株式会社栄工舎は東京都大田区で創業し、縁あって新潟の魚沼に生産拠点である新潟工場を構えて50年となる。切削工具のリーマを中心に、精密な特殊切削工具のニーズに応え続けている。10月に新工場が完成し、さらなる飛躍を狙う同社に、今後の展望を伺った。
「これが欲しかったんだ!」と言われる特殊切削工具を全国、そして海外へ
株式会社栄工舎 新潟工場
副工場長 熊田 実 氏
「かゆいところに手が届く」製品ラインナップ
切削工具のリーマにおいて、国内トップクラスの生産量を誇る株式会社栄工舎。エンドミルやドリル、カッターなども手掛け、ミクロン単位での精密なオーダーに応える技術力を持つ。
同社の強みは「かゆいところに手が届く」製品づくりだ。熊田副工場長は「初めて当社の製品を見たお客様から、“こういうものが欲しかったんだよ”と言われることは多いですね。特注しなければいけないと思っていたお客さまに“即日納品できますよ”と伝えると、とても喜んでいただけます」と話す。
同社が担うのは、大手メーカーは参入してこないが、絶対に必要な切削工具。製品カタログを見せると「マニアックだね」と注目を集めることも多いそうだ。
外国人社員の登用で海外営業がパワーアップ
そうした製品を作ることができるのは、営業が展示会で把握した顧客のニーズをもとに、製品開発が行われているからだ。展示会には大小合わせて年間20回は参加する同社。「展示会の目的は新規顧客の獲得ですが、同時にユーザーが何に苦労しているかをリサーチできます。本当に困っている人は、会場に部品や図面を持って相談に来るので、具体的な状況が分かりますし、とても参考になります」。
また、海外展開にも力を入れており、ヨーロッパやアジアの展示会にも積極的に参加。昨年、海外営業の強化のため、ビジネス英語ができる人材を求め、ネパール人の男性を採用した。「昨年の日本国際工作機械見本市JIMTOFでは、当社のブースに22ヵ国の人が訪れたのですが、そのときも大活躍してくれました。英語力だけでなく、コミュニケーション能力も高く、なくてはならない存在になっています」。
展示会は基本的に継続出展する。毎年出展していても、全ての来場者とコンタクトが取れるわけではないからだ。ブースの作りも製品情報が伝わるように配慮し、限られた営業人員のなか、新規顧客をつかむ絶好の機会として戦略的に参加している。
生産体制の整備は完了。将来は海外生産も視野に
新潟工場では10月に新工場が竣工し、2ヵ所だった工場を1ヵ所に統合。国内生産拠点の整備は完了した。製造効率アップはもちろん、社員が直接顔を合わせることによるさまざまな効果を期待している。
中・長期のビジョンでは、海外に生産拠点を置くことも考えている。「実は、どの国からも現地生産をしてほしいと言われます。場所の選定をじっくり検討し、遠くない未来に実現させたいと思います」。
リーマンショック以後は、毎年黒字となっているという同社。「私たちのような小さい会社は少ない営業メンバーで、どれだけ仕事を取れるかが重要」と語るように、技術力をユーザーに伝える営業力の強化が、快進撃のポイントになっているようだ。
「販売は全て代理店経由ですが、当社の営業が同行してエンドユーザーにPRすることも多いです。使う皆さんが製品をどう感じ、どういうものを欲しがっているかをつかむことが大事だと思っています」と語る熊田副工場長。
NICOのコレ を活用!
展示会への出展支援サービスを活用し、平成29年度M-Techをはじめ、国内外の展示会に参加。顧客開拓につなげている。
企業情報
株式会社栄工舎 新潟工場
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