動自粛で旅行やビジネスによる往来が激減するなか、同社ではECサイトをスタート。そして人流が戻ったときのための新たな売り場づくりも動き出していた。

代表取締役 髙村秀夫 氏
代表取締役 髙村秀夫 氏

「仕事で悔しい思いをしたお客様が、家に帰って、我々プロが選んだ1本のお酒を飲むことで、気持ちを癒す。そんなふうに日本酒のテイストとライフシーンは合うと思うんです。新潟の酒蔵と近い存在で、日本酒が好きな社員たちなら、そうした提案、売り方で新しい価値を作ってくれると思っています」と話す髙村代表。

お客様と繋がる方法を改めて見直す機会に

JR駅ビル内に「ぽんしゅ館」を構えるレルヒにとって、感染症による打撃は大きく、店舗売上は例年の約半分となった。しかし、髙村代表は打開策を探る一方で「店が本来あるべき姿をもう一度構築していくための前向きな機会と捉えています」と語る。

「当社は中越大震災のときは売上がゼロになりましたし、東日本大震災でも影響を受けました。これまで非常事態が起きるたび、我々はどうあるべきかを考えて対応してきました。いまは感染症と真っ向から戦っても勝てる訳がない。ならば、描いた未来に向かって取り組んでいく方が、やりようもあるし元気も出る。本来、お客様と繋がる方法はもっとあったはずだよね、というところを探っていくことのほうがいいと考えています」。

また、コロナウイルス禍での試行錯誤は、改めて現状を見直す機会にもなったという。「ぽんしゅ館の来店者数は駅の乗降客数に比べると差がありますので、今後増える可能性が残っている。売上をいくら増やすには、来店客を何人増やせば達成できるか、そんな計算を改めて行うと、実現できるチャンスはあると感じています」。

株式会社レルヒ ぽんしゅ館

新潟県内全蔵の代表銘柄を試飲できる「唎酒番所」。今後は200~300円で高級オードブルを投入予定。「例えば同じ筋子でも、機内ファーストクラスの品質のものを提供したい」という。

株式会社レルヒ ぽんしゅ館 株式会社レルヒ ぽんしゅ館

感性に訴えるECサイトでネット通販の壁を破る

同社では、昨年末にECサイトを立ち上げ、ネット通販に参入した。2019年に担当チームを立ち上げ、じっくり準備をしてからスタートする計画だったが、コロナウイルス禍による移動自粛を受けてオープンを前倒し。日本酒のネット通販はすでに参入も多く、競争が激化していることもあり、売上目標の達成にはまだ至らないものの、達成できるという感覚もあるという。

「我々は価格競争に参入するつもりはないので、必要なのは売り方を変えること。それには、お客様の気持ちに寄り添い、共感を得ることが重要ではないかと考えています。日本酒は今まで味や精米歩合、熟成度などをアピールしてきましたが、これからはそれだけでなく、お客様の感性や気持ちに訴えかけていこうと考えています」。

そのヒントは、店頭で多く受ける相談にある。「おじいちゃんに買いたいのですが、どれがいいですか?」「お世話になった上司が転勤するのでおすすめは?」など、お客様は日本酒を生活シーンやライフスタイルに合わせて選んでいるという点だ。

「現在は、その視点をECサイトに取り入れようと、企画を練っています。社員には唎酒師も酒匠も多数いますし、何よりみんなお酒が好き。例えば“ジャズに合う日本酒”とか、“BBQに持っていくなら”というテーマを出すと、必ず“これがおすすめです”と、銘柄を提案できるのです。そこで、多くのお客様が納得するような、生活のなかの一コマを100個挙げて、それぞれのシーンに合う日本酒を提案しようと計画中です」。いわばコンシェルジュが応えるように、おすすめを提案していこうという試みは、消費者の“かゆいところに手が届く”手段となり、引いてはぽんしゅ館のファンを増やしていく魅力となりそうだ。

先行オープンしたサイトでは、『暮らしの中に提案する、新潟清酒』を切り口に、「お家で旅気分を味わう酒」や「酒匠が今注目の酒」などのメニューから、日本酒を選べるようになっている。また、さらなる展開としてはWeb会議ツールを活用して、顧客とネット上でコミュニケーションを取れる仕掛けも検討しているという。蔵元とのトークイベント、オンラインでの酒蔵見学などアイデアは広がる。

ぽんしゅ館オンラインショップ

ぽんしゅ館オンラインショップ。競合の多い大手モールサイトには加わらず、独自サイトでスタートした。消費者の興味を引く画像やデザイン、商品の見せ方などを検討中だ。

ぽんしゅ館オンラインショップ

ぽんしゅ館オンラインショップ

ECサイトの売上は、予想に反して米や米菓が好調だという。豊富な品揃えを活かして展開する、日本酒に米や米菓を組み合わせたギフトタイプの商品の需要も高い。

リアル店舗も仕立て直し
ぽんしゅ館の哲学が伝わる売り場に

今後は、ぽんしゅ館の日本酒売り場も、ライフスタイルや贈る相手などのカテゴリーに分けた陳列に変更する計画だ。「そのモノ(商品)があなたをどう変えてくれるか、ということがお客様に伝わるようにしたい。ぽんしゅ館のクラフトマンシップもそういう色を強めていきたい」。

また、人気の「唎酒番所」では、飛行機のファーストクラスレベルのオードブルを提供し、日本酒と一緒に楽しんでもらおうと計画している。

「これからはネットもリアル店舗も、自分たちの哲学をもっと強く打ち出していく。我々が考えていることをしっかり伝え、見せることで、きっとお客様に納得してもらえるんじゃないかと考えています」。

現在、ECサイトの購入者には、ぽんしゅ館の常連客も多い。お客様との繋がりをさらに深めていくことも、大きなテーマであり続けるという。「もともと、ぽんしゅ館は宣伝をしなくても、お客様が人に紹介してくれて広がっていきました。そういうお客様との繋がりが大事で、我々の考える哲学とお客様の哲学が同じであれば、簡単に関係は切れないと思います。万人受けするのは難しいかもしれません。でも、我々と繋がってくれる人たちとやるほうが、広がりがあるような気がしますし、ネットでもコミュニティを生み出せると感じています」。

いまは、自分たちの仕立て直しの時であり、そう思えれば仕事は楽しいと話す髙村代表。逆境をプラスに変える思考は、会社や社員のパワーに繋がっている。

株式会社レルヒ ぽんしゅ館

ぽんしゅ館は今後、日本酒のための売り場という色を強めていく予定。人気の米菓などのお土産品はCoCoLo西N+にある「ぽんしゅ館コンプレックス」で充実させていく。

 

ポイント

  • 感染症の収束後にどうあるべきかを考え、売り方を再構築する機会にする。
  • ECサイトで存在感を出すために、ぽんしゅ館だからこそできる提案を突き詰める。
  • 日本酒や商品がお客様のライフスタイルの一部になれるような販売戦略を立てる。

 

企業情報

株式会社レルヒ

〒949-6102 湯沢町神立1003
TEL.025-785-5671
FAX.025-784-4515
株式会社レルヒURL https://www.leruhi.com/
ぽんしゅ館URL https://www.ponshukan.com/

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