有限会社SKフロンティア

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2019年02月05日
NICOpress161号テストマーケティングマッチング支援創業

糸魚川の水を活かしたワサビと魚で儲かる6次産業を

有限会社SKフロンティア 代表取締役 澁谷 一正 氏
代表取締役 澁谷 一正 氏

最初のワサビプラントの建設は、1000万円という大きな投資で、わざづくり補助金があったおかげで実現しました。初めての挑戦には、こうした公的支援の活用は必要だと思います。

 

「糸魚川の特産品を作りたい」 その思いがワサビに行きつく

SKフロンティアは糸魚川市の渋谷建設が農業に参入した農業法人だ。「新事業といっても、建設業だから土に絡むしかない。それなら農業だと思いました」と渋谷社長は振り返る。平成16年からワサビ栽培に取り組み、平成20年に「わざづくり補助金」を活用して、ハウス内でワサビを栽培する独自のシステムを完成させた。
ワサビを選んだのは、糸魚川の水を活かしたかったから。「糸魚川の特産品を作りたかったんです。きれいな水で育つものといえばワサビだが、雪国では誰も作っていない。だからこそ挑戦しようと思いました」。使っているのは地下水。「湧水は利権があるので、それなら地下水にしようと。本業で消雪パイプの工事をしているので、地下に豊富な水があることは分かっていたんです」。土木業で培ったノウハウが第二創業でも強みとなった。

「糸魚川の特産品を作りたい」 その思いがワサビに行きつく
「糸魚川の特産品を作りたい」 その思いがワサビに行きつく
ワサビは最高級品種「真妻」のみを栽培。特許も取得しているプラントは、汲み上げた地下水が土地の高低差で自然に流れ落ち、光熱費は汲み上げポンプの電気代のみという省エネ設計。

 

ワサビ栽培に使った水でチョウザメとイトウを養殖

糸魚川早川地区の地下水はミネラル豊富で、鉄分が少なく、ワサビ栽培に向いていた。常に14度という水温のおかげで他産地では生育が縮小する冬期も成長し、2年で通常の3年物を超える大きさになる。市場評価も上々で、首都圏へ出荷しているほか、ニューヨークの日本料理店にも輸出している。
そこから派生したのが魚の養殖。「毎分4トンの水を汲み上げているが、それをただ流すのはもったいない。水を活かすなら魚の養殖だが、ニジマスやイワナでは当たり前すぎると思い、県立海洋高校の先生に相談をしたところ、生徒の勉強にもなるので共同でチョウザメを育てることを提案されました。作ることは得意ですから、すぐに養殖用水槽を作りました」。

チョウザメ イトウ 養殖用水槽

現在、チョウザメもイトウも注文があれば出荷しているが、加工場が完成したら、冷凍した柵の状態で出荷していく予定。チョウザメはあと3年で初めて卵(キャビア)を採ることができる。

 

6次産業の成功の秘訣は人がやっていないことをやる

さらに北海道大学水産学部の教授から、イトウの養殖も提案された。「絶滅危惧種の幻の魚ですから心配でしたが、水温が一定で冬も餌をよく食べることから、北海道では6年かかるサイズが3年で育ちます。淡水魚のトロと呼ばれるだけあって味も抜群。目標はイトウの採卵孵化による完全養殖です。成功したら、すごいことです」。
一連の事業は第2回NIIGATAビジネスアイデアコンテストでグランプリを受賞するなど、注目を集めている。こうしたアイデアは次々と湧いてくるという渋谷社長のポリシーは“常に人がやっていないことをやる”。「儲かる農業を実践していけば、今後就農してくれる若手も出てくるはず。頑張って糸魚川を代表する特産品に育て上げたいと思います」。学校、研究機関との共同開発のタッグを組みながらの試行錯誤が、糸魚川の産業に新たな価値を創り出している。

外国人観光客向けに開発した純わさび粉末『wabisabi』

本物のワサビの味を知ってもらいたいと、外国人観光客向けに開発した純わさび粉末『wabisabi』。水で練ると、香りと辛み、甘みが見事に蘇る。フリーズドライはコスト面で断念していたときに、新しい低温乾燥機に出会い、商品化に成功した。

 

注目ポイント

  • 地域資源を活かし、他がやっていない手法に着目
  • 本業で培った技術を新事業に応用、活用する
  • 専門家、学校との共同研究を進める

会社情報

有限会社SKフロンティア

〒941-0014 糸魚川市大字日光寺228
TEL/FAX.025-555-3940
URL http://midorikoubou.com/

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