コンペ受賞者のその後を語る!「after IDS」④株式会社Ibiza(イビサ)様

2024年10月04日
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「ニイガタIDSデザインコンペティション」受賞企業をご紹介します!

after IDS ~受賞で栄光、ビジネスで成功~

新潟で誕生した商品、サービスを評価し、ブランド化への挑戦を支援する「ニイガタIDSデザインコンペティション」。30年以上の歴史を持つ本コンペ受賞者の「その後」を追うことで、成功のエッセンスを紹介する本企画。第4回は、IDSコンペ2022大賞「くみ木の森(株式会社Ibiza(イビサ)様)」を特集します。

本コンペの特徴の一つは「応募のしやすさ」です。新潟県内事業者の「ブランド化への挑戦」を支援することが設立目的の1つであり、30年以上の長きに渡り「門戸の広さ」を非常に大切に運営しています。

株式会社Ibiza様はその特徴を存分に活用。本コンペ受賞をきっかけに世界に羽ばたき、世界3大デザイン賞の1つである「iF DESIGN AWARD」をはじめとした各種デザイン賞を受賞。ビジョンの実現に向けた階段を上り続けるそのプロセスを追います。

 ※文章は事業者様からヒアリングした内容をNICO職員がまとめたものです。

1.【受賞商品・サービス】くみ木の森(画像クリックでYouTubeなどへリンク)

 「くみ木の森」は雪国新潟の天然ブナの間伐材(スノーピーチ)を使った、子どもの感性を育てるおもちゃブランド。

「触れる(組み木)」×「読む(絵本)」×「見る・聞く(アニメーションと歌)」を1つのコンテンツにまとめることで、子どもの知覚をやさしくはぐくみます。また「英語」の要素も盛り込むことで、長く大切にしていただける商品です。

くみ木、子どもの成長、森の保全。3つの要素が1つの輪となり、やさしい循環をつくります。

2.商品・サービスに込めた思い、背景など

■きっかけは、前職のデザイン事務所でのお仕事。

同社代表取締役 高井 幸江氏のターニングポイントは2012年。前職のデザイン事務所での「にいがた組み木の会」とのコラボイベントだった。グラフィックデザイナーであった同氏にとって、少し畑の違う「プロダクトデザイン」と、組み木という「ものづくりの現場」、2つの新しい世界との接点となった。
そのなかで感じたのは「組み木と、自身のキャリアが交わったときの可能性」である。

■「老若男女がやさしく働ける、新たな新潟の産業」を作りたい。

組み木は電動ノコギリでの手作業で製作される。学校で誰もが触ったことがある工具であり、敷居は低く映る。しかし、商品として売るには「ミスなく1筆で切る」高い技能が必要となる。
コラボイベントの準備が進むにつれ、「職人(ものづくり)の世界に入りたい」という老若男女の雇用を受け止める広い間口と、参入障壁の高い技能が身につく特性が共存している稀有な業界であるように同氏の目には映った。
一方、どんなに高い組み木制作の技能を持っていても、売れる商品の実現には「切り出す図面(デザイン力)」が必要となる。くみ木という業界に、自身のグラフィックデザインのキャリアが役に立つ可能性を強く感じた。

コラボイベント終了後も考え抜き、同氏がたどり着いたビジョンは「組み木を、老若男女がやさしく働ける、新たな新潟の産業とする」こと。そのために自分のグラフィックデザインのキャリアを役立てたい。
その構想の実現に向け、2020年に独立。2021年に「くみ木の森」ブランドを立ち上げた。

■「新潟」のクリエイター、職人たちの力が集結!

くみ木の森の作り手たちは企画構想、材料供給(間伐材)、組み木加工、グラフィック、紡がれる物語、歌と音楽に至るまで、「新潟にゆかりのあるスペシャリスト」によるもの(※英語訳のみ都合により新潟県外)。 「ただのパズル」と思われない世界観を実現するため、クリエイティブなつながりを駆使した、同氏ならではディレクションで製作されるブランドとなっている。

企画・ディレクション・グラフィックデザイン 同社
くみ木加工(木工職人) にいがた組み木の会 平山 力氏 吉澤 常夫氏
楽曲・歌の提供 アーティスト 諸橋 陽一氏
パッケージの製作 星野株式会社
コマ撮りアニメ映像 株式会社オフィスアトム 宗村亜登武氏
リーフレット文章など コピーライター 仲川 京子氏

3.応募のきっかけ、経緯

■くみ木ブランド構築のために。まずは自分自身が「デザイナーとしてのブランド力」を高めたい。

 「やさしく働ける場。くみ木という新産業。」というビジョンの実現向け、超えるべき壁は多かった。

①信頼できる「職人」との協力関係構築

通常であれば最も難易度の高いこのステップは、幸いにして「にいがた組み木の会」とのコラボイベントにより既に実現していた。

②売れる商品としての企画構想

単なる「木製パズル」として捉えられてしまうと、手作業により高価となってしまう組み木で十分な収益を上げられない。この難易度の高い課題には、同氏のクリエイティブなコネクションにより 「触れる(組み木)」×「読む(絵本)」×「見る・聞く(歌とアニメーション)」を束ねたコンテンツとして発信する手法をとった。

③自身の「デザイナーとしてのブランド力」

優れた企画構想を高い技術やスキルで実現したとしても、第一印象は「ビジュアル」が決めてしまう面があるのも事実。そのため同氏は、自分の「グラフィックデザイナーとしてのブランド力」強化を志した。
前職の経験から、デザイン業界では「デザイン賞の受賞」が一定の効果を持つことを知っていたため、まずはそこを目指すことにした。

■新潟発の新たな挑戦に、IDSコンペはピッタリだった。

最初に出るコンペとして重視したのは、「(奇をてらった)ビジュアルだけの評価ではないこと」と、「出品のしやすさ」の2つである。
IDSコンペは「新潟発のブランド化(産業)」を応援するコンペである。審査委員にプロダクトデザイナーやブランディング専門家もおり、「組み木×デザイン」という、産業としての総合力が評価される。加えて、公的支援機関であるNICOが主催であり、費用面など応募に関するハードルが低く設計されている。

そして、受賞すれば「新潟”県”が応援している」という箔がつく。IDSコンペは同氏が求める「ブランド化へのファーストステップ」としての条件が揃っていたのである。

4.IDSコンペ受賞後

■IDSコンペがくれた「自信」を手に、世界へ挑戦!

「新潟発のブランド」への挑戦を、他ならぬ新潟県から、デザインコンペ大賞という形で応援されたことは、「ビジョンを背中から強く推してくれた経験となった(同氏)」。
その後は自信をもって国内外のデザイン賞へ応募し、「デザイナーとしての実力の証明(ブランド力アップ)」に精力的にとりくんだ。

結果として、世界三大デザイン賞の1つ「iFデザインアワード(ドイツ)」も受賞するに至っている。

2022年3月 「ニイガタIDSコンペティション2022」 大賞(新潟県知事賞)
2022年8月  「グッド・トイ2022」受賞
同月 「キッズデザイン賞」受賞
2022年10月 「ウッドデザイン賞2022」受賞
2023年3月  「ジャパン・ツバメ・インダストリアルデザインコンクール2023」優秀賞(新潟県知事賞)
2023年4月  「iF DESIGN AWARD 2023(ベイビー・キッズ部門)」 受賞
2023年11月  「DFAアジアデザイン賞2023」 Merit Award受賞
2024年1月 第12回「絵本出版賞」 赤ちゃん・学べる絵本部門 最優秀賞

 

■工房の設立に着手。第二弾商品もリリース。

2023年6月、ついに同氏は働く場、くみ木工房の設立に着手。「にいがた組み木の会」会員に工房を解放するプレオープンでミニマムスタート。2024年秋の一般向け本格開放を目標に準備を進めている(くみ木制作体験や購入ができる場として稼働予定)。

また、2024年5月には新商品「こねこのきょうだいとお花ばたけ」を発売。情報発信効果を高めるため、初の個展となる「くみ木の絵本作家 たかいゆきえ絵本原画展(2024年8月16日~25日、まちトープ カフェスペース(燕市宮町2-26)にて)」を開催。

IDSコンペをきっかけとした「世界のデザインコンペ受賞」という箔を武器に、ブランドは次なるステップへ歩みを進めている。

5.受賞者コメント

■ベテランだけでなく、初めての方も。「IDSコンペ」に挑戦してみましょう

愛情込めて作った商品を専門家の目で評価してもらうことは、とても勇気のいることです。
結果によっては一喜一憂するものですが、厳密な審査によって評価を受けることで、結果に関わらず多くを学び、成長できる良い機会になると思います。

私は大賞の受賞と、表彰式と同時開催される「審査委員との意見交換会」でいただいた多くの応援に、さらなる挑戦への勇気をもらいました。

「私の商品なんか(受賞できるわけがない)…」と思わず、ぜひIDSコンペに挑戦してみてください。みんなで新潟県を盛り上げましょう。

(取材協力)株式会社Ibiza(イビサ)代表取締役 高井 幸江氏

 

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