多様な人材の個性を活かすことが企業の成長に繋がる
同社が注目されたことで「工場見学者も年々増えています。ガイドも女性社員が交代で担当し、分かりやすいと好評です」と広報担当の森田氏(写真右)。シニアアドバイザーの清水氏(写真左)は「今後は知的障害者や、特別支援学校にいる障害者の新卒採用も考えていきたいです」と語る。
多様性を認める企業文化がダイバーシティと一致
除雪機や農業機械の製造・販売を主力事業とするフジイコーポレーション株式会社では、多様な人材が活躍できる環境づくりを推進。2014年に経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」に選定され、注目を集めている。
「ダイバーシティ経営をするという意識はなく、弊社に元々あった企業文化がダイバーシティと一致していたということだと思います」と森田氏が語るように、同社では数十年も前に女性が役職を務めるなど、枠にとらわれない人材活用が行われてきた。
しかし、以前は女性の新卒者を募集しても応募がない状況が続いたことから、老朽化していた本社社屋と工場を新設し、男女別トイレ、フルフラットの床、自動シャッターの設置など女性をはじめ高齢者、障害者も働きやすい環境に整備した。その結果、徐々に女性の応募が増え、2008年から継続的に女性新卒採用が実現。語学が堪能な女性社員の海外営業をはじめ、広報担当の女性社員のアイデアで、海外向けのカタログにQRコードを載せたところ、英語版HPのアクセス数が急増するなどの効果もあり、発信力が向上。女性社員の柔軟な発想により、この10年で海外の取引先も増加した。
高齢者や外国人が活躍新たな展開と成果を生む
同社は高齢者の技術や経験を活かすため、60歳定年を過ぎても70歳まで働ける再雇用制度を2010年から施行している。「現在は65歳以上が11人、うち4人が70歳以上で、それまでと同じ仕事を続けてもらっています」と清水氏。若手社員とシニア社員の協働で、多品種少量生産に対応する溶接ロボットシステムを開発し、ものづくり日本大賞を受賞した。
さらに外国人留学生のインターンシップを実施し、2012年からバングラデシュ、ミャンマー、インド、韓国出身の4名を採用。制御装置の設計や、海外での展示会を担当するなど、海外展開の強化に向けて今後の活躍が期待されている。来年春にはトルコ人女性の入社が決まっている。
タイの展示会ではタイ語を話せるミャンマー出身の社員が活躍。現地の人が好むような装飾でブースを作り、好評を得た。アジア圏は草刈機の需要があるため、今後も展示会出展に力を入れる。
企業にとって本当に必要な人材を雇用することが大事
現在は5名の障害者も雇用。多様な人材を受け入れる同社の取り組みはメディアにも取り上げられ、他企業からダイバーシティについて助言を求められることも多い。「無理に受け入れるのではなく、その企業にとって本当に必要な人材を雇用していくことが、結果的にダイバーシティに繋がるのではないかと思います」と清水氏。まさに多様な人材の個性を活かし、能力と可能性を引き出していることが、成長に結びついた要因といえるだろう。
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フジイコーポレーション株式会社
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