古くて新しい「かやの実」スイーツを開発
物語を紡ぐ佐渡の特産品へ
佐渡市赤泊地区のかやの木から採れる実を加工したスイーツを開発・製造する、佐渡赤泊かやの実会。野口氏は2017年に2代目のバトンを受け継ぎ、パッケージデザインのリニューアルや販路拡大など精力的に活動する。その取組や今後の目標を聞いた。
佐渡市赤泊地区出身。大学時代に国際社会学を学び、タイやインドネシアを訪問。その経験から、まずは身近な地域を良くしたいとの思いに至る。大学卒業後Uターンし「かやの実会」事業を受け継ぐ。
Q1 事業を継承した理由は?
「佐渡に新しい職業選択の道をつくる」というのがUターンの大きな目的でした。この道で私が少しでも花開くことができれば、若い人も希望を持てるのではないかと思いました。実家の庭にも、かやの木があります。煎った実をこたつで食べるのは冬の風物詩。慣れ親しんだ味をなくしたくないとの思いもありました。
縄文時代から食されてきたというかやの実。かやの木は実をつけるまでに20〜30年かかると言われている。かやの実会では木を守り、育てる活動も続けている。
Q2 事業を受け継ぎ苦労した点は?
すべてが初めての経験で、特に保健所とのやりとり、税金関係の書類、取引先の開拓には苦労しました。反対もある中、腹をくくって受け継いだ事業。「自分の行動で実績をつくるしかない」と思い、できるだけ周りに頼らずネットで調べて対応しました。先代の笠木さんの頃からお世話になっているアルバイトの女性に悩みや相談を聞いてもらうことが大きな力になりました。
先代の笠木隆子さんの味を受け継いだ「かやの実かりんとう」。野口氏の代ではパッケージを一新。若い女性にも手に取ってもらえるようになった。味の種類も増やし、砂糖、塩、黒糖、酒粕など5種類を展開。
Q3 高校生がパッケージデザインを考案した新商品があると聞きました
ローストしたかやの実をそのまま味わえる商品です。羽茂高校の2年生が授業の一環でパッケージをデザインしてくれました。かやの木と一緒に、カニや鬼太鼓など赤泊の特産品が描かれ、「赤泊を代表するお土産にしたい」との想いが込められています。
羽茂高校生がパッケージデザイン「からつきかやの実」
Q4 今後の展望を聞かせてください
メイドイン佐渡の商品を増やしたいです。「佐渡島の金山」が世界遺産になれば、国内外から旅行者が増えるでしょう。佐渡の歴史や物語を旅の思い出と一緒に持ち帰ってもらえる、そんな特産品を作りたいです。かやの実会に関しても、3代、4代と長く受け継がれるよう事業を成長させていきたいです。
仕事をする上で大切にしていること
自分の言動に責任を持つことです。そうするとミスやトラブルがあっても人のせいにせず、自分を変えて成長するチャンスにできます。「自分の人生を歩いている」という実感も濃くなります。お相手の方との信頼関係も守ることができます。