新潟通信機株式会社【無線通信ソリューションで交通インフラに貢献。柔軟な対応力で顧客満足を追求】

2025年12月16日
DX・デジタル化NICOpress203号新商品・新技術開発

無線通信ソリューションで交通インフラに貢献。
柔軟な対応力で顧客満足を追求

無線通信システムの専門メーカーとして65年の実績を持つ新潟通信機は、タクシー無線/配車システム、自動車教習所関連機器、バスロケーションシステムの3つを柱に事業を展開。時代の要請に応じた技術革新を続けながら、顧客ニーズを的確に捉えたオーダーメイド仕様の製品を提供し、多くの顧客から支持されている。

取締役 製造部 製造技術課 課長 経営企画室 兼務 小杉亘 氏/事業開発部 マーケティング課 近藤詩織
取締役 製造部 製造技術課 課長
経営企画室 兼務 小杉亘 氏

事業開発部 マーケティング課 
近藤詩織 氏

「お客様の要望が千差万別なので対応していくのは大変ですが、その中で我々も鍛えられているという実感があります」(小杉取締役/写真右)。「マーケティング課に寄せられるお客様のニーズを聞くと、本当にさまざまなご要望があるというのが分かりますし、開発部門と連携して素早い対応を心がけています」(近藤氏/写真左)。

進化する通信技術を取り入れ業務のスマート化・利便性向上を支援

新潟通信機は無線システムの専門メーカーとして全国各地の交通インフラを支えるオリジナル製品を開発し、顧客から高い評価を得ている。

1960年に創業した同社は、タクシー無線機の開発を主力に事業を開始。1969年から田上自動車学校の経営を始めたのを機に、自動車教習向けの模擬運転装置や四輪・二輪教習無線装置なども開発する。1970年代から1980年代には、バスの運行状況や待ち時間を利用者や管理者に知らせるバスロケーションシステムを開発。さらに、このノウハウをタクシー配車に応用した車両位置自動表示(AVM)システムを発売し、1990年代には他社に先駆けてGPS連動型AVMを完成させる。「当社ではGPSがあまり知られていない頃から開発を始めていました。それまで基地局に電波を飛ばしてタクシーの位置を把握していたのが、GPSを使えるようになったことで画面上の地図を見て位置が分かるようになり、タクシーの配車係が非常に助かるようになったのです」と小杉取締役。さらに2000年代に入ると無線機もアナログからデジタルに変わり、製品も多様化していく。「今までは無線機のソフトウェア開発が中心でしたが、携帯電話のデータ回線を用いたIP無線に切り替わったことで、スマートフォンやタブレットのアプリ開発、車載用タブレットの開発に力を入れるようになりました。また、配車システムもクラウドに切り替わり、こちらの専用アプリも手掛けています。大手企業からも配車アプリが発売されていますが、当社はお客様の要望に応じて小回りの利くアプリを開発できることが強みです」。通信技術の進化に合わせて製品を高度化・多様化し、ソフト開発から装置の製造、販売、サポートまで社内で完結できることが差別化につながっている。

創業時からの無線機

タクシー無線機が同社の出発点。システム開発から無線装置の設計・製造、販売、サポートまでの一貫体制を強みに、公共交通機関を支えてきた。社内には創業時からの無線機が展示されている。

納品前のテスト風景

納品前に全ての機種をテスト。タブレットやIP無線機の動作、システムが正常に作動するかなど、実際の配車システム運用を想定してチェックする。

 

タクシー内のイメージ

新潟通信機のタクシー配車システム

1992年にGPSを利用した配車システムを業界でいち早く販売。近年はタクシー配車業務からタクシー注文、電話受付業務などの効率化・省人化を図るシステム、サービスアプリ開発を手掛ける。

新潟通信機のタクシー配車システム

顧客情報とGPSを連携したクラウド型タクシー配車システム「スカイビークル」など利便性の高いシステムを提案。

 

車載専用タブレット無線機

IP車載無線機/タクシー注文システムアプリ開発

必要な機能を1台に集約した車載用タブレット無線機「タブと~くマスター」(振動や温度変化にも強い仕様)。近年普及が進んでいるタクシー配車アプリとの連携も可能。

 

地域密着の営業所がニーズを掴み、顧客の要望に迅速に対応

同社では創業初期から営業拠点を徐々に拡大し、顧客と密接に関わることでニーズを掴んできた。保守やシステムの知識を持つ営業が対応する。「全国14カ所に営業所があるのですが、各地の営業マンは販売だけでなく、システムを理解した上で運用のサポートも行っています。クラウドのシステムに関しては、大きな案件だと納品後に1週間から2週間はりついて運用の指導をすることもあります」。

タクシーやバス運行に関する製品は、まず営業とお客様でシステムの仕様の打合せから始める。「基本的に顧客ごとにソフトウェアを開発するオーダーメイド仕様になります。これはタクシー会社の規模に関係なく、会社独自の運用ルールがあることや、その土地によって配車のルールも違うことから、お客様ごとに細かな要望が多くなるためです」。

また、新潟市の本社ではハードウェア開発課、システム開発課、モバイル開発課の技術部門と、マーケティング課、サポートセンターの5つの課で事業開発部を構成している。「お客様からの要望が各営業所からマーケティング課に入るので、私たちがニーズの取りまとめをし、各部署につないでいます」と近藤氏。技術部門以外の部署でも自主的に勉強会や研修などを行い、ほぼ全ての社員が無線システム等の技術や製品知識を持って対応にあたることで、顧客のニーズを迅速に製品開発に反映させている。

 

“希望を叶えてくれる”という強い信頼感も選ばれる要因に

「お客様のほうから“こんなシステムはできませんか”と、新しい開発のヒントをいただくこともあります」と小杉取締役。顧客の働きかけから開発につながったのが、生コンクリート事業者向けの配送ナビゲーションシステムだ。「生コン車は決まった時間に建築現場に行く必要があるため、車が今どこにいるか正しい位置を管理者が把握したり、いつ到着したかを知りたいというご相談が、生コン事業者のシステムを作っている会社からありました。タクシー配車のシステムを生コン車用の仕様に替えれば運用できそうということで、タイアップして製品化しました」。タクシー配車システムで培った高い技術力や実績があることが“新潟通信機なら希望を叶えてくれる”という強い信頼につながり、顧客から選ばれる要因の一つになっている。

「当社の事業はタクシーに特化している部分がまだまだあるので、今後はGPSやクラウドの技術を他の業界にも応用展開していきたいです。それとともにIP無線は5Gの普及などモバイル回線の進歩がとても速いため、乗り遅れないようにしていかないといけません。また、アナログからデジタルに替わったことで、昔ほど高周波の技術は必要とされていないのですが、この通信技術を持っている会社は多くないので、他社の製品開発で高周波の技術部分を当社に任せたいという依頼があれば、協業していくことも考えています」。

無線システムの専門メーカーとしての技術とノウハウを基に、顧客のニーズにきめ細かく応えることで、オンリーワン企業として成長を続けてきた新潟通信機。今後も次世代無線通信技術の先駆者として、ユーザーの視点に立った製品を提供していく。

位置・動態管理システム

生コン車

位置・動態管理システム

運行する車両の位置・状態などを可視化し、業務効率と運行精度を向上。送迎バス・生コン配送・メンテナンスサービス業等で活用されている。

 

バスロケーションシステム

バス車内設置イメージ

バスロケーションシステム

無線システムで培った技術をもとに開発。バスの位置情報、待ち時間などの運行情報を知らせてくれる。

 

模擬運転装置

自動車教習所関連機器

国内トップシェアを誇る「模擬運転装置」。全国の自動車教習所の約6割に、同社の模擬運転装置や無線装置などが納入されている。

 

POINT

  • 高度化・多様化する通信技術に先駆けて対応し、タクシー無線、自動車教習機器分野でパイオニアとしての評価を獲得。
  • オーダーメイドのシステム・装置開発を社内一貫体制で対応。
  • 全国に営業拠点を構え、販売から保守・運用まで対応できる営業マンが個別の顧客ニーズに素早く応える。

 

企業情報NICOクラブ会員

新潟通信機株式会社

新潟市中央区上所中3-14-8
TEL.025-282-1800
URL https://www.niigata-t.co.jp/

メルマガ・SNS


ページトップへページトップへ
NICO 公益財団法人にいがた産業創造機構

法人番号 7110005000176

〒950-0078
新潟市中央区万代島5番1号
万代島ビル10F・11F・19F

TEL 025-246-0025(代)
FAX 025-246-0030
営業時間 9:00~17:30
(土日・祝日・年末年始を除く)