健康医療ビッグデータを活用。
新潟を健康寿命日本一に
アイセックは「新潟県の健康寿命延伸に寄与する」ことを目標に掲げ、2019年に設立された、新潟大学発公認第1号となるベンチャー企業だ。健康医療ビッグデータと医学的な知見を融合し、社会課題解決モデルで健康寿命を延ばす社会づくりを目指している。
「地元新潟に戻って医学を学び、起業したのは、お世話になった人たちに恩返しをしたかったから。私の身近な親族や子どもが最期まで健康に生きていける社会を作りたいという思いが、一番の原動力になっています」。
医学部教授との思いが一致し
新たな起業を決意
木村代表は15歳のときに恩師をがんで亡くした体験をきっかけに、与えられた寿命を最期まで健康に過ごせる社会を創りたいとの思いを強く持ち、健康支援の仕事に従事。その後東京で起業し、企業の健康支援コンサルティングやオンライン診療モデルなどを手掛けてきた。事業が軌道にのり、改めて医学を学ぶことを決意した木村代表は、新潟大学大学院医歯学総合研究科(修士課程)に入学。「これまでの経験から、健康政策は全国一律ではなく、地域や企業ごとの課題を正しく分析した対策が必要であり、医学的エビデンスを基に現場の課題を解決したいという思いがありました」。そうした意思を同大学の曽根教授に相談したところ、教授が持つさまざまな知見や膨大な医療データを新潟県民に還元したいという考えが一致し、ともにアイセックを設立することになった。
新潟大学医学部内科の曽根教授が取締役CMOを務めるほか、多くの新潟大学教員が参画。蓄積された研究成果やデータを事業に活かしている。
3つの事業を柱に地域に根差した
新たな健康づくりを支援
同社は新潟県民の健康寿命日本一に向けた健康支援策が重要と考え、3つの事業を柱としている。 1つめは「健康医療データ分析EBPM(※)支援」だ。「これまで医療保険者(自治体・企業健保)が収集する健康医療データは集計・レポート納品に留まり、有効活用されていなかった。そこで新潟大学医学部と共にデータ分析を担い、医学的エビデンスに基づいた効果的な対策を支援する体制を作りました」。現在、新潟市との連携で市民の健診・医療・介護データ約650万件を匿名化して分析し、その結果を基に健康増進につながる行動変容の提言を行っている。 2つめの「健康教育事業」は、企業や学校に向けてeラーニングで研修を実施。県のアフターコロナを見据えたイノベーション創出支援事業に採択され、オンラインによる健康教育の実証事業を開始した。 3つめの「他市場データ連携支援」は、健康・医療業界以外の市場にデータを活用してもらうことで、社会全体で健康づくりの仕組みを作ることが目的だ。現在は菓子メーカーにデータを提供し、商品開発やプロモーションなどに活かしている。
アイセックが目指す健康医療データの循環モデル。これまで関係者の中だけで活用していた健康医療データを、より消費者に近い市場で循環させることで、日常生活の中から自然と健康になっていく風土を創出する。
“Niigataモデル”を確立し
日本、世界へと広げたい
新潟で築いた健康支援モデルを他の市町村へ広げ、最終的にはASEANほか世界の国々で活用してほしいと語る木村代表。「新潟県においてエビデンスに基づく健康づくりにコミットして、“Niigataモデル”を確立したい。10年以内に新潟県を健康寿命日本一にすることが、直近の私の使命だと思っています」。新潟を起点に、健康格差のない持続可能な社会作りに貢献していく。
※EBPM(Evidence-based policy making:根拠に基づく政策立案)
企業情報
株式会社アイセック
〒951-8121 新潟市中央区水道町2-5932-165
TEL.025-367-9264
URL https://iseq.co.jp/