大切な人へ贈りたくなる菓子
笑顔生まれるカラフルな琥珀糖「彩花」
阿賀野市の水原本町商店街で創業100年を迎える老舗菓子店・御菓子処渡計。創業者の渡邊計吉氏の名から一文字を受け継ぐ四代目の計一氏は、慣れ親しんだ地域の特産品を使った菓子作りに挑戦する。人気商品の一つ「彩花(さやか)」は作る側だけではない視点をもとに誕生し、地域の魅力を伝える商品として注目を集めている。

阿賀野市(旧水原町)出身。御菓子処 渡計の四代目。織田製菓専門学校(東京都)で学び、老舗メーカーである新宿中村屋に就職。菓子作りのほか、商品開発やマーケティング、他部署との交流を通して経営のノウハウを学ぶ。2014年に帰郷するとセルフマーケティングを重ね、お客様に求められる菓子の研究を続ける。2019年にその成果となる「彩花」を販売した。
Q1 「彩花」を開発したきっかけは?
もともとは新潟三越伊勢丹さんと新潟博報堂さんによる自治体応援企画「NIIGATAみらいプロジェクト」としてスタートしました。家業を継ぐために帰郷してからは各地の店舗をまわり、トレンドやお客様が求めているものを自分なりに調査しました。売れているお店、商品には何があるかなど、検討を重ねて形にできたのが、阿賀野市の特産品等を寒天で閉じ込めて作った琥珀糖「彩花」です。
さくら、黒いちじく、抹茶など地域の素材を寒天で閉じ込めた琥珀糖「彩花」。現在は季節限定を含む17種類を販売。ハート型を組むと花の形になったことや、常に支えてくれた妻・さやか氏への感謝の気持ちを込め、彩りの花で「彩花」と名付けた。道の駅たがみとのコラボ商品「越の梅」(写真左)など新作も続々と開発中。
Q2 商品開発のコンセプトは?
夏の干菓子でよく使われる琥珀糖は、見た目がきれいな菓子ではあるものの、和菓子の中でもマイナーです。温故知新ではありませんが、自分なりに古いものを今風にアレンジしながら美味しさを追求し、透明感のある琥珀糖の魅力を生かして「大事な人へのプレゼント」として選ばれる菓子を作ろうと考えました。一般的な琥珀糖よりも水分率を高め、ジューシーな味わいに仕上げているためどうしても傷みやすくなりますが、店舗での取扱いを考え、賞味期限は常温保存で2週間だったものを45日間まで改良しました。販売から6年を迎え、OEMの依頼も多く頂いています。
Q3 商品設計やパッケージで工夫した点は?
琥珀糖はキューブ型ですが、開発当初はハート型でした。製造が大変な上にカット部分がロスになるため、より多くの方に商品を届けられるように変更しました。パッケージについては、まず琥珀糖を完成させてから、販売価格等を踏まえて内容量を検討しました。一目で琥珀糖と分かる縦長のボトルを採用し、ギフトを贈る側ともらう側も喜んでもらえるデザインに。琥珀糖の汎用性を活かし、味のバリエーションを豊富にすることで小売店側も採用しやすくなっています。
Q4 今後の展望を教えてください
商品が美味しいのは大前提で、いかに付加価値を付けられるかが重要。大手メーカーではないので、量販店には置かず、販売地域もかぶらないようにしています。目指すは「あの時みんなで食べたな」と商品とともに思い出がよみがえってくる菓子です。将来的には県内全市町村の素材を使った「彩花」を作りたいですね。
御菓子処 渡計は1924(大正13)年創業。話題の菓子を求めて遠方から来るお客様も多い。
二代目店主・浩一氏が開発した阿賀野市の名物菓子「白鳥の卵」。1953年の誕生以来阿賀野市土産の定番として愛されている。
イチゴを丸ごと2つ包んだ人気商品「いちご大福」(季節限定販売)。店頭に並ぶのは渡邊さんの気分次第という、ツッコミどころ満載の販売形態がSNSで話題を呼んだ。
企業情報
御菓子処 渡計
阿賀野市中央町2-9-40
TEL.0250-62-2276
URL https://www.okashi-watakei.com