有限会社山谷製作所

2018年02月26日
NICOpress147号商品評価・ブラッシュアップ新商品開発販路開拓

現代にマッチした鰹節削り器を開発し直接販売に挑戦

有限会社山谷製作所
専務 山谷 俊輔 氏

無垢材を削り出したコンパクトな鰹節削り器

鉋(かんな)の木の部分である「鉋台」を製造する有限会社山谷製作所では、約70年に渡り培ってきた職人技術を活かし、今の時代に合わせたオリジナル製品作りにも取り組んでいる。

「時代とともに鉋の需要が減少するなか、何か他の商品を作らなければと考えました」と山谷専務。そこで「六兵衛」のブランド名で、従来の鉋以外の大工道具を製造販売。さらに、2013年に「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたのを機に、鰹節削り器の開発に着手する。長年、鰹節削り器用の鉋は製造していたものの、箱の部分は作ったことがなかった。試行錯誤の末に同社が得意とする無垢材を削り出した、継ぎ目がない箱を製作。削りたての鰹節を味わいたい、暮らしに上質な豊かさを求める層へターゲットを絞り、現代のライフスタイルに合う、コンパクトでモダンデザインの鰹節削り器が完成した。

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鉋の刃を「台(木部)」に仕込む作業。一枚一枚刃の厚みが違うため、ちょうどいい堅さで台に入るよう、刃に合わせて少しずつ木を削りながら修正をしていく。まさに職人技だ。

お客様の声を得るために問屋を介さない直販に絞る

鰹節削り器は「台屋」ブランドとして、自社のオンラインサイトで販売。客の間口を広げるためAmazonにも出品した。「この商品はこれまでのように問屋に卸すのではなく、できるだけエンドユーザーに近い売り方をしたかった。インターネットで直接販売すれば、お客様の声もつかみやすいと思ったのです」。

問屋を通した販売が主だったため、販路の開拓も一からだったという山谷専務。工場は人員が限られ、営業専門のスタッフはもちろんいない。そのため中小機構などさまざまな機関に商品を登録するとともに、営業の一環として商工会議所やNICOを通して展示会に出展し、全国の小売店との取引をひろげた。また、「IDSデザインコンペ」や「百年物語」にも参加し、外部からの評価を受けることで、商品と自社のアピールに力を入れた。

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コンパクトなのでテーブルの上に置き、使う分だけ鰹節を削って味わえる。試し削りをしてから出荷しているため難しい刃の調整が必要なく、女性や子どもでも削りやすいと好評。

顧客のニーズを収集し商品改良やアイテム展開に反映

顧客のニーズを収集するのに役立っているのが、商品と一緒に送るアンケートはがきだ。実際に購入したお客様の意見をもとに、商品を少しずつ改良。また、鰹節の購入先や産地についての質問も多かったため、昨年から鰹節の販売も始めた。

「インターネットや口コミを通して、お客様のほうから当社の商品を見つけてくださることが多いです」と言うように、HPが有効な営業ツールとなり、思わぬところから注文や問い合わせが来るなど、徐々に販路を拡げている同社。今後は海外展開も視野に入れながら事業としての基盤を固め、時代に即した営業と販売方法でお客様に届けてゆく。

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「先日、鰹節削り器を使ってくれた9歳の女の子からアンケートハガキをもらい、感激しました。時には厳しいご指摘をいただくこともありますが、お客様の生の声は商品を造る上で大切です」と語る山谷専務。

営業活動のポイント

  • ブランドサイトで上質なライフスタイルを提案
  • 展示会に出展し、小売店との直接取引を実現
  • アンケートはがきで顧客のニーズを収集

企業情報

有限会社山谷製作所
〒955-0863 三条市東新保12-19
TEL/FAX.0256-34-5989
URL https://www.dai-ya.com

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