技術革新が進む燃料電池自動車部品の金型加工技術で飛躍
写真左から弦巻工場長、安藤社長、飯田部長。通常の生産業務があるなかで進めた測定データ収集や報告書の作成は苦労も多かったが、今後につながる技術と製造基盤ができたことは大きいという。
離型性の高い滑らかさを出す高精度金型の加工技術
高精度の金型加工や鏡面加工、精密冶具加工などを手掛けているA-TRADは、平成27年度からの3年間でサポイン事業に取り組んだ。採択テーマは「水素自動車燃料電池スタック セル用ガスケット製造金型部品の高精度加工の研究」だ。燃料電池自動車は、まもなく本格的な普及に向けた量産化が始まる。その燃料電池に使用されるパッキンのガスケット用金型には、高い精度と離型性の良さが求められている。燃料電池関連の仕事を進め始めていた同社が取り組んだところ、既存の技術では顧客要求に応えられなかった。これまで以上の技術革新が必要となり、サポインへの挑戦を決意。締め切りまで限られた期間ではあったが、NICOのサポートを得ることができ、採択された。
サポイン事業の経験は大きなアピールポイントに
開発には飯田部長がリーダー、弦巻工場長がサブリーダーとなり、社員数名と共にチームを結成。長岡技術科学大学や県工技総研のアドバイスを受けながら進めた。
3年間の研究成果として、適正な温度管理によって5軸へール加工及び研削加工、面粗さ・寸法精度の目標値を達成することができた。これにより事業化も実現。新規取引先からの受注に繋がった。安藤社長は「安定した品質やコストバランスなどを見て、当社を選んでいただいている。当社で今までは出来なかった高い技術を確立できたことは、強いアピールポイントになっていると思います」と話す。
確立させた技術を活用し新分野への挑戦も開始
飯田部長も「こうして新しい技術を確立できると、社内の他の技術も伸びていきます。それを次の事業展開につなげていきたい。すでに、今回の超精密加工技術を活かせる光学系へ進出し、微細加工などに取り組んでいます」と期待をかける。
最後に安藤社長は「新しい人間関係、ネットワークも創出することができて、会社にとってサポイン事業が大きな転換点になったことは間違いない。光学系は世界でも日本がトップレベル。この最先端というフィールドで、時間をかけて微細加工事業を育てていきたい」と抱負を語った。時代の先端技術への挑戦は、従業員に仕事への誇りとモチベーションを与え、さらなる会社の活性化につながるに違いない。
会社情報
株式会社A-TRAD(エートラッド)
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