アロニアの魅力や機能性を引き出した食品を市場へ
株式会社サンファーム泉
代表取締役樋口 紘一 氏
栄養豊富なアロニアを 五泉の新たな特産に
アロニアを主に、梅やムクナ豆を栽培し、ジャムやジュースなどのアロニア加工製品を企画販売している株式会社サンファーム泉。自社製品の「手摘みアロニア&梅ジャム」と「ごせんそだち アロニア・ポリフェノール 果実ミックスジュース」は「新潟うまいもの」にも選出され、地元の観光施設や新潟三越のほか、ネスパス、髙島屋などで取り扱われている。
北米原産のアロニアはポリフェノールやビタミン、βクリプトキサンチンなどを含む栄養豊富な果実。このアロニアを選んだ理由を樋口社長は「地元の特産品とバッティングしない作物を選びました。また健康志向のなかで、アロニアの機能性が魅力になると思いました」と話す。
9年前からアロニアを栽培し、加工品を販売し始めたのは3年前から。定年を迎えた同級生8人で事業を立ち上げ、全員が農業経験も食品関連業務の経験がゼロというなか、試行錯誤しながら取り組んできたという。
「今年はムクナ豆の製品開発にも取り組みます。アロニアとムクナ豆で、人々の健康をサポートする製品を作っていきたい」と語る樋口社長(写真右)と加納常務(写真左)。
第1弾製品の食品表示は 保健所の指導のもと作成
加工製品第1号のジャムは、五泉市主催の「五泉フードブランド推進実行委員会」に参加して商品開発。「製造を依頼しているところのジャム商品を参考にして表示ラベルを作ったのですが、保健所から原材料のところに(国産)の表記を入れるよう指摘を受けました。表示については、各自治体によって違いがあるという話も聞いて、難しいものだと思いました」。
さらに苦労したのが、アロニアの栄養素についての説明を入れたチラシなどの文章。本来なら機能性や効能などを謳いたいところだが、薬事法に抵触する可能性がある表現を指摘され、裏付けの重要性を知ったという。
「食物繊維についても含有量のデータが必要で、それを計算したら表示には足りない数値だったということもありました。自社では何もできないので、食品分析に詳しい方を探して、新潟大学の教授に協力をお願いに行きました」。
色づく前のアロニアの実。1.2ヘクタールの畑で1200本のアロニアを栽培している。加工品のほか、アロニアの果実も菓子店などに販売。羊羹やアイスなどが作られている。
大学の協力を得ながら アロニアの栄養を数値化
新潟大学にはアントシアニンを始めとするポリフェノールの含有量の分析を依頼。教授のアドバイスで、その分析結果と鹿児島大学や日本食品分析センターのデータを合わせ、アントシアニンがブルーベリーの約2倍であることを表記できるようにした。
また、価格設定についても卸に対するマージンや輸送コストを考慮することを、販売する時になって気付いたと話す。こうした経験は、続くジュースの製品化に活かされていった。
4月から機能性表示食品制度が変わり、生鮮食品でも機能性表示が出来ることに期待していたという樋口社長だが、エビデンスが必要なため中小企業が挑戦するにはハードルが高いと話す。「最近、アロニアが広く注目され始めているので、今後の市場の流れを見守りたい。当社としてはアロニアの知名度アップを図り、おいしくて健康維持に役立つ、五泉の新しい名産品に育てていくことに力を入れていきたいと思います」。
健康に気を使う中高年世代をターゲットにしたいという「ごせんそだち アロニア・ポリフェノール 果実ミックスジュース」1500円。価格やデザインがギフト向きで、実際に需要も多い。
企業情報
株式会社サンファーム泉
〒959-1821 五泉市赤海1-14-56
TEL/FAX.050-3449-8188
URL http://www.sunfarmizumi.com/