株式会社相田合同工場

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2015年08月31日
NICOpress126号商品開発・販路開拓

製品安全の取り組みでクレーム・返品ゼロを実現

株式会社相田合同工場
四代目社長 相田 聡 氏
加工部商品開発グループ・製品安全プロジェクト 髙橋 優佑 氏

クレームをきっかけに 製品安全対策の必要を知る

昭和5年の創業以来、鍬専門の農具メーカーとして歩む株式会社相田合同工場。同社は8年前から製品安全対策に取り組み、経済産業省が行う「製品安全対策優良企業表彰」の中小企業製造事業者・輸入事業者部門において、平成22年度と平成25年度の2度、最高賞の経済産業大臣賞を受賞している。

同社では10年ほど前から、鍬の楔が抜けるなど、それまでには考えられないようなクレームや返品が増加した。「木の柄が乾燥して縮んだら、楔が抜けるのは当たり前です。農具の流通経路が大きく変わり、相対で販売しなくなったことで、売る方も買う方も鍬についての知識がない。そのために、クレームになってしまっていた」と相田社長は話す。当初は自社に責任があるとは思わなかった相田社長だが、バイヤー経験がある損害保険の営業マンから“製造者には説明責任がある。製品安全対策を学ぶべき”とアドバイスされたことで意識が変化していった。

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取扱説明書は落ちないよう、ナイロンカバーに入れて鍬に添える工夫をしてある。重要項目はシールにして柄に貼付。

若手中心に取扱説明書の 作成と検証を繰り返す

新入社員だった髙橋さんに製品安全の話をすると「知っています。学校の公民で習いました」と言われ、驚いたと相田社長は話す。「製品安全と言われてピンとこない我々の世代よりも、若手がやった方が話は早いと思い、任せることにしました」。

まず取り組んだのは取扱説明書の改善だったが「鍬の説明書は前例がなく、とにかく苦労しました」と髙橋さんは振り返る。さらに、誤使用が事故に繋がることから、用途を絞り込むということも重要だという。

取扱説明書の検証に終わりはなく、同社では気付いたらすぐ変更するので作り直しが頻繁。そのため、製作は内製化した。また、最近は新たにトリセツ動画を作成。You tubeにアップし、ユーザーに正しい鍬の使い方の周知を図っていく計画だ。取扱説明書を充実させたことで、クレームや返品は現在ほぼゼロになったそうだ。

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「以前は作り手が情報を持っているのに消費者に伝えていなかったということが分かった。若手社員には、若い世代に響くやり方で製品安全を伝えてほしい」と語る相田社長(写真右)と商品開発グループ・製品安全プロジェクトの髙橋さん(写真左)。

製品安全対策は社員教育や 製品開発につながる投資

その他の取り組みとして、各地で一般ユーザーらを対象に「鍬の選び方・使い方」ワークショップを月1回のペースで開催。また、ステークホルダー全体で取り組むため、9月8日を鍬の日として製品安全の講演会などを行い、仕入れ先や販売先にも情報提供を行っている。

また、社員を対象にした鍬ワークショップも行っているが、製品の使い心地を実感したベテラン職人が、改善点を提案してきたことが印象的だったと相田社長は話す。「製品安全対策に取り組んでみて、社員教育や製品開発にもつながることに気付きました。製品安全の取り組みは、コストではなく投資だと感じます」。

今後は、道具を通じて、農業が身近にあるライフスタイルを提案していきたいといい、そのためにも製品安全態勢は一層充実させる必要があると語る相田社長。そして、今年も製品安全対策優良企業表彰に挑戦するという。中小企業初となる3度目の最高賞受賞を期待したい。

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かつては農具の知識は家族や鍛冶屋から、直接伝承されていた。その文化を受け継ぐ方法のひとつがワークショップという形になっている。

企業情報

株式会社相田合同工場
〒955-0044 三条市田島1丁目7-4
TEL.0256-33-0192 FAX.0256-34-2990
URL http://www.kuwaya.com

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