株式会社バイオマスレジン南魚沼

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2021年12月08日
NICOpress179号

南魚沼発 環境負荷を抑える

お米由来のバイオマスプラスチック

2017年創業のバイオマスレジン南魚沼は、食用で流通することのない非食用米を原料に使い、独自技術でバイオマスプラスチックを製造する企業。石油系プラスチックおよび二酸化炭素の排出を削減する素材として、今多くの注目を集めている。

株式会社バイオマスレジン南魚沼 執行役員/企画営業部長 杉原 孝行 氏
執行役員/企画営業部長 杉原 孝行 氏
(株式会社バイオマスレジンマーケティング)

「耕作放棄地等を活用して、ライスレジンの原料となる資源米の栽培も進めています。食用の米と収穫期が重ならない早生品種のため、農家さんの負担も少なく、水田の復興や地域の活性化が期待できます」。

流通されないお米を使った

バイオマスプラスチック

食用に適さない古米や、米菓メーカーなどで発生する破砕米など、飼料としても使われずに処分されてしまうお米がある。同社では、そんな非食用米を原料にしたバイオマスプラスチック原料「ライスレジン®」を製造している。親会社は東京に拠点を置くバイオマスレジンホールディングスで、同グループの中核的な存在だ。

「自分たちで製造拠点を設けることにしたところ、米どころと言えば、新潟。さらに南魚沼はお米の有名なエリアでした。お米の生産量が多い地域では、残念ながら一定量の流通されないお米も発生します。新潟は有効活用できる原料が調達しやすいのです」と杉原氏は話す。

NICOプレス 株式会社バイオマスレジン南魚沼

ライスレジン

 

環境保全意識の高まりと共に

幅広い製品が続々誕生

ライスレジンは米とポリプロピレンやポリエチレンを混練させる特殊な設備で生産される。装置から送り出された棒状のライスレジンは、水と風で冷却され、ペレット状に加工される。お米の配合率は70%、55%、50%の3種がメイン。これを材料にプラスチック製品を成形するメーカーが最終的な配合率を決めることができる。「設立時の2017年の用途は玩具が中心でしたが、企業や消費者の環境意識も大きく変わり、ここ数年でたくさんのお問い合わせをいただくようになりました。レジ袋やごみ袋、クリアファイルや食器、弁当箱、歯ブラシなど、さまざまな製品が生まれています」。

NICOプレス 株式会社バイオマスレジン南魚沼

質感も感触も石油系プラスチックとの違いがほとんど分からない製品。中央のクッキングセットは米配合率が21%。南魚沼市の指定ごみ袋では植物由来成分の使用割合を10%から25%へ引き上げる動きがあった。

 

地産地消を目指して
製造拠点を日本各地に計画

同社では年間3,000~4,000トンのライスレジンを製造しているが、2025年までにグループ全体で年間10万トンの生産を目指しており、福島や熊本などの製造拠点の整備も進んでいる。「日本各地に工場を設けることで、原料となる米の地産地消が可能となり、輸送による環境負荷が抑えられます。サプライチェーンがシンプルなため、海外情勢に左右されることなく安定供給できるメリットがあります。」 地域のお米で作られた製品はストーリー性もあるという。「昔から私たちの祖先も、食べられなくなったお米をのりにして障子を張るなど、生活に活用していました。我々も同じ精神で、バイオマスの素材にすることで非食用米の活用を進めています」。

さらに現在、日本と同じ稲作文化を持つ東アジア・東南アジアでの展開も見据え、ベトナムで工場を建設中だ。2025年までに海外5カ所の立ち上げを目標にしている。いま、バイオマス材料の利用はあらゆる方面で求められている。新潟のものづくり技術と連携した商品開発に可能性を感じる。

NICOプレス 株式会社バイオマスレジン南魚沼

同じバイオマス原料の製造工場でも、トウモロコシやサトウキビを使うバイオエタノール工場と比べるとコンパクトで設備投資も抑えられる。生産拠点を横展開しやすい点もライスレジンの特長だ。

 

ここがポイント

  • 食用に流通しない非食用米を資源として有効活用できる
  • 稲作文化がある日本各地、アジア各地に製造拠点を展開予定

 

企業情報

株式会社バイオマスレジン南魚沼 NICOクラブ会員

〒949-7104 南魚沼市寺尾1300
TEL.025-775-7155
FAX.025-775-7713
URL https://www.biomass-resin.com/minami-uonuma/

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