芸術祭や雪まつりに訪れる外国人に向けた免税店を
(一財)十日町地域地場産業振興センター
専務理事 岩船 眞人 氏
免税制度の緩和を契機に免税店の認可を申請
十日町市にあるクロステン「越後妻有おみやげ館」では、昨年5月より免税対応を開始した。この地域では3年に一度、世界的な芸術家の作品が展示される「大地の芸術祭」が開催され、回を重ねるごとに外国人観光客が増加している。また「十日町雪まつり」には、近年東南アジアからのツアー客が増えているという。
十日町地域地場産業振興センターの岩船専務理事は「一昨年に消費税免税制度が改正されて、消耗品の対象が5千円以上になったのをきっかけとして、取り組むことにしました。昨年の第6回大地の芸術祭のスタートに間に合わせるため、新潟市内の百貨店などへのヒアリングや税務署への相談など、急ピッチで準備を進めました」と振り返る。
「アートや雪を楽しみに来た外国人の皆さんに、情報提供と楽しい買い物の場を提供したい」と語る岩船専務理事(写真左)と湯沢氏(写真右)。
販売部と免税カウンターがそれぞれの持ち場で対応
売り場はスペースに限りがあるため、免税カウンターは店舗レジとは別の総合受付に設置。これは免税コンビニ1号店のセブンイレブン浅草雷門前店を視察し、省スペースでのやり方を参考にした。また、煩雑な免税書類作成が簡単な操作で出来るシステム機器も導入し、限られた人数で対応できる体制を整えた。販売課では外国人応対の講習会を開き、多言語で説明が書かれたシート、指さしガイドを使った接客などを訓練。また、カウンターは英語が話せる湯沢氏を専任担当にして準備を整えた。接客は翻訳機能を入れたタブレットも活用している。
昨年1年で、外国人旅行者は約500人が来館。芸術祭では隣接するキナーレで、中国の著名なアーティストの作品展示があったことから、中国・台湾からの旅行者が多かった。一方、免税カウンターの利用者は予想より少なかった。その理由としては、販売している商品が食品中心のため、中国人観光客らに人気の化粧品などは販売していないことや、原発事故後、中国では新潟県の食品の輸入禁止が続いていることも影響しているという。
免税で購入していく商品としては、日持ちするお菓子のほか、日本酒が人気。日本らしい伝統の「つるし雛」の飾り物を大量購入していった外国人もいるそうだ。
免税店であることが旅行業者へのアピールに
一方、免税店となったことは、海外の旅行エージェントに対する大きなセールスポイントになっているそうで、今後のツアーにクロステンが組み込まれていく可能性が増えると岩船専務理事は話す。おみやげ館とは別の直営店舗も、「縮」を素材にした洋服が外国人に好評だったことから、追加で免税店の認可を取得し、今後は販売を強化する。また、地元のJAやメーカーと新商品開発も企画中。人気の日本酒だけでなく、着物など十日町ならではの個性ある商品も検討している。
クロステンは道の駅という顔もあり、車で観光に来る外国人に向けて日本政府観光局認定外国人観光案内所のカテゴリー2の認定を取得しようと、準備を進めている。今後も外国人観光客は、芸術祭や冬期のレジャーを軸に増えていくと予想され、そのゲートウェイとしての機能を強化するなかで、免税店としての存在感も増していくことになりそうだ。
受付の隣に設けられた免税カウンター。ここで手続きと商品の梱包を行う。館内にはピクトグラムによる案内表示も整備した。
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