株式会社島田組【現場の声を基に進めるDX。地域貢献を軸に”人とまちの幸せを創造する“】

2025年06月16日
DX・デジタル化NICOpress200号

現場の声を基に進めるDX。
地域貢献を軸に”人とまちの幸せを創造する“

今年で105年目を迎える島田組は、建築・土木・鉄道工事を核とし、南魚沼地域の生活基盤構築に貢献してきた企業。現場で働く社員の能動的な動きから業務のデジタル化に取り組み、近年はDXを加速させながら、地域貢献という広い視野で課題改善や事業開発を進めている。その根底にあるのは「南魚沼を元気なまちにしたい」という想いだ。

代表取締役 社長執行役員 島田奏大 氏/建築部 チーフエンジニア	石塚大介 氏/営業部 係長 青野哲 氏/総務部	髙野寿樹 氏
代表取締役 社長執行役員 島田奏大 氏
建築部 チーフエンジニア 石塚大介 氏
営業部 係長 青野哲 氏
総務部 髙野寿樹 氏

「DXはトップダウンで進めるのではなく、業務の効率化やITツール導入を進めたいという意欲のある社員が頑張れる環境を用意し、DXを皆で取り組んでいこうという雰囲気を社内に作っていくことが大事だと思います」と島田社長。DX推進チームは「社長プロジェクト」の社内公募で集まった、業務をより良い形に変えていこうという意欲を持つメンバー。建設業界の新しい働き方を探求している。(写真右から島田社長、石塚氏、青野氏、髙野氏)

社員主導でデジタル化に着手。地道な改善がDX推進の基盤に

1920年創業の島田組は、土木工事・建築工事・鉄道関連工事・住宅事業の4事業を展開する総合建設会社。駅や車両基地の建築工事、線路の保守等の鉄道関連事業を強みとし、冬季は道路の除雪作業を担うなど、地域のインフラを長年にわたり支えている。

島田組では10年以上前から社員主導で業務のデジタル化を地道に進め、DX推進の素地を作ってきた。「当時仕事をする上で不便な環境だと感じていたので、自分でできることからやろうと、現場監督の業務と並行しながら取り組みました。まずは社内LANの構築を手掛け、業務データを共有するネットワーク接続型ハードディスクも導入しました」と建築部の石塚氏。さらに、6年前から島田社長が中心となってDX推進の取組がスタートした。

「人手不足という状況で地域を支える仕事を維持していくために、人がやらなくていい仕事は機械に任せ、さらに社員が持つノウハウや技術情報を蓄積し共有するという考えを基にデジタル化を進めました」。書類や図面類は電子化し、クラウドストレージやクラウド会計ソフトを導入。社員間の情報共有や作業効率向上のためにグループウェアを活用し、スマートフォンやタブレット端末も導入した。現場が必要とするデジタルツールを少しずつ取り入れ、改善することで業務の効率化が格段に進み、細かな案件が多く人手と時間が割かれていた建築部では、1人が複数の現場を同時に進めることが可能になった。

現場のスタッフの様子

現場の様子

島田組ではデジタル技術導入の予算を毎年設け、ICT化で現場の課題解決を進めている。グループウェア等で現場状況をリアルタイムで共有し、責任者が現場に常駐しなくても業務が進行できる体制を整えている。

 

石塚氏(写真左)がパイオニアとなり、業務のデジタル化や環境整備を進めてきた

石塚氏(写真左)がパイオニアとなり、業務のデジタル化や環境整備を進めてきた。手書きの書類でやりとりしていた案件の引継ぎは、ペーパーレス化によりデータを渡すだけでスムーズに共有できるように改善。以前に比べてチームでの業務が進めやすくなったという。

 

人材採用のためDX認定取得、社員の意識にも変化が

こうして着実にDX化を推し進めてきた同社は、2023年にDX認定を取得する。「人材採用に向けてのPRというのが、認定を取得しようとしたきっかけでした。今の若者は昔ながらの建設業に魅力を感じないと思うので、さまざまな認証を取得することで今の働き方に合った企業だというアピールができます。また、これまで複数のソフトウェアを導入してきましたが、それらを使いこなせていない社員も多かったので、認証取得を契機に社内全体にDXの風潮を作りたいという考えもありました」と髙野氏。申請に必要なDX戦略の策定についてはすでにデジタル化の基盤が整っていたため、申請手続きはスムーズに進んだという。

認定取得後の変化については、「会社としてDXを推進するという宣言を社内に向けてできたことで、以前よりもデジタル化を進めていこうと考える社員が増えたと思います。また、そうした風土ができることでDXのプロジェクトが動きやすくなるという効果もあります」と青野氏。島田社長も「数字に表れるというよりも、何か新しいことにチャレンジしようという雰囲気が社内に出てきました」と話す。一方、DXを効果的に進めるためには、デジタルツールを苦手とする社員にもシステム化の意義を浸透させることが重要になるという。

デジタルスキル習得のための研修やセミナー受講を支援

デジタルスキル習得のための研修やセミナー受講を支援。

 

DXを通じて南魚沼地域の人たちの幸せを実現したい

2024年に始動したDX推進プロジェクトでは、DX推進チームが業務上の「不」を抽出し、解消するという方針のもと情報を収集してきた。

「これまで導入してきたソフトやアプリには重複している機能がかなりあり、運用コストや使い勝手を見直す段階に来ていました。それをDX推進チームが整理しつつ、社員から業務上で不便に感じる作業をヒアリングする課題抽出を重点的に行いました。それらを精査し、他社のリサーチやDXの先進企業を参考に検討した結果、独自の基幹システムを作ることになりました」と島田社長。建設業である自社にフィットしたシステムでより効率化を目指そうと、地元の企業と開発を進めている。「現場にいる社員が使いたいと思うものを使う。そして使ってみて改善したい点は改善するというのが、意味のあるDXです。こうした取組を社員主導で進めてきている会社はあまりないと思います」。

島田組では地域の異業種とも連携し、南魚沼地域の企業の課題解決や、地域に人材を呼び込む仕組みづくりなど地域貢献を軸にした事業に取り組んでいきたいと考えている。「今後はインフラだけでなく、地域の生活環境全般を支える役割を担う会社になっていかないと、この地域を維持できないと考えています。少ない人員で必要なインフラを支えるためにはデジタルツールを活用した効率化が不可欠です。DXを推し進めることで資金や時間の余力を生み出し、新たな事業への展開や、社員のライフワークバランスの確保につなげていきたい。こうした挑戦をしている会社を見て、この地域に住みたい、戻ってきたいと思う人たちが増えることを期待しています」と島田社長。地域のDX推進リーダーを目指し、「人とまちの幸せを創造する」という同社のビジョンを実現していく。

島田社長

「地元の人たちから“島田組があって良かった”と言われるように、これからは行政でカバーできない部分を当社がカバーし、地域全体を支えていける会社になりたい」と島田社長。2024年の社長就任時に会社ロゴ等をリニューアルし、情報発信やブランディングにも力を入れている。

本社1階フロアをリノベーション

地域に開かれた場を作りたいと、本社1階フロアをリノベーション。地域住民参加のイベントや、社員同士がコミュニケーションを図る場として活用されている。

 

POINT

システム導入・改善を社員主体で進める

小さな改善から着手し現場の声を取り入れながらデジタルツールの活用に取り組む。

DX認定を旗印に、プロジェクトを浸透

DX認定取得を宣言し
全社員のDXへの意識を高める。

まちづくりのビジョンを掲げDXを推進

地域のDXを推進し
生活全般を支える組織を目指す。

 

企業情報

株式会社島田組

南魚沼市浦佐470-6
TEL.025-777-3121
URL https://simadagumi.co.jp/

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