「ICT施工」の導入で作業効率化や施工精度の向上へ
株式会社小野組
土木事業部 工事課長 大野 智也 氏/野尻 拓実 氏
ICT施工を本格的に取り入れ護岸工事に着手
公共工事から民間施設、一般住宅建築まで手がける総合建設業の株式会社小野組では、国土交通省が推進する「ICT施工(情報化施工)」のシステムを導入し、今年から本格的な取り組みを始めた。
ICT施工とは、建設事業の生産プロセスの中の「施工」において、ICT(情報通信技術)を使い各プロセスから得られる電子情報を活用し、高効率・高精度な施工を実現するというもの。さらに、施工で得られる電子情報を他の工程に活用することで、建設生産プロセス全体の生産性の向上や品質の確保を図ることを目的としたシステムである。
同社は2年前から一部の工程でICTを活用していたが、このシステムを全面的に導入して施工を行うのは、今年5月に開始した阿賀野川の護岸工事が初めて。「実際にやってみないと分からない部分もあるので、試行錯誤しながら進めています」と、大野工事課長は語る。
ICTと電子化されたデータを活用することで、測量から現場の施工、出来形管理まで効率よく進行。これまで協力会社に依頼していた工程を、自社内で行えるメリットは大きいという。
作業効率の向上、省人化、工期短縮化などに効果が
ICT施工ではドローンやレーザースキャナを使用して測量を行い、そこで得た3次元データをもとに、切り土、盛り土の量を自動算出。設計データを作成し、そのデータを入力した建設機械で現場を施工する。施工後は3次元測量を行い、出来形管理図を作成すると、規格基準に対しての精度を仕上がり面全体で確認することができる。
データをもとに建設機械が自動制御やナビゲーションを行うため、オペレータの熟練度に頼らずに高精度な施工が可能。また、従来は必要な「丁張り」という立体目印を作る作業も不要になるなど、作業効率の向上をはじめ省人化、工期の短縮化といったメリットがある。
高効率・高精度な施工を実現しより高い価値を提供
「プレゼンがしやすくなったというのが一番の実感。これまで平面だったものを3次元で見せることで、発注者に細部まで説明しやすくなりました。第3者への工事説明会など、対外的なアピールにも役立つのではないかと思います」と大野工事課長。今後はプレゼン力を強化しながら、ICT施工の実績を重ねていきたいという。
「全国でもこのシステムを導入している会社は少ないので、今から土台を作っておきたい。将来は土木の社員全てが使いこなせるようになるのが理想です。現場の体制も変わっていくと思います」。ICT施工という新たな強みを打ち出し、より高い価値を提供することで、今後の事業拡大を目指していく。
「当社も初めての取り組みなので、野尻にシステム関係の意見を聞きながら進めています。今後はどのように事業として発展させていくのかが課題です」と語る土木事業部の大野工事課長(写真右)と野尻さん(写真左)。
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株式会社小野組
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