テストマーケティングで海外の人々の好みや商品の課題が明確に。支援を経て道筋が見えてきた。


作りたて品質の冷凍和菓子を武器に海外市場への挑戦を本格化
カスタードクリーム入り水まんじゅうを笹の葉でくるんだ「笹カスタード」、カラフルな餡が透けて見える「水まんじゅう クリスタル」といった新感覚の冷凍和菓子を手掛ける岩崎。現在、海外市場への販路開拓に挑戦しており、「国内の冷凍和菓子の海外進出としては後発」と語りつつも、着実に歩みを進めている。
笹団子・ちまき製造からスタートした同社は、1987年から冷凍食品に取り組み始め、近隣スーパーへの販売から卸へと業態を変えていった。瞬間凍結できる設備を備え、冷凍流通で作りたての美味しさを届けることで顧客は全国に拡大。ホテルや割烹などの飲食関連や、学校給食のデザートなどに採用されている。また、ISO22000を取得し、品質管理部門を立ち上げるなど衛生面からの安全・安心も徹底してきた。
同社が海外向けに動き始めたのは4年ほど前から。岩﨑常務は「30年以上、国内の卸と取引してきましたが、海外に出てみたいという思いはずっと持っていました」と話す。

厳選した素材で作る和菓子が自慢。笹団子製造もひとつひとつ手作業。小回りが利くため、顧客の要望には柔軟に対応できることも強み。

学校給食ではひな祭りのひしもち、子どもの日の柏餅といった行事食を提供。

和菓子はトンネルフリーザーによる瞬間凍結で、約1時間で冷凍し、作り立ての美味しさを閉じ込める。社内での菌検査を経て出荷される。
テストマーケティングでは水まんじゅうの試食に苦戦。
海外の消費者の嗜好を知る機会に
海外展開はまずJETROへ相談。そこから「水まんじゅうクリスタル」が、以前から日本の和菓子を扱っていたオーストラリアの企業の目に留まり、商談が成立した。現在もシドニーのスーパーで販売されている。続いて、HPを通して国内の商社から直接打診が入り、アメリカの企業との取引も始まった。ISO22000を持った工場であることも決め手の一つになった。
そのころ展示会でNICOの担当者から海外進出向け支援を紹介され、活用を決める。2023年度の海外展開ハンズオン支援事業では、海外ビジネスに精通したアドバイザーが海外展開の実務を伴走。「契約書の重要性を教わったことが一番大きかった。他にも商品の規格をしっかり決めることの大切さなども教わりました」と岩﨑常務。
同年には、シンガポールで現地に精通するバイヤーとの商談及びテスト販売をする事業に参加。しかし、意外なことが起こる。「実は『水まんじゅうクリスタル』を紹介したものの、水まんじゅうという餅菓子が現地で知られておらず、ほとんど食べてもらえなかったんです」と常務。岩﨑社長は「考えてみれば、私たちも外国の知らない食べ物は、食べるのに勇気がいりますよね。逆に餅菓子は先発で進出する大手会社が広めてくれているので、認知がある。2回目の商談ではクリームもちをメインに打ち出したところ、それに合わせてクリスタルも売れるという形になりました」。クリームもちは好意的に受け入れられ、クリスタルは初年度の反応を踏まえて食感を少し固めに改良したことも功を奏した。

「水まんじゅうクリスタル」は、包まれた生地の透明さと柔らかさが魅力。こしあんやうめ、くりなど12種類のフレーバーがあり、カラフルな餡が華やかな人気商品。

シンガポールで行ったテストマーケティングの様子。水まんじゅうの存在を知らない現地消費者には商品の説明が伝わりにくく、理解してもらうのが難しかったという。


オーストラリア・シドニーの卸売業「SUSHI FACTORY」が運営する日本食品小売店で販売されている「CRYSTAL MOCHI」。
取引先の国は少しずつ増加。EU向けに商品を改良。
シンガポールの事業終了後は、独自に現地の商社と契約し、営業活動や、現地でのSNSの運用を依頼している。BtoBの販売先開拓も進めてもらい、昨年は2件成約。今年も新たな取引が決まりそうな流れだ。
今後は、さらに取引国を増やすのが目標。「アジア圏がまだ少ないため、台湾などにアプローチしたい。EUは食品に関する規制が厳しいので、それをクリアするため素材を調整したEU向けのクリームもちの開発に取り組んでいます」。
一方、課題は価格設定や流通のコンテナ不足、そして知名度だ。「海外では餅はアジアのもの、というイメージがあって、餅菓子は台湾メーカーなどがとても安く出しているので競争になると難しい。私たちの商品が主食ではなく嗜好品であるというのは、日本でも海外でも同じで、世界市場の動向を見ながら進めていくことが必要だと感じます」と岩﨑社長。それでも、サポート事業を通して新たな市場を開拓する手ごたえを感じている同社。その挑戦はこれからが本番だ。

海外向けに従来のクリスタルに食感などの改良を加えた「クリスタルもち」。フレーバーはマンゴーやいちご、抹茶の人気が高い。

今年3月のFOODEX JAPANにも参加。グルテンフリーで長期保存できる冷凍和菓子を出展。顧客開拓のため、展示会への参加は継続していく予定だ。
企業情報
株式会社岩崎
長岡市稲保4-750-10
TEL.0258-25-2388
URL http://www.iwasaki-iroha.jp/
1975年、笹団子・ちまき製造で創業。現在は冷凍和菓子、冷凍おせちを手掛け、全国のホテルや飲食店などの外食産業や学校給食で提供されている。美味しさを追及しながら衛生管理を徹底し、海外取引にも挑戦する。


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