市場を知り、ニーズに応じた商品開発支援策を活用して挑戦
英語の通訳も務める浅野利栄子氏(写真左)。「当社はユーザーの声をもとにしたユニークな商品が多いので、海外向けでもそういう商品ができないか考えました」。浅野常務(写真右)は「昔から作っている鉤や鳶口などの道具は水害や火事の際にも役立つので、今後はNICOの展示会にも出展しながら防災用品の販路を広げていきたいです」と話す。
各国から問い合わせが増え本格的な海外展開に挑戦
園芸用品と農業用品を主力に、除雪用品やアウトドア用品などを製造・販売する浅野木工所では、3年前から海外販路の開拓に力を入れている。「問屋経由での間接輸出はしていましたが、数年前より海外から直接問い合わせが来るようになり、本格的に海外へのものづくりをしたいと考えました」と語る浅野利栄子氏。そこで情報を得るためジェトロ新潟に相談したところ、シンガポールの展示会出展を勧められる。「海外出展にはかなり費用がかかるため、NICOの支援策に申請させていただきました」。
市場調査でニーズを探り現地に合う商品づくりを
こうして海外市場獲得サポート事業に採択され「シンガポールガーデンフェスティバル2016」に出展。「実はB to Cの展示会だというのを現地で知ったのですが、消費者であるお客様と直接お話しできたことで、現地でどんな園芸商品が求められているのかよく分かりました」。日本の刃物製品は需要が見込める半面、商品をそのまま海外で売ることは難しいと実感したという。
この展示会をきっかけに同社は、シンガポールの市場にマッチする商品を開発するため、高付加価値化サポート助成金を活用。成長が早い現地の樹木を伐採する「高枝切りバサミ」を完成させた。
一方、アメリカの市場に向けて、既存商品の「ステンレス山菜掘り」の技術を活かしたミニ山菜掘りを開発。ゆめづくり助成金を活用して現地の市場調査を行い、試作品づくりを重ねた結果、アメリカをはじめシンガポールでも評判は上々だという。
初出展の「シンガポールガーデンフェスティバル2016」では、持ち込んだ商品の8割は手ごたえがなく、あらためて市場調査の重要性を再認識した。ベランダガーデニングが多いなど現地の園芸事情をもとに商品開発を続けている。
人に役立つ商品を作り国内外へ広げていきたい
「支援策を活用する一番のメリットは、取り組みにかかる費用を軽減できることでチャレンジのきっかけになることです」と浅野氏。補助金を使って作成した越境ECのサイトから、海外のユーザー、スイスの会社と取引が始まり、商社を通した間接輸出も増えるなど、3年間で着実に成果を出している。
「当社は築地市場で魚を引っ張る鉤(かぎ)の製造から始まり、お客様の“これを作ってほしい”という声を聞きながら商材が増えてきました。これからもいろいろなジャンルで人に役立つものを作り、それを国内外に広げていければと思います」。近年は防災用品にも力を入れ、国内の販路開拓も進める同社。ユーザーの声を反映させた商品を、今後も燕三条から発信してゆく。
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